『おちょやん』宮澤エマ演じる栗子は一周回って憎めない? 火花散る竹井家の行く先は
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雨音と雷鳴。山の中で足を滑らし、動けなくなるヨシヲ(荒田陽向)。『おちょやん』(NHK総合)第4話では、行方不明になったヨシヲを村人総出で捜索することとなる。
ヨシヲの脱げた草履を見つけた千代(毎田暖乃)は、「姉やん」という叫び声を手がかりに弟を救出。けれど、あろうことか千代も一緒に山中で迷子になってしまうのだった。足を怪我して動けないヨシヲをおぶって帰路を目指す千代の胸中には、私が母親代わりとして弟を守るという使命にも似た思いがあった。いい匂いに誘われた先に見つけたのは、豚の餌用に積まれたパンの耳。お腹を空かせ、むしゃむしゃとパンの耳を貪り食う2人を村の彦爺(曽我廼家文童)が見つけ、ひとまず一件落着となる。
これに黙っていないのが、継母の栗子(宮澤エマ)だ。ヨシヲを見離して、一人町に出かけていたと村の者から責め立てられ、「女郎まがいのドスベタ」とまで呼ばれたのだから、すでに怒り心頭である。栗子は千代を奉公に出せば、少しは暮らしが良くなると言い出す始末。テルヲ(トータス松本)が商いに出かけたのを合図に、たちまち「千代 VS 栗子」のバトルが勃発する。
第1ラウンドは、ヨシヲが焼き鳥の煙を寝ている栗子の部屋に充満させ、「火事や!」と飛び起きた先で、千代が冷や水を顔面めがけてぶっかけるというもの。ヨシヲが冷たい雨にさらされた千代なりの仕返しだ。結果は「このクソガキ!」と捨て台詞を吐いた栗子の負け。千代が先手を打つ。
次の作戦は、鶏小屋に栗子を呼び出し、餌を濡れた体に浴びせ、寝巻き姿で鶏に追いかけられているのを村じゅうに見せびらかすという恥ずかしい嫌がらせ。「追い出される前に、こっちが追い出したらぁ!」。そんな千代の思いは、なぜかタイミングよく居合わせた玉井先生(木内義一)に餌となって降り注ぐこととなる。その光景を見ていた栗子は、簾を刑事がブラインドを覗くかのようにして、「こねなことしても無駄やで。出ていくのは、あんたの方や」と嫌みたらしく千代を睨みつける。ここまでくると、一周回って憎めない、ユニークな存在である。第2ラウンドは栗子の勝利で、結果はドローといったところだろうか。
そんな火花散る竹井家に、彦爺が腹痛に効く薬草を持って訪ねてくる。実は、ヨシヲはお腹をさすっていた栗子を心配して、山に薬草を摘みに行っていたのだ。千代に言われ、浮かない顔で焼き鳥を焼いていたヨシヲ。実母のサエ(三戸なつめ)を覚えていないヨシヲにとっては、こんな栗子でも初めて知る母親の温もりがそこにはあったのだ。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/