ナチスによる圧迫受けたドイツ作家は…劇団印象が新作で“表現者の知性と勇気”問う
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劇団印象-indian elephant- 第26回公演「エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜」チラシ表
劇団印象-indian elephant-「エーリヒ・ケストナー~消された名前~」が、12月9日から13日まで東京・駅前劇場で上演される。
鈴木アツトが作・演出を手がける本作は、ナチスによる圧迫を受けたドイツの作家エーリヒ・ケストナーの評伝劇。劇中では1923年のナチスの興隆から、1945年の第二次世界大戦終戦までの22年間が描かれ、ケストナーやその友人を中心とした物語が展開する。
出演者には、玉置祐也、山村茉梨乃、村岡哲至、泉正太郎、杉林志保、正村徹、今泉舞が名を連ねた。本作について鈴木は「ファシズム(全体主義)的なものが再び跋扈している現代に、芸術家と国家との距離感、そして、表現者の知性と勇気とは何かを問いたい」とコメントしている。上演時間は休憩なしの約2時間10分。12月10日14:00開演回と12日18:00開演回にはアフタートークが行われ、10日に翻訳家の三辺律子、12日に劇団チョコレートケーキの古川健がゲストとして登場する。また、収録映像のオンライン配信が16日から1月5日まで実施される。詳細は公式サイトで確認しよう。
鈴木アツト コメント
新型コロナによる外出自粛期間に、「自宅にこもった芸術家は、外部世界へ向けて、何を表現できるのか?」を考えていた時、ドイツ国内での出版を11年間も禁じられ、“抵抗の作家”として知られるエーリヒ・ケストナーの生涯に興味を持った。
資料を調べていくと、ケストナーが、宣伝相ゲッべルスの依頼で、別名を使って、映画のシナリオを書いていたことを知った。また、彼の学生時代の友人の舞台俳優は、反ナチ活動を咎められ、ゲシュタポに虐殺されていた。別の友人は、あからさまなナチスのプロパガンダ映画を監督していた。つまり、ケストナーには、一方に抵抗して死んだ友人がいて、もう一方に妥協して生き残った友人がいたのだ。こういった友人たちに囲まれながら、ケストナーがどのように“ささやかな妥協”に至ったのかに焦点を当てた演劇を作りたいと考えた。
ファシズム(全体主義)的なものが再び跋扈している現代に、芸術家と国家との距離感、そして、表現者の知性と勇気とは何かを問いたい。
劇団印象-indian elephant- 第26回公演「エーリヒ・ケストナー~消された名前~」
2020年12月9日(水)~13日(日)
東京都 駅前劇場
作・演出:鈴木アツト
出演:玉置祐也、山村茉梨乃、村岡哲至、泉正太郎、杉林志保、正村徹、今泉舞