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『七人の秘書』シム・ウンギョンの強烈な存在感 現代社会を彷彿とさせる展開に

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リアルサウンド

 黒子である秘書の暗躍を描いたお仕事ドラマ『七人の秘書』(テレビ朝日系)は、元も現役も含め、7名の経済界や政界トップの秘書が連携し、各所に蔓延る悪をこらしめる勧善懲悪ストーリー。ついに最終話まで残すところ1話となった第7話は、クライマックス回にふさわしい盛り沢山の内容となった。仲間の1人が敵陣営に潜り込み返り討ちに遭う、そしてずっと失踪中だった味方の居場所がついに突き止められるという大きなうねりが見られた回だった。

 パク・サラン(シム・ウンギョン)が大病院の秘書を辞め、財務大臣の粟田口十三(岸部一徳)からの私設秘書の引き抜きの話を受ける。彼女は粟田口の悪事を暴こうと近づいたのだった。

 粟田口が推薦する女性立候補者が選挙に当選するも、ウグイス嬢への法外な報酬の支払い、議員らへの賄賂による後援会の票の買い占めなど様々な問題が浮上するさまは、とある議員の公選法違反罪をめぐる現在進行形の公判事案を彷彿とさせる。サランはこの暴露動画を拡散させている最中に、粟田口の手下と揉め合いになり重傷を負ってしまうのだった。

 萬(江口洋介)、千代(木村文乃)と対峙するシーンでも、サラン演じるシム・ウンギョンの凄まじい演技力が炸裂していた。嘘でも自分の恩人と仲間に“負け犬”なんて言葉を放たねばならなかった彼女の押しつぶされそうな胸の痛みや、大事な人に嫌われたり愛想尽かされてもなおそれでもやり遂げなければならない使命感や正義感を見事に役柄に投影させていた。第6話から引き続き彼女の存在感が強烈に植え付けられる展開だった。

 そして今宵、萬と家政婦・鰐淵五月(室井滋)の粟田口との因縁が明らかになる。これまで前科持ちという経歴しか明らかにされていなかった2人だが、共にかつて粟田口の秘書をしており、彼に利用され嵌められてのことだった。収賄容疑について「全て秘書がやったことです。私は何も知りません」とシラを切り通す粟田口の姿は、悲しくも現実世界でもワイドショー番組などを通して既視感がありすぎる“日常的な”シーンだった。

 しかし、粟田口のような人間が萬にしろサランにしろ、およそ自分とは正反対なところにいる正義感の強い人物を側に置きたがるのはなぜなのだろう。自分とぶつかることは必至で、必ずどこかで邪魔な存在になるのは目に見えているのに……。1つに、自身が常に裏の裏を嗅いでばかりいて悪知恵が働くタイプだからこそ、真っ直ぐなタイプの方が近くに置くには信頼できて安心できるというのがあるのだろう。加えてサランには、自身の計画を尽く阻止する“影の秘書軍団”や萬の動きを探るために近づいたとも考えられるが、7年前の若かりし頃の萬についてはどうだろう。やはり、清廉潔白で守りたいものがある者、利己的よりも利他的な人間の方が、それを逆手にとって利用しやすい、「守るべきもの=弱点、弱み」になり得るからこそ、行動が読みやすく制御もしやすいからなのだろうか。

 でも、そんなバカ正直な者たちだからこそ、どんなに「粟田口には近づくな」と止められても、勝ち目が全くない状態であっても「萬さんには恩があるから」とそれだけの理由で皆で立ち上がれるのだ。次週最終話では、7人の秘書たちがラスボスの粟田口とどう戦い、決着をつけるのか。一見バラバラに見えて、結束するときの団結力は抜群で義理堅い彼女らの勇姿を見届けたい。

 同じく粟田口の運転手として近くに潜り込み折りを見計らっている千代の兄・一男(マキタスポーツ)の狙いも気になるところだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『七人の秘書』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介
ゲスト:萬田久子、大和田伸也、木下ほうか、小林隆、杉田かおる、藤本隆宏、とよた真帆、橋爪功、マキタスポーツ、リリー・フランキー、松本若菜、永瀬莉子
脚本:中園ミホ、香坂隆史、林誠人
演出:田村直己(テレビ朝日)ほか
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、 浜田壮瑛(テレビ朝日)、大垣一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日