新しい地図とならどこまでも新たな挑戦ができるーー真っ白なスタートからの1年を振り返る
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9月22日、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のプロジェクト“新しい地図”がスタートして、ちょうど1年が経った。“新しい地図“の公式YouTubeチャンネルには、ある動画がアップされる。そこに映し出されたのは、ちょうど1年前の3人の姿だった。
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真っ白な紙に、それぞれが方位記号を書き込んでいく。そして、続くのは3人の挨拶シーン。「新しい地図という新しい気持ちで、みんなと一緒の船に乗って、いろいろ旅したいなと思っているので。いろんなところに行っていろんな地図を描いて、みんなと一緒に冒険したいなと思います」(草なぎ)、「今日がスタートなので、多分“新しい地図を描いていきたい“って草なぎくん言ったと思うんですけど、そんな、ほんと気持ちなので、よろしくお願いします」(稲垣)、「始めたいっていう思いのワクワクが結構長かったんで、もう本当に信じられないぐらいに嬉しいです」(香取)。
新しい地図『雨あがりのステップ』
それは、まさに真っ白なスタートだった。新しい地図が、どんなプロジェクトになるのかも、その先のスケジュールも、何もかもが“これから”の状態だった。ファンも、3人をどんな形で応援していけるのかと不安でいっぱいだったことを改めて思い出した。“改めて“というのは、そんな不安はすぐに期待と希望に変わったからだ。
誰がこんな未来をイメージできていただろう。3人がイキイキとのびのびと、自分たちの良さを引き出し合い、同時に個人の可能性を広げていく今の姿を。SNSをスタートさせ、ファンとの関係性はよりオープンに風通しも良くなった。そして、みんなで声をかけ合って映画『クソ野郎と美しき世界』の目標動員数を突破する、という成功体験を味わい、第2弾制作への道を作った。また、『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)は、新たなテレビの可能性を感じさせたとしてギャラクシー賞フロンティア賞を受賞。そして、毎月7.2時間も同じ時を過ごすSNSバラエティ『7.2 新しい別の窓』(AbemaTV)も生まれた。さらに、パラスポーツ応援チャリティソング「雨あがりのステップ」の売上2,300万円超の全額寄付……などなど、気づけば彼らは私たちが期待していた以上の活躍で、驚かせ続けてくれた。そして、彼らとならどこまでも新たな挑戦ができる、いつしかそんな確信に変わってきたように思う。
長年、共に歩んできた3人だからこそ見せられるものがある。それと同時に、今の体制になったからこそ、一人ひとりの才能にも再度スポットライトが当たった1年だった。香取はアートへの情熱を爆発させ、ルーブル美術館で個展を開催。草なぎは、持ち前のボーダレスなスタイルでYouTube界に大きな風穴を開けた。そして、プライベートがミステリアスな印象だった稲垣は、ブログで私生活を紹介したり、これまで明かさなかった演技に対する特別な想いを語り始めた。そんな矢先に、また新たな嬉しいニュースが飛び込んできたのだ。
稲垣が主演を務める映画『半世界』が、第31回東京国際映画祭でコンペティション部門に出品されることが決定した。稲垣が演じるのは、山小屋に住む炭焼職人。無精ひげを生やし、色あせた作業着に地味なニット帽をかぶった姿は、美しい花が活けられた部屋でワインをくゆらす稲垣とは真逆をいく役柄。あまりにも彼の持つパーソナルイメージとかけ離れていることから、その公開が待ち望まれている注目作だ。
監督は『エルネストもう一人のゲバラ』『北のカナリアたち』などを手がけた阪本順治。撮影現場に密着した『AERA』(2018年5月14日号)では、稲垣が阪本監督と細かな打ち合わせを重ねて、役作りを行なっていた様子がレポートされた。口調の速さ、歩くスピード、ノックの強さ、そして回数……その一つひとつの動作に表れる感情を表現しようと模索する稲垣。
40歳を直前にした3人の男の視点を通じて、「人生半ばに差し掛かったとき、残りの人生をどう生きるか」というテーマが描かれると聞けば、新しい地図との共鳴を感じずにはいられない。不安と葛藤、仲間との絆、そして新たな希望。稲垣自身も、きっと新しい地図をスタートするときに、こんな表情をしていたのかもしれない。その主演を稲垣が務めるのは必然だったのでは、とさえ思えてくる。イメージの異なるキャラクターを演じることで、稲垣の中にあるテーマの本質が凝縮されて見えてくる予感がしてならない。
3人が今を思い切り楽しんでいるように見えるのは、きっと新たな1歩を踏み出したからこそ、彼らの中で表現することに対する喜びが溢れ出ているからだろう。そう思うと、たった1年でここまできたのだ。これから先、彼らがどんな未来を見せてくれるのか、ワクワクは膨らむばかり。そう、彼らとの旅は始まったばかり。まだまだ新しい地図は、広がり続ける。(文=佐藤結衣)