生き別れの親子描く仏アニメ映画『FUNAN』 黒柳徹子、深田晃司ら賛辞
映画
ニュース
Les Films d'Ici - Bac Cinéma - Lunanime - ithinkasia - WebSpider Productions - Epuar - Gaoshan - Amopix - Cinefeel 4 - Special Touch Studios © 2018
アニメーション映画『FUNAN フナン』に寄せられた著名人コメントと新たな場面写真が公開された。
『第42回アヌシー国際アニメーション映画祭』グランプリを受賞した同作の舞台は、ポル・ポト率いる武装組織クメール・ルージュによるプノンペン制圧のニュースを境に、多くの住民が農村で強制労働させられるようになった1975年のカンボジア。農村へ移動する道中に息子ソヴァンと離れ離れになってしまった母親チョウが、革命組織オンカーの監視による苛酷な労働や理不尽な扱いに追い詰められながらも生き延びて息子を取り戻そうとする姿を描く。監督をドゥニ・ドー、アートディレクターを『怪盗グルーの月泥棒 3D』のミッシェル・クルーザが務め、声優陣に 『アーティスト』のべレニス・ベジョ、『グッバイ、ゴダール!』のルイ・ガレルが名を連ねる。12月25日から公開。
コメントを寄せたのは、黒柳徹子、渡辺えり、深田晃司、東地和生、サヘル・ローズ、葉田甲太(NPO法人あおぞら)、土居伸彰、香川愛生。
場面写真には、カンボジアの自然や、不穏な表情の男性が夕焼けを背景に佇む姿などが映し出されている。
フランス生まれでカンボジアにルーツを持つドゥニ・ドー監督は、自身の母親の体験をもとにした同作について「どうしても作品にしたいと思っていた」「自然の前では人間が無力、または孤独であるということを感じます。ズームインやアウト、フレームの切り替えが自由なアニメーションならではの風景の雄弁さが映っていると思います」とコメント。ミッシェル・クルーザは「製作がスタートする前に2回、カンボジアに向かい、写真や逸話、証言など、できるだけ多くの記録を集めました。その結果、現地で見た風景の美しさを映画にする必要があると感じました。空の広さや、日当たりの良さは、とても思い出深いです」と語っている。
{{ youtube url="https://www.youtube.com/watch?v=5uHhwjEl3-k"}}
黒柳徹子のコメント
ユニセフの視察でカンボジアのプノンペンに行った。
おびただしい頭蓋骨や人骨が、村々にあった。
おびえて暮らした助産婦さんの顔は恐怖のしわで、おおわれていた。
この『FUNAN フナン』は、なぜそんなことになったかアニメーションで教えてくれる。人間の愛も。心ゆさぶられる映画。渡辺えりのコメント
私が演劇に明け暮れ、アルバイトがきついと愚痴をこぼしていた二十歳の頃、役者も演出家もみんな殺され、戯曲を読むことさえ禁じられた国があった。
演劇人を含む200万人が殺されたのはつい45年前のことだ。
人間がここまで惨酷になれることを私たちは歴史を通して学んできたが、美しいアニメーションが幾多のドキュメンタリーよりも更にリアルに臓物を掴んでゆすってくる。もう起きてはならないあってはならないストーリーだ。深田晃司のコメント
素晴らしかった。線のひとつひとつに生と死が吹き込まれていた。
あまりにも過酷だった時代の暴力を、残虐さのリスト化から距離を置いて眼差しの連鎖で普遍化させた監督の聡明さに胸を打たれる。
風が吹き抜けるたびにこの映画のことを思い出すだろう。東地和生のコメント
雄大なカンボジアの原風景。
ただひたすら真摯に描かれた、地に足のついた世界観。
華美な物は一切なく、不必要に語る事もありません。
しかし、だからこそ、そこに生きる人間を鮮明に映し出し、まるで光の中に照らし出される影のように、心に迫ります。サヘル・ローズのコメント
何度も泣いた。夕陽がこんなにも冷たかっただろうか。
神様はいるか?悪とは?善とは?
いろんな角度から『アナタならどうする?』と問いかけられてくる作品。
生きるためなら何を選ぶか?家族か?自分の命か?もしくは…。正解は個人によって違う。
でも、共通していえるのは『生きるためには、すがるしかない時も、人にはある』葉田甲太(NPO法人あおぞら)のコメント
生きるという事は、こんなに大変な事なのだろうか。
ご飯を食べられること、お風呂にはいれること、病気になれば病院に行けること、映画をみられること。
そんな当たり前の日々が、一番大切で、幸せで、噛みしめるべきものなのかもしれない。
そんな事を改めて、この映画から教えてもらった気がしました。土居伸彰
本作においてアニメーションは、遠い世界の風が吹き込む窓となる。
かつてのカンボジアで、決定的な何かが起きたときに吹いたあの風。
それが体をかすめるのを、私たちは肌で感じる。それは私たちにも起こりえたことかもしれないと、体がそれを実感するのだ。
誰もが体感すべき、新たなアニメーションの傑作。香川愛生のコメント
日常を奪われて、大切な家族と引き離されて、いくつもの絶望が永遠に続いてしまいそうで。
苦しいけど、わずかな希望に支えられながら見届けるべき作品です。
母の実体験を基に描いたという監督が、残酷な時代を懸命に生きた人々をいかに想っているのかが伝わってきました。