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「37セカンズ」HIKARIが新藤兼人賞の金賞に涙「日本の作品をどんどん世界に」

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2020年度新藤兼人賞授賞式の様子。左から内山拓也、HIKARI、岡本英之、高田聡、山本晃久。

2020年度新藤兼人賞の授賞式が、本日12月4日に東京・如水会館で開催された。

1996年に設立された同賞は「この監督と組んで仕事をしてみたい」「今後この監督に映画を作らせてみたい」というプロデューサーたちの観点から、その年度でもっとも優れた新人監督を選出する映画賞。本年度は2019年12月から2020年11月に1週間以上有料で劇場公開された、新人監督による長編作品187本が選考対象となった。

金賞を手にしたのは「37セカンズ」で監督を務めたHIKARI。「こんなに素晴らしい賞をいただけて感無量です」と一言話すと目を潤ませ、「言うことを全部忘れてしまいました」と笑う。「(主演の)佳山明ちゃんに出会ってからもたくさんの方々に支えをいただきました。ですが、女性監督で初長編映画、主人公は障害を持っていて、女優は演技をしたことがなく……ということで断られることも本当にたくさんありました」と回想。「自分を信じ、この作品を信じてくださった方々の“この作品をぜひ世に出してほしい”という力でこの作品ができあがりました。そのありがたさ、重みを感じます」と思いを込めて言葉を紡いだ。

また「黒沢清監督、深田晃司監督と仲良くさせていただいているのですが、今年劇場公開された3本(「スパイの妻(劇場版)」「本気のしるし 劇場版」「37セカンズ」)が世界三大映画祭で選出されました。世界から見たときに、日本映画作品は素晴らしいものだと思っていただけていると肌で感じています」「今日皆さんに出会えたことをすごく感謝しております。これも縁だと思いますので、日本の作品をどんどん世界に出していけるように力を合わせてがんばっていけたら」と今後の展望を述べた。

「佐々木、イン、マイマイン」を手がけた内山拓也は銀賞を獲得。「20歳くらいから映画館でアルバイトをしていたので、見かけたことがある配給の方々が今日席にいらっしゃいます。そのときは、皆さん僕の名前も顔も認識していなかったと思うので、今日覚えて帰っていただけたら」と話して笑いを誘う。「水泳大会はずっと2位でしたし、グランプリというものを人生でいただいたことがなくて。銀賞は僕っぽいなと思ってます」と冗談めかしつつ、「そのたびに『絶対に負けない』と思ってやってきました。この賞はうれしいですし、190名近くの方々を代表していただいています。今回も2位をいただいたので『またがんばれ』って言われているような気がしています」と意欲を見せた。

優秀な作品のプロデューサーや企画者に贈られるプロデューサー賞は、「スパイの妻(劇場版)」の岡本英之、高田聡、山本晃久のもとへ。岡本は「報われることも多くなく、精神の揺らぎの中に身を置く瞬間もありました。その過程を経て、この賞をいただけたことがうれしいです」と挨拶。高田は「歴史と重みのある賞をいただけて光栄に思うと同時に、その責任をひしと感じているところです」「今後もこの賞に恥じないよう独立精神を持って映画製作を続けていきます」とコメントする。

最後にマイクを握った山本は「3人目ともなると言いたいことも全部言われていますね」と笑いつつ、「面白いものを一心不乱に作っていこうと思っています。ただ、面白いものとは何なのかいまだにわからないですし、これからも探求し続けようと。配信サービスの波が押し寄せ、映画の興行が揺らいでいますが、やっぱり面白いものを作れば観客とのつながりは強固になるだろうと信じています」と語った。

「37セカンズ」「佐々木、イン、マイマイン」「スパイの妻(劇場版)」は全国公開中。