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是枝裕和がサンセバスチャン映画祭授賞式に出席、樹木希林を思い涙浮かべる

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第66回サンセバスチャン国際映画祭の授賞式に出席した是枝裕和。(c)Festival de San Sebastián. Photo Montse Castillo

是枝裕和が第66回サンセバスチャン国際映画祭にて、生涯功労賞にあたるドノスティアを受賞。現地時間9月23日にスペイン・バスク地方で行われた授賞式に出席した。

アジア人がドノスティアを受賞するのは今回が初めて。授章式で流された是枝作品のダイジェスト映像の中には、「歩いても 歩いても」「万引き家族」などに参加し9月15日に死去した樹木希林の姿も見られた。スピーチにて是枝は「2年前に『海よりもまだ深く』という映画で樹木希林さんとこの映画祭を訪れることができて、とても楽しい時間を過ごして。この10年、役者と監督という関係を超えて、パートナーとして映画を作ってきた方なのですが、彼女がついこの間亡くなられてちょっとそのことが、どうしても、ついよみがえってくるので、(受賞は)うれしいのですが、ちょっと悲しくなって泣いています、ごめんなさい」と涙ぐむ。

是枝は「僕はまだキャリア半分であと20年は作ろうと思っていて、生涯功労賞というのは生涯でたった一度だけなので2度目はないと思いますが、ちょっと早かったかもね、と言われるくらい、ここからの20年はいい映画を作り、皆さんの前に届けたいと思っております」と語る。また「万引き家族」で柴田治を演じたリリー・フランキーも登壇し、是枝にハンカチを渡す一幕も。リリーは「是枝さんを愛してくださってありがとうございます。また素晴らしい賞をもらったことを誇りに思います。ありがとうございます」とコメントした。

記者会見にもリリーと出席した是枝。現在準備中の新作の撮影地が海外であり、カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュら国外のキャストが多く参加することから、「日本人であることのメリットやデメリットを感じているか?」という質問が飛ぶ。是枝は「言語や文化の違いを超えて、どういう映画を撮りたいかというその思いが共通できていれば、一緒に映画を作れる。今は期待を持っています」と述べる。続けて「『万引き家族』の中で、親子が“川の字で寝る”という描写があります。これは私たちにとっては幸せの象徴ですが、そういう描写が今回の中にあったとき、フランスの方から『なぜこの子は一人で寝ないのか?』と(言われて)必ずしも、親子が川の字で寝ることが幸せの象徴ではないというようなことに直面すると面白いですね。じゃあどういう形で家族を寝かせるのか、というところから組み立て直さないといけないから。1つひとつのシーンの受け取られ方が全部違うんだなということを、今、面白く経験しています」と語った。

是枝作品への参加は「万引き家族」で4度目のリリー。「お互いの関係に変化はあったか?」と質問されると「最初にお会いしたのは、是枝さんが最初の作品を撮った頃で、僕は是枝さんのファンだった。だから今でも会うと照れくさくて、もじもじしてしまうところは変わっていないですね」と吐露した。また「是枝さんがこの映画に呼んでくれた理由を『せこい男をやらせたらリリーさんが一番うまいんだ』と(笑)」と明かすと、会場に笑い声が響き渡る。是枝は「極悪人も似合うんだけれど、すごく小さくせこく悪いことをやっているリリーさんが僕はとっても好き」と述べ、信頼関係の強さをのぞかせた。