ハロプロ、次世代担う新メンバー分析連載 第3回:モーニング娘。’20。 北川莉央、岡村ほまれ、山﨑愛生
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2019~2020年にかけて、ハロー!プロジェクトの各グループに新しいメンバーが相次いで加入した。次世代を担う彼女たちのキャラクターを紹介/分析することでハロプロの未来について考える一助になればと思い、全3回の短期集中連載をお送りする。
最終回はモーニング娘。’20。2019年に北川莉央、岡村ほまれ、山﨑愛生が加入した。
北川莉央(きたがわ りお)
20年以上の歴史を誇るモーニング娘。の第15期メンバーとして加入した3人の少女。そのうちのひとりが、現在16歳・高校2年生の北川だ。加入発表動画での自己紹介では、「歌が大好きで得意なので、たくさん歌割りをもらいたい」と抱負を述べていた。
加入してから現在まで約1年半だが、たしかに北川の歌唱力が光る瞬間はそのあいだにいくつも見られてきた。それが特に顕著だったのは、今年の夏に開催されたツアー『Hello! Project 2020 Summer COVERS ~The Ballad~』でのJ-POP曲カバー。以下のダイジェスト動画の3:09~ではJUJUの「やさしさで溢れるように」を歌っているのだが、他のハロプロメンバーに引けを取らない歌いっぷりだ。
歌は加入前から少し習っていたという北川だが、ダンスは未経験。娘。の他のメンバーの証言によると、なんとその場ジャンプすらできないほどの未熟さだったという。そこを同グループメンバーの石田亜佑美がちゃんと基礎から教えて、今では普通にパフォーマンスをこなせるまでになった。モーニング娘。の新曲MVやライブ映像などを見れば、その成長具合は明らかだ。
娘。15期メンバーは、3人とも今年2020年にソロ写真集をリリースしている。北川の『First Time』が一番最後に出たのだが、他の2人との大きな違いは水着ショットに挑戦していること。好評なようで、写真集は発売からわずか1週間で重版がかかったという。
さらに、11月16日発売の『ヤングマガジン』(講談社)では、同グループの牧野真莉愛とのペアで表紙・巻頭グラビアに登場。アイドル仕事の花形のひとつであるグラビア撮影、今後の北川が活躍しそうなジャンルだ。
北川の印象としては、一見ルックスは清楚でおとなしそうな雰囲気なのだが、いい意味でガツガツしているというか、アイドル人生を謳歌してやるぞという意気込みがそこかしこに感じられる。その美貌とも相まって、将来、グループ内においてかなりの人気メンバーに成長するのではないだろうか。
岡村ほまれ(おかむら ほまれ)
現在15歳・中学3年生の岡村は、北川と同じく東京都出身。6歳からタップダンスとバレエを習っていたというダンス経験者だ。たしかに岡村のダンスはキビキビとしており、観ていて心地よい。ファーストビジュアルフォトブック『Homare』の撮影の合間に踊ったという以下の動画を観れば、その魅力の一端がうかがい知れるだろう。
岡村を語る上で欠かせないキーワードとしては、「お肉好き」などもあるが、本稿では「優勝」と「フライング」を挙げたい。前者は、正確には「ほまたん優勝」というキーワードでファンの間によく知られている。2019年12月19日公開のYouTube動画において、15期3人が「KOKORO&KARADA」のMVを観終わったあと、北川が「生田さんは(このMVを観て)『ほまたん優勝ー!』って絶対言う!」と発言(6:20~)。そしてその後日の収録だと思われるが、同月24日公開の、今度はメンバー全員が同MVを観る動画では、鑑賞後の生田が「ほまたん優勝してたもん」と発言し(5:19~)、予想が見事的中したことに由来する。おそらく、楽屋などで普段から生田が何度もそう言っていたことから北川が予測したのだろう。
これを面白がったファンが、Twitter上などで「#ほまたん優勝」というハッシュタグをよく使うようになり、岡村の可愛さを示す用語となった。このタグが定着したということは、岡村の可愛いシチュエーションがその後も頻発していることの逆説的な証明でもある。
「ほまたん(ほまちゃん)フライング」も、二度同じことが起こって定着した。一度目は、2019年12月5日に国立代々木競技場第一体育館で行われた『モーニング娘。’19コンサートツアー秋 ~KOKORO&KARADA~ FINAL』での1シーン。MC中に会場の広さを使って、15期の3人(と、なぜか同じ場所にいた横山玲奈の4人)がダッシュ競争を始めた。そのスタート時に岡村が、焦ったのかフライング気味に走り出してしまったのだ。
二度目は、同年12月31日の中野サンプラザでの年越しライブ『Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2019 ~GOOD BYE & HELLO!~』。出演者全員で童謡の「お正月」を歌うシーンがあったのだが、その歌い出しを岡村がひとり先走って「もう~♪(いくつ寝ると~)」とフライングしてしまった。この短期間での二度のフライングは、岡村の「おっちょこちょい」な一面を印象づけることになったが、それは同時に「可愛さ」を喚起させるものであり、アイドルとしては長所に転じるものだろう。これは天性のものと思える。
山﨑愛生(やまざき めい)
現在15歳・中学3年生の山﨑は北海道出身。2016年始動のハロプロ研修生北海道のスターティングメンバーのひとりだった。当時まだ11歳。
北海道在住のままレッスンなどの日々に励んでいた山﨑だったが、2017年からは東京で毎年行われる『Hello! Project 研修生発表会 ~春の公開実力診断テスト~』にも出場するようになる。2018年には「Wonderful World (English Ver.)」(Juice=Juice)を英語で歌って歌唱賞、2019年には「夢幻クライマックス」(℃-ute)を歌ってキャラクター賞と、2年連続で賞を獲った。以下動画の19:58~と21:34~でそのときの様子を見ることができる。
その後モーニング娘。に研修生から昇格した山﨑だが、彼女のキャラクターとして特に有名なのが「パンダ好き」。だが、「パンダ」ではなく「パンダさん」と、さん付け呼びにこだわっており、相手が「パンダ」と言ったらすかさず「パンダさんです」と訂正してくる。これはハロプロメンバーはもちろん、中島卓偉やファンにはお馴染みの黒木料理長でも同じだ。
自身をフィーチャーした公式YouTube動画は、『やまざきめいのパンダさんだいすき!!~上野巡り編~』など、デビューから現在まで7個ほど公開されており、これはかなり多いほうだ。彼女のキャラクター性が高いことの反映といえるだろう。
しかし、ここまでパンダ好きの山﨑だが、動物園などで実際の生のパンダと会ったことはまだないというのが面白い。これはデビュー当時から話していることで、2020年12月現在もまだ対面は実現していない。もし実現する機会が来れば、かなりの一大イベントとなるだろう。
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15期の3人は、同じ娘。の6期メンバーの3人=亀井絵里・道重さゆみ・田中れいなと比較して語られることが多い(正確には藤本美貴も6期メンバーだが、藤本はソロ歌手からの合流で出自が異なるので、ふつう6期というと亀井・道重・田中を指すことが多い)。これは3人それぞれの人気が高く、キャラが立っていることなどからの連想だろう。また、「6期最強伝説」と呼ばれた3人のように、15期も大成してほしいというファンの願望も多少入り混じっているのかもしれない。この3人が将来「15期最強」と呼ばれるようになるかどうか、それがこれからのモーニング娘。を楽しむ上での視点のひとつである。
■ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。
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