『ファンタスティック・フォー』再映画化も 新作ラインナップも明らかになったMCUの重大発表
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12月11日、マーベルファン、『スター・ウォーズ』好きを喜ばせる大発表がありました。実はこの日、ディズニーが投資家向けの説明会を開き、その中で今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)、そして『スター・ウォーズ』の展開についてのプレゼンテーションを行ったのです。当然、今後のラインナップも紹介され、ファンにとってはたまらない作品が今後リリースされることがわかりました。ここではMCUをメインにその発表内容をとりあげましょう。
前提として、MCUも『スター・ウォーズ』も劇場公開作品だけではなく、ディズニープラスでの配信ドラマも重要なパーツとなっていきます。まずMCUドラマですが、すでに発表されている作品たちに加え、新たに次の作品の製作が発表されました。
『アイアンハート(原題)』
『アーマー・ウォーズ(原題)』
『シークレット・インベージョン(原題)』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル(原題)』
『アイアムグルート(原題)』です。
まず興味深いのは、『アイアンハート』と『アーマー・ウォーズ』。これは“アイアンマン”に関連する物語。『アイアンハート』は、アイアンマンことトニー・スタークの意志を引き継いだ15歳の天才少女(黒人の女の子です)のリリ・ウィリアムズが、アーマーを装着してアイアンマン的活躍をするようになる。彼女はアイアンハートと名乗ります。コミックだとトニー・スタークの支援を受けたりするのですが、MCUではもうトニーはいないので、トニーの“意志”ではなく“遺志”をひきつぐのかもしれません。
アイアンハートがMCUに登場するのはある程度予測ができたのですが、ちょっとビックリだったのは『アーマー・ウォーズ』。これはドン・チードル演じるローディ、つまりウォーマシーンが主役です。コミックのアーマー・ウォーズは、アイアンマンの技術情報が裏社会等に流出し、“悪のアイアンマン”がたくさん出現。それをトニー・スタークが退治していく話です。なので本来はアイアンマンが主役ですが、これもMCUではトニーがいないので、トニーの代わりにウォーマシーンが事態の収拾をはかる、ということでしょうか? 僕は重装備のウォーマシーン・アーマー好きなのでこれは嬉しい。
この2作に期待したいのは、本人は「MCUは卒業、もう出ない」と公言しているロバート・ダウニー・Jr.がなんらかの形でトニー・スタークとして登場してくれること。AIのホログラフィーとかでもいいから。特に『アイアンハート』はジャービス的にリリ・ウィリアムズをAIのトニーが助けるなどの展開を期待したいのですが。
さらに注目したいのは『シークレット・インベージョン』です。もともとサミュエル・L・ジャクソンのニック・フューリーを主人公にしたMCUドラマの企画があったそうですが、それが本作のようです。
これも同名タイトルのコミックが有名。映画『キャプテン・マーベル』や『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で“意外”な登場をしたスクラル人をテーマにした物語です。スクラル人は高度な擬態能力=なりすまし変身能力を持っています。この力を使って要人やヒーローに化け地球侵略のために密かに潜入していた、というのがコミックのストーリーです。したがってコミックでは、誰が本物のヒーローかわからない的疑心暗鬼なサスペンスで盛り上がります。ただMCUのスクラル人は(いまのところ)ニック・フューリーとも関係は良好で、悪のエイリアンとしては描かれていません。一体、どうなるのでしょうか?
サミュエル・L・ジャクソンに加え『キャプテン・マーベル』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でスクラル人のタロスを演じたベン・メンデルソーンが出演します。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル』『アイアムグルート』は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーをテーマにしたドラマシリーズ。前者はジェームズ・ガン監督が手がけるようですが、恐らくタイトルからして“クリスマス特番”みたいなイメージでしょうか? かつて『スター・ウォーズ』も『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』というTV特番を放送して、そこにボバ・フェットが初登場したという経緯があります。ガン監督は、その『スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル』のオマージュとして本番組を手がけるのかな。後者は、ベビー・グルートを主役にした短編シリーズのようですがアニメとは書いていないので実写でやるのかな?
こうした新作のサプライズ発表に交ざって、すでにアナウンスされている作品についても新情報がありました。
『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ロキ』『ホワット・イフ…?(原題)』それぞれの最新トレーラーが公開され、また『ミズ・マーベル(原題)』のフッテージがお披露目となりました。
個人的に『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のアクションのスケールは大きさにビックリ。劇場映画と遜色のない作品になりそう。また『ワンダヴィジョン』もコメディぽい顔つきをしてますがだまされてはいけません(笑)。結構ハードSFな展開になりそうです。逆にコメディなのかシリアスなのかわからないのが『ロキ』。でもトム・ヒドルストンのロキの魅力をたっぷり味わえそうです。『ミズ・マーベル』役のイマン・ヴェラニは改めてピッタリのキャスティングだと思いました。
それで本当に申し訳なかったのですが、そんなに期待してなかった『ホワット・イフ…?』。これは予告を観て期待度アップ! 印象が変わりました(ごめんなさい!)。アニメなんですが、いわゆる今までのヒーローアニメ、カートゥーンっぽくなく、すごくアーティスティックなんです。フライシャーの『スーパーマン』のアニメとかを思わせるレトロな部分もあり独特の世界です。しかも俳優の顔を見事に再現しています。ハマる、という言葉がぴったりのアニメになりそう。
その他重要なアナウンスとしては『シーハルク(原題)』の主役が改めてタチアナ・マスラニーと発表されたこと。というのもこの噂が流れたとき、彼女は「そんな話聞いていない」と一回否定したんです。でも彼女でした。そしてちゃんとマーク・ラファロも出演します。加えてビックリなのは、映画『インクレディブル・ハルク』に出演していたティム・ロスが出るということも判明。ティム・ロスはあの映画のヴィラン、アボミネーション(白いハルクのような怪人!)を演じていました! ということはシーハルクVSアボミネーションの大バトルも楽しめる!?とドラマだけでも興奮したのに、映画の方も重大な発表がありました。
まず最新の映画公開のスケジュールは、
『ブラック・ウィドウ』2021年5月7日(日本は4月29日)
『シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス(原題)』2021年7月9日
『エターナルズ(原題)』2021年11月5日
『スパイダーマン新作』2021年12月17日
『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』2022年3月25
日
『(マイティ・)ソー/ラブ&サンダー(原題)』2022年5月6日
『ブラックパンサー2(仮題)』2022年7月8日
『キャプテン・マーベル2(仮題)』2022年11月11日
です(まだ明確ではないですが、一応『ブラックパンサー2』からフェイズ5と言われています)。
『ソー/ラブ&サンダー』でクリスチャン・ベールが演じるのは、ヴィランでゴア・ザ・ゴッドブッチャーということが判明しました。クリスチャン・ベールについては、ソーの盟友となるベータ・レイ・ビルではないかとの憶測があったので、これは否定されたわけですね。噂の否定といえば、ブリー・ラーソンがキャプテン・マーベル役を降板との噂もありましたが、続編も彼女が主役を演じることが正式にアナウンス。ミズ・マーベルと共演するそうです。
さらに公開日は未定ですが、『アントマン&ワスプ』の続編(つまり『アントマン』映画第3弾)の正式な発表も。『アントマン』映画第3弾のタイトルは『アントマン&ワスプ:クォンタマニア(原題)』です。
クォンタム=Quantumというのは、量子世界と訳されていた、あの時空すら超えられる極小ミクロ世界ですね。登場ヴィランは原作コミックでも人気の“征服者カーン”。『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』のジョナサン・メジャースが演じます!
今までの主要キャストはほぼ集合ですが、サプライズは! なんとスコットの娘キャシー役に『名探偵ピカチュウ』『ザ・スイッチ』(傑作!)のキャスリン・ニュートン!! 『アントマン』『アントマン&ワスプ』の時は子どもだったから、『アベンジャーズ/エンドゲーム』では10代に成長したキャシー役を別の女優さんが演じていました。僕はキャスリン・ニュートンのファンなので、このリキャストは嬉しいのです。
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ここで重要なことがわかります。キャスリン・ニュートン演じるキャシーは、アントマンと同じ能力を持ちヒーローになります。キャスリン・ニュートンは自ら自身のInstagramで“ヒーローになるのを夢みてる”と、このニュースを投稿! そのコメントに「#STATURE」という記載があります。キャッシー・ラングはいくつかのヒーロー名を使うのですが、STATURE(スタチュア)もその一つ。したがって今回はSTATURE(スタチュア)と名乗る?
MCUでは他にも『ホークアイ』でヘイリー・スタインフェルドが演じる2代目ホークアイのケイト・ビショップ、『ミズ・マーベル』のイマン・ヴェラニでキャスティングされたカマラなど、次世代10代女子ヒーローが多数デビューすることになります。彼女たちは、コミックではヤングアベンジャーズ、チャンピオンズと若いヒーロー集団を結成するので、その伏線とも考えられます。
そして今回の発表で一番大きな話題となったのは『ファンタスティック・フォー』の映画化がついに発表されたことです!
ファンタスティック・フォーはマーベル・コミックの快進撃となるきっかけを作ったとされるヒーローたちで、従ってマーベルヒーローの原点にして元祖です。
しかし、映画化権を20世紀フォックスが持っていたため、MCU入りはしませんでした。けれど20世紀フォックスがディズニー傘下となり、マーベルに映画化権が戻ったので、新たにMCU版が作られることになりました。
ファンとしては製作の具体的なアナウンスがいつか、いつかと待っていたのですが、ここにきて嬉しいニュースです。
監督はジョン・ワッツ。彼はトム・ホランドの『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の監督です。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の最後の方で(ピーターたちがNYに戻ってくるシーン)明らかに“ファンタスティック・フォー”を意識した伏線があるのです。
具体的にはコミックにおけるファンタスティック・フォーの拠点であるバクスター・ビルディングらしきものが建設途中であることがチラっとわかります。
なお『アントマン&ワスプ:クォンタマニア』のヴィラン、カーンも元々“ファンタスティック・フォー”と縁があるキャラでもあるので、ここでもつながるかもしれません。
本当にお腹いっぱいの発表でしたが、この中で僕が個人的にほっとしたニュースを2つ挙げておきます。1つは『ブラック・ウィドウ』について「ディズニープラスの配信でリリースする」と“発表されなかった”ことです。いまのご時勢、配信でのリリースになってもおかしくない。でも現状『ブラック・ウィドウ』は劇場公開という前提を崩していない、ということなのです。
もう1つは『ブラックパンサー2』について、「チャドウィック・ボーズマン氏の代役は考えていない」とMCUの仕掛人プロデューサー、ケヴィン・ファイギ氏が明言したことです。これは本当に嬉しかった。それにしても“発表”だけで、こんなにワクワクさせてくれるなんて(笑)! MCUはやっぱりすごいですね、これからも3000回愛したいです。
■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter
■配信情報
『ワンダヴィジョン』
2021年1月15日(金)日米同時配信
監督:マット・シャックマン
脚本:ジャック・シェイファー
出演:エリザベス・オルセン、ポール・ベタニー
原題:WandaVision
(c)2020 Marvel
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
2021年3月19日(金)日米同時配信
監督:カリ・スコグランド
脚本:マルコム・スペルマン
出演:アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、ダニエル・ブリュール
原題:The Falcon and Winter Soldier
(c)2020 Marvel
『ロキ』
2021年5月日米同時配信
監督:ケイト・ヘロン
出演:トム・ヒドルストン
原題:Loki
(c)2020 Marvel
『ホワット・イフ…?(原題)』
2021年夏配信
監督:ブライアン・アンドリュース
脚本:アシュリー・ブラッドリー
出演:クリス・ヘムズワース、ジェレミー・レナー、トム・ヒドルストン、チャドウィック・ボーズマン、サミュエル・L・ジャクソン
原題:What If…?
(c)2020 Marvel