King&Prince 高橋海人、実は熱い努力の人? 『姉ちゃんの恋人』の“優しさ”と“強さ”の象徴に
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岡田惠和脚本、有村架純主演のドラマ『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)でじわっと存在感を発揮しているのが、有村の弟役を演じているKing&Princeの高橋海人だ。
交通事故で両親を亡くしたものの、3人の弟たちを養いながら前向きに生きる“肝っ玉姉ちゃん”安達桃子(有村架純)が、恋人を守るために傷害事件を起こして服役し、幸せになることを諦めていた同僚の吉岡真人(林遣都)と出逢い、恋をする。
コロナ禍でなかなか人と人が出会えなくて、重苦しい空気が世界を覆っていく中、誰かを好きになったり、誰かに優しくしたりすることが、このひび割れた世界を少しでも良くしていくんじゃない? と視聴者にふんわりと、でも確信を持って語りかけてくるような物語だ。
高橋海人が演じているのは、桃子の大学生の弟・和輝。自分たちのために進学を諦めて働いている姉に心から感謝していて、誰よりも大事に思っていて、恋に不器用な姉のことを誰よりも心配している。弟たちにも優しく、料理が得意で、いつだって家族ファースト。
両親を失っていつ壊れてしまうかわからない危うい家族を守っていくためには、彼らのようにお互いに寄り添い、支え合いながら生きていくしかなかったのだろう。でも、そんな悲愴感なんて微塵も見せず、いつもふにゃふにゃの笑顔で家族を和ませている。
一方で、姉の親友であるみゆき(奈緒)に恋していて、彼女の口についたカフェラテの泡を指ですくってペロッと舐める天然の部分もあったりする。それだけ接する人間との間に壁を作らないということ。逆ソーシャルディスタンスな男なのである。
序盤はあまり目立たなかった和輝が活躍したのが第7話。姉に恋人のことを打ち明けられて「姉ちゃんの味方でいてください」と頭を下げられると涙を流し、「今度は俺たちが姉ちゃんを守る」と誓ってみせる。そして姉の恋人に会いに行き、「あなたが姉を傷つけるなら、僕はあなたを許さない」と宣言して「約束してください」と頭を下げる。いつもはホットココアのように優しくて温かくて甘いのに、どこまでもまっすぐで芯の強い男なのだ。
第7話ではみゆきとの恋も成就させ、花の咲き誇る公園で年上の恋人を抱きしめてぐるぐる回ってみせた。桃子の妄想の中では真っ白なタキシードを着た花婿姿まで披露している。
和輝はナレーションも担当しており、ちょっと高めの少年のような声で姉を思う気持ちを語っている。『姉ちゃんの恋人』というタイトルは、彼の目線からつけられたもの。つまり、和輝はこのドラマが持つ“優しさ”と“強さ”の象徴のような存在だと言っていいだろう。
実は熱い努力の人
高橋海人は俳優として演技をするのが『姉ちゃんの恋人』で3回目。プライムタイムの連続ドラマ出演は今回が初となる。
デビュー作のドラマ『部活、好きじゃなきゃダメですか?』(日本テレビ)では、実力はあるのに部活が嫌いでいつもサボろうとするサッカー部員を演じていた。オープニングの熱血なマンガの世界と、ダルそうな現実の落差が毎回最高だったが、最後の最後で相手チームに馬鹿にされた仲間のために少しだけ本気になる展開が胸アツだった。演技初挑戦だった高橋は、「こんなに素敵で楽しい世界が芸能界にあったんだ!」と衝撃を受けたという。
2作目が、映画化もされた『ブラック校則』(日本テレビ)。不登校になったヒロインのモトーラ世理奈のため、ブラック校則を変えようとする主人公の佐藤勝利に協力するトリッキーな親友役だった。ドラマの中では達者なラップも披露している。高橋は本作の撮影もとても自由で楽しかったと振り返っている。
奔放で、掴みどころがないが、いざというときは仲間(どちらも一途で真面目な主人公)のために立ち上がる熱さを秘めているという役柄が共通していた。それぞれ吉田鋼太郎、光石研といった名バイプレイヤーのサポートを得ているところもポイントだ。
3作目となる『姉ちゃんの恋人』では、姉を思う弟、年上の女性に恋する大学生、ナレーターと3つの側面を持つ難しい役に取り組んでいる。これまでの役柄とは複雑さが明らかに増しており、ピュアで明るく誰とも気軽に接する和輝の性格は他人と距離をとりがちな高橋自身の性格とも真逆らしく、苦労が絶えないようだが、努力と根性で食らいついている。林遣都の過去の作品を観た上で話を聞くという勉強熱心さも買われていて、林から多くのことを学んでいるという。
脚本の岡田惠和は“同志”と呼ぶ有村架純を筆頭に、『姉ちゃんの恋人』にも出演している和久井映見、光石研、やついいちろうなどいわゆる常連の俳優が少なくない。林遣都は連続ドラマ初出演だった『小公女セイラ』以来11年ぶりの岡田脚本作品への出演だが、今回の役は彼のために当て書きされている。
高橋海人もまた、今後そうなる可能性を十分秘めている。岡田は高橋が主演した『ブラック校則』を2019年のベストの一本に挙げており、『姉ちゃんの恋人』での高橋の演技が「大好き」で、「いつか主演で連ドラとか映画をやるのが夢」とも語っていた(『岡田惠和 今宵、ロックバーで』10月25日)。とても単なるリップサービスとは思えない。
ラジオでファンに向かって「俳優という職業が素敵だということも気づいてしまいました」と宣言した高橋海人。ふわふわした印象を持たれることが多かった高橋だが、実は熱い努力の人。『姉ちゃんの恋人』が俳優としての飛躍のきっかけになるのは間違いなさそうだ。
※高橋海人、高橋優斗の「高」はハシゴダカが正式表記。
■大山くまお
ライター・編集。名言、映画、ドラマ、アニメ、音楽などについて取材・執筆を行う。近著に『バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで』(共著)。文春オンラインにて名言記事を連載中。Twitter
■放送情報
『姉ちゃんの恋人』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~放送
出演:有村架純、林遣都、奈緒、高橋海人(King & Prince)、やついいちろう、日向亘、阿南敦子、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、スミマサノリ、井阪郁巳、南出凌嘉、西川瑞、和久井映見、光石研、紺野まひる、小池栄子、藤木直人ほか
脚本:岡田惠和
音楽:眞鍋昭大
主題歌:Mr.Children「Brand new planet」(TOY’S FACTORY)
演出:三宅喜重(カンテレ)、本橋圭太、宝来忠昭
プロデュース:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)、平部隆明(ホリプロ)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
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