『仮面ライダーゼロワン』高橋文哉×鶴嶋乃愛 集大成の劇場版では「ひと皮むけた姿が見られます!」
映画
インタビュー
2019年9月から2020年8月にかけて放送された『仮面ライダーゼロワン』が、舞台をテレビから映画館に移して、集大成といえるストーリーを展開する。現在全国公開されている『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』は、最後の最後に不穏な動きが感じ取れたテレビシリーズのその後を描いたもので、人類滅亡を図る新たな敵・エスを阻止するべく仮面ライダーたちが奔走する、“世界滅亡までの60分間を共に戦う、体感型タイムリミットサスペンス”。飛電或人やイズをはじめとするおなじみのキャラクターたちが、新たな関係性を築きながら最大の敵と対峙する姿は、テレビシリーズから観てきた者にとってたまらないものがあるのではないだろうか。
1年以上におよぶテレビシリーズの撮影を終え、しばしの休息を挟んで再び劇場版で『ゼロワン』の世界へと戻っていった飛電或人役の高橋文哉とイズ役の鶴嶋乃愛は、どのような心持ちで撮影に臨んだのだろう。ふたりに話を聞いた。
長いようで短かった1年間
みんな顔つきが変わった!
── おふたりとも『ゼロワン』が初めての長期ドラマ出演でしたが、1年間以上続いた撮影がクランクアップしたときのことを覚えていますか?
高橋 いろんな感情がありましたね。「ああ、終わっちゃったなあ」という寂しさと、「ついに完結したなあ」というちょっとした達成感と両方あって、終わってから何週間かは、あらためてこの1年間すごく濃かったなと感じていました。
── では、かなり引きずったんですね?
高橋 引きずりました、はい。
鶴嶋 本当に文哉くんが言っていたのと一緒で、こんなにずっと同じ役を演じるってことも、きっとこの先あるのか分かりませんし、そういう意味でも本当にこの1年以上は濃かったです。
撮影しているときは「まだまだあるなあ、長いなあ」と思っていたんですけど、いざ終わってみると「あれ、終わっちゃった?」みたいな、いきなり夢から覚めたような感覚になって。終わってみるとあっという間だったなと感じて、やっぱりすごく寂しかったですね。
── これだけひとつの役を演じ続けると、それこそ第1話と最終話を見比べると成長も手に取るように分かりますよね。
高橋 今観ると、懐かしさと恥ずかしさがあって。下手くそだなと思いながらも、成長したなとも思いますけど、どちらかというと幼稚園の頃のDVDを観るぐらいの感覚で、「このとき、こんなだったね」という思い出ムービーを観ているようで(笑)。
鶴嶋 私は「ああ、このときこんな気持ちだったなあ」とか、今でも楽しく第1話を観ています。一番思うのは、私を含めて顔つきがみんな変わったなって。
高橋 ああ、そうだね。
鶴嶋 最終話と見比べると、一目瞭然ですよね。
── 皆さん、本当にたくましくなりましたものね。
高橋 確かに。
鶴嶋 顔つきもそうだけど、目が違うんですよね。
テレビシリーズから劇場版へ
“空白の3カ月”に何があったのか?
── そこから劇場版の撮影に入るまで、ちょっと時間が空いたと思いますが、気持ちの切り替えはすぐにできましたか?
高橋 僕はテレビシリーズが終わったことで、僕の中でも或人の中でもひと区切りがついたので、『ゼロワン』から1回距離を置こうと思っていたんです。だから、劇場版に関してはクランクインの1週間前から台本を一気に読み込みました。
1年以上の付き合いだったので、役のことも理解していますし、だからこそフラットに、リラックスしてクランクインできて。それに、監督が杉原(輝昭)さんでもあったので、「杉原さんにこの1年の成長を見せよう」ぐらいの気持ちで臨みました。
鶴嶋 私も長期にわたって準備をするというよりは、クランクインの直前に台本を読んで臨みました。『ゼロワン』ってコロナでの自粛期間を挟んで2カ月撮影ができない時期もありましたし、やっぱりずっと演じてきたのもあって、私は役にスッと入れたというか。
特に映画の方はアズ(※人口知能アークが、衛星ゼアのデータをラーニングするために送り込んだ使者。姿こそイズに似ているものの、髪型や目の色、性格や言葉遣いなどが異なる)も演じたので、そこの切り替えという面でもずっとイズに入っていてもダメだし、ずっとアズに入っていてもダメ。そこは切り替えのスイッチを自分の中で作ってやりましたね。
── そのイズも、テレビシリーズ最終話でリセットされたことで或人との新しい関係を築き始める中でエンディングを迎えました。そこから劇場版へと続くわけですが、時間はどれくらい経過している設定なんですか?
高橋 3カ月です。でも、その3カ月の間に起きたことに関しては特に設定はなかったので、その3カ月の間に何があったのかを考えながら撮影していました。
特に映画の台本を読むと、或人がすごく大人になったと感じたので、そこを踏まえて「3カ月間、こういうことがあったのかな?」という裏設定を自分の中で作り込んだんです。
鶴嶋 イズに関しては初心に戻るというか、第1話の頃を思い出しながら演じることを心がけました。最終話では或人とイズがどうなっていくんだろう?という終わり方でしたけど、イズはテレビシリーズのときから或人のお芝居によって成長してきたキャラクターだったので、だからこそ映画でも新しいイズが成長した或人から吸収できることをどんどん吸収していこうと考えました。でも実は今回、ふたり一緒のシーンが少なくて。
高橋 お互いがお互いのキャラクターをよく理解しているので、「イズのこういう顔が見たいから、こういうお芝居をしてみようかな」と挑むと、求めた以上のお芝居が返ってくるし、それによって僕のお芝居もより引き立たせてもらえる。そういう部分ではお互い信頼しているので、少ない一緒のシーンでもそんな関係性が表せていると思います。
── 今回は60分で世界を滅亡させようとするエスに立ち向かう仮面ライダーたちの姿が、リアルタイム進行で描かれています。テレビシリーズ以上に緊迫感の強い構成になりましたね。
高橋 すごいですよ。常に何かがどこかで起きているので、観ている側もハラハラして忙しいんじゃないかなと思います(笑)。しかも、残り何秒ってところで映画もクライマックスを迎えるし、タイマーがゼロになってから物語が終わるまでの流れも結構シュッと進んでいくので、その間の或人とイズのいいシーン含めて楽しんでほしいですね。
鶴嶋 アネモネの花が、すごくいいんですよ。
高橋 アネモネね。映画を観ないと何のことか分からないと思いますが、それだけ言っておきます(笑)。
成長した或人とリセットされたイズ
それぞれのキャラクターの変化とは
── それと、テレビシリーズを観ていた方には滅や迅など、本編で敵対していたキャラクターたちとの関係性に変化が生じていることも見どころですよね。
高橋 変わりましたねえ。「滅がこんなこと言うのか!」みたいな、そういうのはありますよね
鶴嶋 私は(不破)諫に対して、本編では「ゴリラですか?」とか言ってみたり「社長出勤ですか?」と厳しめだったところも、映画ではキョトンとしていて。諫にガツガツ言い寄られていると、滅が「それは前のイズじゃないから」みたいな感じで返すんですよね。それこそ以前のイズは或人以外に対して辛辣な面があったので、そういうことが言えないのは寂しいなと思いました。
“アルトじゃないと”を一緒にしないのもそうですけど、AIらしいラーニングをしていって、周りに対してだいぶ慣れていろいろ突っ込むようになってきたのに、それを使うというのもしなくなっちゃったので、そこの関係性も結構変わりましたし。
── 鶴嶋さんはそんなリセットされたイズの他に、アズという敵役も演じています。イズとアズを演じ分ける上で、今回はどういうことを意識しましたか?
鶴嶋 イズとアズって本当に真逆でかけ離れているので、演じ分けるのに大変さはまったくなかったんですけど、イズに関しては初心に帰った、新しい気持ちでやることを意識して、一方でアズは自分とアーク様以外は全員下に見るくらいの気持ちでやっていました。今回は衣装も変わったので、それも相まって気持ち的にはだいぶ変化がつけられたんじゃないかな。
高橋 大事だよね、衣装って。
鶴嶋 うん。特にアズの場合は髪も長いですし。滅と話すときも「まあ私は全部知ってるけど」みたいに情報を小出しにして教えたりと、翻弄する感じが楽しかったですね。
── 或人に関しては先ほど高橋さんがおっしゃったように、今回は強さや頼もしさが増していて、成長を強く感じられます。特に終盤にかけての動きには、第1話の或人とは完全に別人だなと思わされました。
高橋 或人の成長スピードって異常なくらい速いんですよね。それこそ「お前がラーニングして俺を上回るなら、またそれを超えてみせる!」というセリフがあるんですけど、自分の学習能力やポテンシャルを理解しているからこそ言えるセリフだなと思って。そこに至るまではいろんな苦労もあっただろうし、見たくないものも見てきたと思うんです。だからこそ、空白の3カ月間に何があったのかというのをすごく大切にして演じました。
── 結果、その3カ月が人としての成長をより促したと。
高橋 本当にそうですね。だから、演じながら思いましたもん、「カッコよくなったなあ。こんなセリフ、今まで言ったことなかったよ」って。映画では大人になってひと皮剥けた或人が見られると思いますよ。
── 今回の劇場版はテレビシリーズから1年以上かけて演じてきた或人とイズの集大成でもあるのかなと思います。劇場版公開を前におふたりは今、或人とイズにどんな言葉をかけてあげたいですか?
高橋 僕はもう、これからもイズを守ってほしいなと思いますね。もう何があっても折れないだろうし、後悔のないようにイズのことも、イズ以外のことも守り続けられる本当のヒーローであってほしいと伝えたいです。
鶴嶋 私は常に或人社長をサポートしていてほしいなっていうのが、一番伝えたいことかな。欲を言うと、またいつか“アルトじゃないと”をやってあげてねって言いたいですね。
高橋 今頃、どこかでふたりしてやっているかもしれないよ?
鶴嶋 確かに。いつかその姿も観てみたいな。
高橋 さらに成長したふたりの姿を、何らかの形で描いてもらう機会があったらうれしいですね。
取材・文:西廣智一 撮影:源賀津己
※ぴあアプリでは高橋さん、鶴嶋さんのアザーカットも掲載中! アザーカットはアプリでご覧ください。
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