勢い増すNCT、期待の新星TREASUREとSTAYC、BTSの入隊……2021年K-POPシーンはどうなる? DJ泡沫×NICE73が予想
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BTS「Dynamite」がアメリカビルボードシングルチャート“HOT100”1位を獲得、国内での『Nizi Project』とNiziUの人気など、K-POP文化の魅力は世界中のリスナーや日本国内のこれまでにない層にも届き始めている。
今回リアルサウンドでは、昨年に続き、当サイトでK-POPに関する記事を執筆するライターのDJ泡沫氏(写真右)と、K-POPイベントのMCや作詞・作曲家として活躍するNICE73氏(写真左)を迎え、2020年のシーンを総括する対談を行った。後半では、2人が考える“2020年印象に残った1枚”について、そして2021年のシーンはどうなるのかに至るまで熱く語り合ってもらった。(編集部)
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【オリジナル動画】DJ泡沫×NICE73が選ぶ、2020年K-POPベストは?
楽曲派にオススメのOnlyOneOfとONF、2020年勢いを増したNCT
NICE73:後半は2020年を代表する1枚についてということで。
DJ泡沫:代表する曲というとやはりBTS「Dynamite」ですが、もうすでにかなり売れているグループなので置いておきます。今年面白かったものだと、先程話に出たLOOΠAのプロデュースをしていたチョン・ビョンギが手掛けている、OnlyOneOf。8D CREATIVEから初めてデビューしたボーイズグループなんですけど、曲の制作を頼むところがちょっと変わっていて。『Produced by』シリーズのパート2は、ソ・サムエルが手がけたり、今までアイドルに楽曲提供していなかったアーティストたちにも書いてもらっていて、クオリティがかなり高いので、楽曲派のK-POP好きの間では注目されています。
NICE73:メンバーのJunJiの目はいつ見られるのか(笑)。
DJ泡沫:(笑)。JunJiという名前ですが、日本人ではなく韓国人です。この名前は韓国でも人気のあるホラー漫画家・伊藤潤二からきたのかなって思ったんですけど。VIXXのKENの名前が平井 堅から取ったように、ちょっとかっこいい、神秘的な日本人の名前というか。ともかく、OnlyOneOfは韓国のヒップホップやR&B好きにもおすすめですね。あとはONF『Spin – Off』。
NICE73:名盤ですね。
DJ泡沫:B1A4の後輩グループで、日本人メンバーのUも所属しています。今年『Road to Kingdom』に出演して、チャートの成績が上がってきている印象があります。最初からMonoTreeがずっと曲のプロデュースをしていて、デビューアルバムから聴いていたんですけれども、今作はレゲエ調の曲もあったりして良かったです。MonoTreeのファンヒョンはプロデュースをずっと手がけているので、ファンからも「いつも良い曲を書いてくれてありがとう」と慕われていて、「ファントーベン(ファン・ヒョン+ベートーベン)」や「ファンボジ(ファン・ヒョン+アボジ=お父さん)」といった愛称までつけられていました。
NICE73:私はすごく悩みまして……BTSやBLACKPINKって当然みたいなところあるじゃないですか。すっごい考えて、NCTまで来たんですよ。でもNCTのアルバム(『RESONANCE』)にするのか、NCT 127のアルバム(『NCT #127 Neo Zone』)にするのかでまた悩んで。NCTの今回のアルバムはすごく良かったですし、「From Home」は泣けるぐらい、“アジア平和”みたいなものを感じて、本当に良いアルバムだなと思ったんです。でもこのプロジェクトがこんなにも大きくなったきっかけは何かと言われたら、NCT 127の「英雄; Kick It」 な気がして。彼らは今まで、難しい曲を果敢にやっていたじゃないですか。それをこんなにもたくさんの人が受け入れてくれて、みんながダンスを真似してくれたこの曲があってこそ、NCTのアルバムがあったのかなと思うと、決めきれませんでした(笑)。
今のK-POPシーンには“ちょっと変”な曲が足りない!?
DJ泡沫:今年はコロナの影響もあって、大型企画があまりなかったというか。カムバックも観客を入れてできるのも限られるし、他のグループは宣伝も含めて安定期という感じでしたね。「Dynamite」は韓国側の制作が全く噛んでないので、もはやK-POPと言っていいのかどうかわからない(笑)。その点、BLACKPINKはまだTEDDYが手がけていますが。
NICE73:そうそう。だから、泡沫さんはどうくるのかなと思ったら、まさかOnlyOneOfとONFだとは。
DJ泡沫:TREASUREも迷ったんですけどね。YGということで、どう見せてくるのか、やっぱり面白いです。人数も多いし。
NICE73:そうそう。2枚目の『THE FIRST STEP : CHAPTER TWO』の「사랑해 (I LOVE YOU)」で“愛してる”って言いまくるところとか、変態かよ! と思って(笑)。
DJ泡沫:K-POPの良いところって、お洒落だったりかっこいい曲もあるんですけど、時々ちょっと変な曲が入っているところで。それがここしばらくきれいめな曲が多くて、あんまり「なんじゃこれ!」っていうのがなかったですよね。それで言うと、NCT 127の「英雄; Kick It」はちょっと変というか、「こういう曲、聴きたかった!」という感じです。
NICE73:たしかに最近、ちょっと足りない気がしますね。もっと攻めてほしい!
DJ泡沫:去年だったら、MONSTA Xの“ワカワカ”(「Shoot Out」)とかつい真似しちゃうようなものがあったんですけど、今年はあまりなくて。そんな中でNCT 127や、TREASUREも表題曲3曲がどれも、このまま普通に展開していくのかなと思ったら、サビで急に変わって、後半に向けてYGっぽくなっていく。こういう曲は久しぶりだなと思いましたね。
2021年はボーイズグループの“入隊”問題も
NICE73:2020年も色々なグループがデビューしましたが、2021年注目しているグループはありますか。
DJ泡沫:“プデュ”系の子たちがある程度デビューし終わっちゃったので、これから出るグループがわからないんですよね。大手事務所は、来年かは分かりませんが、YGがもう1組、女性グループを出すという話はあるみたいですけど(参照)。
NICE73:それは楽しみですね。私は今年のデビュー組だと、MCNDが好きすぎて。今年デビューしたグループにもうちょっと外に出て活躍してほしいなと。
DJ泡沫:新人アイドルこそたくさん接触して、ファンを増やさなきゃいけないんですけど、新型ウイルスの煽りを受けてそういうイベントもできなかった。オンラインのみってなると、人気の先輩グループがいる事務所が断然有利で。今年のデビュー組でいうと、CRAVITYやWeeklyですかね。でもその中でSTAYCはアルバムが1万枚以上売れました。
NICE73:STAYCは本当に可愛いですね。
DJ泡沫:よくK-POPの曲を書いているブラック・アイド・ピルスンがプロデュースしていることもあり、注目されています。
NICE73:これでいつも通り活動できるようになったら、どこのグループが残っていくのかっていうのも気になりますね。
DJ泡沫:今年デビューした子たちはスタートダッシュが不運だったんですけど、それは“プデュ”シリーズが跳ねた年の新人も同じだったと思います。あと男子の場合はこれから、2015年デビューあたりのグループメンバーが入隊していく時期です。必然的に完全体では活動できなくなるので、どういう風に活動していくのか、どれぐらい休むのかがポイントですね。SUPER JUNIORのように10人以上いれば、1人や2人、順番に出たり入ったりしても大丈夫だと思うんですけど、メンバーが6人や7人だと、半分いなくなってしまうと厳しいものがありますよね。
NICE73:BTSもどうなるのか、ニュースにもなるほど注目されています。
DJ泡沫:どこのグループも入隊しなければいけないし、そこは事務所がちゃんと考えて活動しなくてはいけないですよね。ソロやユニットをやるのか、それともやらないのかは、グループの特性によって変わってくるとは思うんですけど。
NICE73:海外から色々意見を言ったとしても、国内でこれからも生きる人生を考えると、入隊するしか選択肢はないですもんね。
DJ泡沫:兵役が免除になったとしても、どのみち代替業務に就かなければいけないですし、その間は芸能活動をしてはいけないので。その間どうするのか、事務所もそうですけど、ファンも考えますよね。そういう意味でTOMORROW X TOGETHERには期待です。
NICE73:頑張ってもらいたいですね。もちろん、ファンはちゃんと帰ってくるのを待っていますから。流れは早いですが……。
DJ泡沫:メインのファンの流れは早いかもしれませんが、今の人気のスケールって、国内だけじゃないから、全体の規模で言ったらものすごい数がいるはずです。「Beyond LIVE」では、SUPER JUNIORが一番視聴者が多かったと聞いて、以前から海外を回っていた成果なのかなと思いましたね。とはいえ、どこでどのぐらい人気があって、どれぐらいお金を稼いでいるのかは事務所しかわからないので、ファンにできるのはとにかく自分が好きなグループを応援することだと思います。
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