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杉咲花×若葉竜也、2人の「好きになれてよかった」 『おちょやん』が描いた失恋と成長

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リアルサウンド

 鶴亀撮影所の新人女優として、新たな一歩を踏み出した千代(杉咲花)。朝ドラ『おちょやん』(NHK総合)第7週では、そんな千代の初恋が描かれた。

 恋のお相手は、表現力の幅を広げるために「仮の恋人役」を頼んだ助監督の小暮(若葉竜也)。最初は“恋人のフリ”だったはずが、小暮から「千代ちゃんと話してると、なんだかいつもホッとして元気になれた」と言われ、千代は心を射抜かれてしまう。

 思い返せば、千代にこれほど真っ直ぐな優しさを向けるのは彼が初めてだったかもしれない。これまで千代と関わってきた人物はみんな優しかったが、一平(成田凌)をはじめ、どこか千代に対して素直になれない不器用さが滲み出ていた。紳士的で物腰が柔らかく、夢に向かって一生懸命な小暮を好きになるのも分かる気がする。

 しかし、小暮が女性として惹かれていたのは千代ではなく、鶴亀撮影所のスター女優・高城百合子(井川遥)。自由を愛し、自分の気持ちに常に正直な百合子に小暮が惹かれるのもこれまた納得できる。主人公の初恋が実らないのは朝ドラあるあるだが、初めて好きになったちょっと年上のお兄さんが、自分より遥かに大人っぽい女性に恋をしていた……という失恋エピソードもこの世には掃いて捨てるほど存在する。

 かくして失恋した千代は、映画『カルメン』で他の女性を好きになった夫に捨てられる若妻役に抜擢される。夢にまでみた“名前のある役”を手にした千代だが、百合子のコネで選ばれたことを知っているだけに素直には喜べない。撮影中も思うように演技ができず、監督のジョージ本田(川島潤哉)から次の撮影で上手くいかなければ、役を下ろすと言われてしまう。

 そんな千代を小暮はデートに誘い出す。なにせ百合子は恋人の俳優と駆け落ちし、小暮も傷心の身。口では「また励ましてもらおうかなと思って」と言っているが、千代を励ますためでもあったのだろう。そんな優しさも、小暮を好きな千代にとっては少し残酷だ。しかし、小暮とのデートで千代は思わぬ“ヒント”を得ることに。それは、小暮の「(百合子を)好きになれてよかった」という言葉だった。

 次の日、千代が若妻を演じながら語ったのは、父親に散々振り回された挙句に捨てられた過去があるから「誰も好きにならない」と心に決めていたという過去。誰かを好きになればなるほど、裏切られた時の悲しみは大きくなる。誰だって、傷つく可能性のある無謀な恋はしたくない。人を好きになるという行為自体、とても勇気のいることだ。千代にとって、そんな理屈を跳ね飛ばしてくれたのが小暮だった。

「あなたを好きになれてよかった」

 カメラの向こうにいる小暮の目を見て、涙を浮かべながらはっきりと告げた千代の演技はその場のスタッフや共演者の心をも動かす。恋すら知らなかった千代が、失恋という経験を通して女優として大きな成長を遂げた。

 それから3年、千代は中堅女優として撮影に追われる日々を送っていた。活動写真にも「竹井千代」の名前が載るように。でも、待てよ……千代の本名が広く知られるようになったら、せっかく逃げてきた“あの人物”に居場所が伝わってしまう。そう、あの人物とはみんなが恐れていた父・テルヲ(トータス松本)。千代が誰かを好きになることに、人一倍不安を感じるきっかけを作った張本人だ。どうやらまた、テルヲは何かを企んでいる様子。今度こそ、千代が居場所を失くすような失態は犯さないでほしいと願うばかり――。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/