神様を脅迫、密造酒を造る……「こち亀」両津勘吉の“欲”が暴走したエピソード4選
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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公、両津勘吉。彼の魅力?の一つになっているのが人間らしい欲深さだろう。普通の大人ならさらけ出すことを躊躇してしまうほどの「強欲」を見せつけ、それが想定外の事態を次々と引き起こすのは「こち亀」お決まりのパターンだ。今回はそんな両津の「欲望渦巻く回」を振り返ってみたい。
1万円のバイキングで10万円分食べようとする
1万円食べ放題のバイキングに行くことになった両津は、5日間水だけで過ごし、「目標10万円」というはちまきを締め、本田に肩を借りてバイキング会場に向かう。
当時の消費税で「1万600円」取られた両津は絶対に元を取ることを誓うが、「急に多くの食べ物を見たから気持ち悪くなった」と倒れる。しかし皿に大盛りの食べ物を取り、いざ食べようとした。
すると本田が「一緒にトイレに行ってほしい」と懇願。渋々付き添い、バイキング会場に戻ると、人がいなくなってしまっていた。ホテルで火事が起きており、全員避難していたのだ。事実を知らずに喜び勇んで飯を食う両津と本田。そこへ部長から「ビルが燃えている」と連絡が入り、消防隊員から「エレベーターはすでに止まっていて使えない」「救出するまで待ってろ」と指示を受ける。
本田は「閉じこめられた」と涙を流すが、両津は火が回るなか、「わしは10万円食べ続けるつもりで来た」「どんな事があっても食べる」と料理を食べ続ける。しかし火は煌々と燃え、いよいよその身が危なくなった。
部長から「救助ヘリが来たので屋上にいけ」と指示を受けた両津は、キャビアをポケットに、ズボンにエスカルゴを入れ、カレーを染み込ませたシーツをまとい、屋上へ行き、ヘリのロープにしがみつく。「食料を捨てろ」と促させるも拒否する両津。結局食材の重さで切れてしまったが、シーツをパラシュート代わりにして、パトカーの上に着地した。
命が助かった両津だが、ズボンのエスカルゴなどがめちゃくちゃになってしまい、「全部ばらばらになってしまった。1万円分食べてないのに」と泣く。部長は「この男は命より食べ物のほうが大事らしい」と呆れた。(65巻)
密造酒を造る
余ったブレンド米から日本酒を作ることを思いついた両津は部長から米を貰い受けると、本などを参考に、寮に手作りの工場を設置し、本当に酒を造ってみせる。
「日本酒造りって法律違反では」と感づいた両津だが「自分で楽しむのは問題ない」と開き直る。順調に酒を造っていると、「近所から苦情が来ている気味の悪い工場をなんとかしろ」と注意を受けてしまう。
両津は閉鎖トイレを酒工場に改造し、酒造りを続ける。そして製造量が飲む量を超えたことから、販売することに決めた両津。警察を中心に、メーカー不明の酒を販売するFAXが送られることを見た部長は「無許可で売るのは犯罪だ」と怒る。
部長と中川が両津を怪しむなか、寺井が両津の酒工場を発見。疑われた両津は泣き叫んで冤罪を主張するが、「20本でいくらだ?」と聞かれると、つい「割引で1万3000円です」と答えてしまい、全てがバレてしまった。(94巻)
金に目がくらみマジシャンのアシスタント
中川、麗子とピエール西川口のマジックを見に行くことになった両津は、催眠術をかけられる役に指名され、舞台に上がる。
催眠にかからない両津にピエールは「お金あげます」と耳打ち。すると両津は言うとおりになる。しかし「いくらまで出す?」という両津の耳打ちに「1000円」と渋ると、再び言うことを聞かなくなる。結局1万円で催眠術にかかることになった。
ところが控室で金を受け取ろうとすると、ピエールは「それは催眠術の呪文なのだ」と拒否し、両津に手錠をかける。怒りの両津は手錠を力で破ると、「怪力ショーの団員にほしい」と懇願され、月20万円で劇団入りした。
モガンボとなった両津は世界初の壁すり抜けを行う。それはもちろん超能力ではなく、力で叩き割るものだったのだ。このあともモガンボ両津として、危険なショーに挑み続ける。最後は人間大砲にまでやらされるが、目先の金にくらんで断れなくなっていた。やはり、金の魔力には、敵わなかったのだ。(80巻)
神様を脅迫
朝起きると身体をニワトリに変えられてしまっていた両津。この犯人が天国の花山という男の仕業だと勘付き、自力で天国へと向かう。
花山から「神様の仕業」と聞かされた両津は2人で神様に会いに行く。大仏のような神に元の姿に戻すよう頼み、「悪さをしない」という理由で人間に戻してもらった。
ところが納得のいかない両津は、悪魔を引き連れて神様の襲撃に向かうが、一蹴されてしまう。すると、ゲリラ作戦に切り替え、神様の頭がカツラであることを掴むと、「神はハゲ頭だったとバラすぞ」などと脅しをかける。そして「交換条件」として、銀座に「ワシの土地を100坪よこせ」と脅迫。神様は「わかりました。カツラということはご内密に」と承諾した。
派出所に戻ると中川が「銀座に鷲の土地という無人の土地が100坪発見された。鷲の土地の看板があるだけで所有者がわからず、国有地になってしまう可能性が高い」と書かれた新聞を読む。
両津は「神の野郎め、たしかに言ったとおりにはしたが、したたかなやつだ」とつぶやいた。神様も恐れず、カツラをネタに揺すって銀座に土地を貰おうとする。まさに、強欲である。
欲深さは両津の大きな魅力(?)
人間の美徳とは大きくかけ離れている両津の欲深さだが、「こち亀」ではそれが物語を動かす大きな原動力でもあり、両津自身のはちゃめちゃな魅力にも繋がっているのかもしれない。