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秦 基博、女王蜂……J-POPシーンに新たな刺激を与える作品たち 新譜からピックアップ

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リアルサウンド

 NHK連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)主題歌として話題の秦 基博の新曲「泣き笑いのエピソード」、2月24日、25日に初の日本武道館ワンマンライブを予定している女王蜂のニューシングル『夜天』。J-POPシーンに新たな刺激を与える最新作を紹介します。

 NHK連続テレビ小説『おちょやん』主題歌としてすでに大きな反響を集めている「泣き笑いのエピソード」は、秦 基博の新たな代表曲になる可能性を備えた楽曲だ。ドラマの主人公のモデル・浪花千栄子(過酷な生い立ちを生き抜き、喜劇女優として一世を風靡した伝説的俳優)の人生をモチーフにした歌詞は、“きついことがあっても日々を生き抜いていこう”という前向きな意志がナチュラルに映し出されている。アレンジはアルバム『コペルニクス』でもタッグを組んだトオミヨウが担当。木管楽器を活かしたアレンジ、重層的なハーモニーを軸に、楽曲のムードに寄り添うオーガニックな音像を生み出している。カップリングにはアルバム『コペルニクス』収録曲から、自粛期間中に制作された “コペルニクス AT HOME”バージョン2曲(「LOVE LETTER」「アース・コレクション」)、さらに書き下ろしの新曲バラード「カサナル」を収録。

秦 基博 – 「泣き笑いのエピソード」Music Video

 『十』(2019年)、『BL』(2020年)の2作のアルバムで驚くべき変化を遂げた女王蜂のニューシングル『夜天』。表題曲は、儚く、繊細なファルセットと力強く情熱的なストロングボイスを使い分けながら、4分間のなかで壮大なストーリーを描き出す感動的なナンバーだ。組曲のように展開するメロディとサウンドのなかでアヴちゃん(Vo)は、この世のすべての生を肯定し、光を当てる。特に〈持ち寄る孤独は星たちのように、胸に宿り〉というフレーズを神聖な旋律とともに響かせる場面は圧巻だ。カップリングには、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で再生数2000万回超えの「火炎」のアコースティックバージョン「火炎(FLAME)」、美しいストリングスと重厚なコーラス、“あなたとわたし”の刹那的で脆い関係を描いた歌詞が融合し、高みに昇る「コスモ」を収録。現在の女王蜂の充実ぶりを証明する1枚だ。

女王蜂 『夜天(STARRY NIGHT)』Official MV

 過去作をリアレンジした「再定義」シリーズ3曲「Samidare」「Heaven」「Undulation」(アニメ『2.43清陰高校男子バレー部』エンディングテーマ)、映画『夏、至るころ』の主題歌として制作された「ただいまと言えば」などを収めたメジャーデビューアルバム。『find fuse in youth』という刺激的なタイトルが冠された本作には、崎山蒼志の代名詞であるアコギの弾き語りによる楽曲はもちろん、自らトラックメイクしたエレクトニカ的な楽曲、アレンジャーとタッグを組み、色彩豊かなサウンドを描き出す楽曲まで、驚くほどに幅広い音楽性が表現されている。叙情性と鋭さを内包したボーカル、生々しい日常と奔放な想像力が混ざり合うソングライティングもさらに向上。この春、高校を卒業し、本格的にミュージシャンとしての人生を歩み始める彼は、(おそらくこちらが想像する以上に)大きな可能性を備えているようだ。

崎山蒼志 01.27 Release Major Debut Album [find fuse in youth] クロスフェード

 邦ロック、ボカロ系、ダンスミュージックなどを自在に組み合わせながら、ポップミュージックの在り方を刷新し続ける秋山黄色から、1stシングル 『アイデンティティ』が到着。アニメ『約束のネバーランド』シーズン2オープニングテーマに起用された表題曲は、鋭利にして軽やかなギターフレーズを軸にした高揚感溢れるナンバー。過酷な現状に抗いながら、未来を自分で選び取り、自由に生きたいというあまりにも切実な願いを込めた歌詞は、アニメの物語に寄り添いつつ、秋山自身のリアルな感情にもしっかりと結びついている。カップリング「日々よ」はシャープに鳴らされるギター、シンプルに削ぎ落されたバンドサウンド、硬質なメロディが共鳴するオルタナ経由のロックチューン。諦念、虚しさ、希望のない現実をリリカルに綴った歌に震える。

秋山黄色 『アイデンティティ』 Lyric Video (short ver.)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。