原因は自分にある。、ポテンシャルの高さを多彩なステージングとともに表現 『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』レポート
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7人組ユニット、原因は自分にある。が1月23日、配信ライブ『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』を開催した。
久下真音、Ayase(YOASOBI)、100回嘔吐、nqrseといった才能溢れるクリエイターが手がけた楽曲、緻密にしてダイナミックなダンスと確実に表現力を増したボーカル&パフォーマンス。1stアルバム『多世界解釈』を引っ提げたこのライブで“げんじぶ”は、数多のボーイズグループとは一線を画した、圧倒的な個性を示してみせた。
最初に写し出されたのは、ミラーボールの美しい光。心地よいグルーヴをたたえたジャジーなSEとともに、大倉空人と武藤潤、長野凌大と桜木雅哉、小泉光咲と杢代和人、そして吉澤要人が順番に登場し、全員がステージに集結。ビッグバンドジャズのテイストを取り入れた「柘榴」からライブをスタートさせた。1番のサビは長野、2番のサビは武藤がメインボーカルを取り、スピード感のある歌割とハーモニーによって、メンバー全員の個性をしっかりとアピール。激しく変化を続けるフォーメーションダンスを至近距離で映し出し、〈今 一度 お見せします〉というセリフではメンバーの顔がアップになるなど、一瞬も見逃せない構成にチャット欄はファンからの歓喜の声で埋め尽くされた。
続く「嗜好に関する世論調査」は疾走するピアノとギターを軸にしたアッパチューン。〈2択 2択 2択〉という歌詞に合わせてメンバーの似顔絵イラストが投影され、2.5次元的な演出が繰り広げられる。そのまま1stシングル曲「原因は自分にある。」につなぎ、ステージの前方、後方、左右に設置されたLEDにはリリックが写し出される。ダンスブレイクでは7人が個性的なソロダンス、エンディングはアクロバティックな振り付けを披露し、ダンサーとしての質の高さを見せつけた。さらに長野のダンス&小泉のボーカルから「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」(ドラマ『年の差婚』オープニング主題歌)に突入。武藤、大倉、桜木、杢代が笑顔で歌を繋ぎ、ラブリーなラブソングをカメラ目線でパフォーマンス。サビでは輪になったメンバーをカメラが内側から順番に映し、コメント欄には「イケメン回転寿司!」というコメントも。ライブ用にアレンジされたノンストップな編成とともに、配信スタートから一瞬も目が離せない映像が続く。
「2021年最初のライブ、『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』へようこそ!」(長野)という挨拶から、全員が自己紹介。アルバム『多世界解釈』のリリースを改めて報告し、「いきなり(アルバムの)目玉(『柘榴』)がきて、ビックリしたと思います。作っていただいた楽曲の世界観に合わせ、パフォーマンスをお届けできる幸せを実感しております」(大倉)とコメント。また小泉は「横一列になって前に出るサビの振り付けは、一緒に前に進んでいこうという意味。他の振り付けにも意味があるので、アーカイブを観てほしいです」と語り掛けた。
この後は、Ayaseが手がけた楽曲「スノウダンス」を初パフォーマンス。アニメーションによるMVともに披露されたこの曲では、憂いを帯びた青のライトのなかで、歌詞の世界観をしっかりと手渡すようなボーカルを響かせ、楽曲の物語とリンクしたダンスを見せる。特に〈君のいない景色に 淡い雪が積もる〉というフレーズを紡ぎ出す吉澤の歌声は強く心に残った。
オレンジを基調とした照明、ラテンのフレイバーを感じさせる「Up and Down」では、官能的なダンスでオーディエンスを魅了。武藤、小泉、長野の3人でサビのパートをシックに歌い上げた次の瞬間、カメラは客席に移動した大倉、小泉、杢代、吉澤を捉え、ジャズテイストの「In the Nude」へ。サビの前で武藤、小泉、長野も合流し、カメラをしっかりと見据えながらセクシーなメロディを奏でる。全員で指を鳴らし、〈下唇でも噛んでみな〉の下唇を指でなでる振り付けも妖艶だ。
バウンシーなトラックが気持ちいい「嘘から始まる自称系」では、画面上にリリックが投影されるなか、長野、杢代がトランシーバーで歌唱。他の5人は既にメインステージに戻り、切れ味鋭いボーカル、ラップを会場に響かせる。サビでは長野、杢代も合流、全員で〈Tsk-tsk Tsk-tsk 凋落って〉というキャッチーなフレーズをシンガロング。会場全体をフルに使ったパフォーマンスはまさに驚きの連続だ。
MCコーナーでは、まず武藤が「ノンストップメドレーということで。ここは4回建てなので、階段を上がったり下がったりして、体力的にもなかなかですけど(笑)、“無観客ならでは”で楽しかったです」とコメント。さらに「2020年は世界中がガマンの年になりましたけど、2021年は1stアルバムもリリースできたし、ドラマ主題歌も決まったし、この流れに乗って、この1年駆け抜けていきましょう!」と吉澤が2021年にかける思いを言葉にした。
その後は「年越し、何やってた?」というトークを繰り広げ、「柘榴」のMV撮影で「景色がきれいなところで撮ったので、気分が上がって叫びたくなって、凌大と僕は叫んでました」(武藤)と気の置けないお喋りが続く。こういう普通の男子感もまた、げんじぶの魅力だろう。
「2020年は皆さんと会えなくて、悲しい年になってしまいました。2021年は挑戦する年、勝負の年。これから高い壁が何回も来ると思うんですけど、一緒に乗り越えられるように手を離さないので。これを見ているみなさん、ファンのみなさんも手を離さないで応援よろしくお願いします」という杢代の決意に満ちたコメント、そして、「君を思って歌います」(小泉)という言葉からラストの「ラベンダー」へ。ピアノと歌だけのシンプルなアレンジ、椅子を使ったパフォーマンスによって、“君”への真っ直ぐな思いを伝えるステージからは、彼らの豊かな表現力を感じ取ることができた。
「2021年はもっともっと多くの人、そして、あなたの原因になれるようにがんばります。今度はライブ会場で会いましょう」と長野が語り掛け、“See you Next Stage”という文字が浮かぶなか、ライブはエンディングを迎えた。
ピアノロック、ヒップホップ、ジャズ、エレクトロなどを内包したアルバム『多世界解釈』を多彩なステージングとともに表現。原因は自分である。のさらなる進化とポテンシャルの高さを改めて証明した40分間だった。