上白石萌音の需要はますます高まる? 圧倒的な強さは“同性の支持”の厚さにあり
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上白石萌音が今、凄まじい大旋風を巻き起こしている。
ちょっと前まで「どっちが姉で、どっちが妹?」「『ぎぼむす』や『いだてん』『3A』『午後の紅茶』のほうが妹で、『君の名は。』が姉?」「小柄なほうが姉で、背が高いほうが妹」などと言っていた人も多数いるのではないか。
しかし、そんな曖昧な認識を蹴散らすように、「姉のほう」萌音の注目度が昨年から著しく上昇している。
佐藤健との共演で大ヒットとなった『恋はつづくよどこまでも』(通称 恋つづ)、現在放送中の『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(通称 ボス恋)と、注目枠として定着しているTBS火曜10時枠のヒロインに2年連続で抜擢。
また、吉沢亮主演で2月14日スタート予定のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』では、篤姫を演じることが発表されている。
加えて、2021年度後期放送のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』では、深津絵里、川栄李奈とともに、朝ドラ初・リレー方式での3世代ヒロインを務める。
なぜ上白石萌音がこんなにも重用されるのか。その理由には、彼女の演技力と、番宣のバラエティ出演時などに見える「素の顔」との両面があるように思う。
実はあれだけ多くの女性に支持された『恋つづ』も、放送開始当初はSNSを中心に「健に全然似合わない」「ヒロインがもっと綺麗だったら良かったのに」「なんでこの子だったんだろう」などと、ヒロイン・七瀬に対して否定的な声が目立っていた。
ところが、物語が進むにつれ、そうした否定的な声は減り、「可愛い」「良い子すぎる」「幸せになってほしい」など、上白石を賞賛・応援する声に変わっていった。さすがに同じ人物たちの手のひら返しではないのだろうが、それにしてもなぜこんなにも極端に評価が変わっていったのか。
一つには、彼女の「芝居」には到底見えないほどの素直なリアクションに感じる新鮮さがあるだろう。片想いから「打倒、魔王!」として始まった七瀬(上白石)の恋が、両想いに変わる第5話あたりから、視聴者率も、視聴者の反応も、共に盛り上がっていった。もちろんその先も苦難はいろいろあるわけだが、視聴者たちは、例えばラーメンを食べて「美味しい~」と笑う七瀬と、その笑顔につられるように「魔王」の口元がほころんでしまう様子、2人が抱き合ってくるくる回るときの自然な笑い声などに、ホンモノのカップルを見るような微笑ましさを感じてしまうことが多かったようだ。実際、両想いになってからの七瀬は多幸感に溢れ、ドラマ内でどんどん綺麗になって言っているようにも見えた。
そうした流れと連動し、途中からは「佐藤健のかっこ良さを愛でる」目が変わっていく。視聴者をキュンキュンさせることを使命としていた佐藤健と、くるくる変わる豊かな表情で、恋心を見事に表現してみせた上白石萌音との2人を「たけもね」として”カップル推し”する声に変わっていったのだ。驚くべきことに、これは今もSNS上で続いている。
上白石萌音の圧倒的な強さは、同性の支持が非常に厚いこと。
主にバラエティなどに出たときに垣間見える素顔に対する感想として、「いつもニコニコしていて本当にいいな」「絶対に性格が良い」「素朴で可愛い」「気遣いができて人間としても素晴らしい」という声は多い。彼女の明るさややわらかさ、礼儀正しさ、言葉遣いの丁寧さ、腰の低さを賞賛するつぶやきもよく目にする。
また、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系、2020年6月6日放送)~「世界一書店へようこそ!読書好き有名人が教えるオススメの1冊」に登場した彼女の自宅の本棚が、ガチで「読書好き」であったこと、著者別に綺麗に並べられていたことが話題になったこともある。
さらに、共演者など、彼女と実際に接してきた人たちの声も彼女の評価を後押ししている。例えば、『恋つづ』共演者の山本耕史は公式サイトでこう語っている。
「(上白石)萌音ちゃんが本当にかわいらしくてフワッとした雰囲気をしていて、現場の雰囲気が悪くなりようがないんです」
「萌音ちゃんとは最近立て続けに一緒に仕事をさせてもらってて、知れば知るほどこんなにいい子がいるんだっていうくらいいい子」
また、『ボス恋』で上白石の良きライバル役を演じている久保田紗友も、『ザ・テレビジョン』(1月16日配信)のインタビューで絶賛している。
「想像していた通りのとてもすてきな方でした! お会いする前の衣装合わせの日、萌音ちゃんとは違う日だったんですが、スタイリストさんから『萌音ちゃんも会いたがってたよ』って言われて、会う前から気に掛けてくださってることがうれしくて、もう虜になりました(笑)。実際にお会いしたら、太陽みたいな、お花みたいな人で。目が合うだけで笑顔になれるし、優しい気持ちになれます。浄化されます(笑)」
中高年層からだけでなく、なぜか同世代の女性たちからも「嫁にほしい」とSNSなどで言われていることが多々ある上白石萌音。それと同時に目立つのは、「可愛い。大好き。友達になりたい」「クラスにいたら絶対好きになる」「上白石萌音のような友がほしい」などという声が目立つこと。
女性が同性に好感を抱くとき、自分もそうなりたいという憧れ・畏怖などの感情や、自身と似たものを感じる親近感などの他に、「同じクラス(身近)にいたら友達になりたい・なれるタイプか」といった軸を持っている人は結構多い気がする。
その点、上白石萌音には、女性にとっての憧れや、自身と重ねて見る共感・親近感よりも、「理想の友達」的雰囲気がある。
一緒にいて思わず笑顔になってしまうような楽しさ、明るさ、元気さがあって、誠実で優しくて、知性や教養もあって、腰が低くて、他人ファーストで、気遣いができる子。これって、実は「普通」のようでいて、すごく難しい条件で、そうした資質を持つ彼女だからこそ、ともすれば嫌われる流れにもなりかねない“イケメンにモテモテ”ヒロインを嫌みなく演じられるのではないか。
ドラマの視聴者の中心である同性に可愛がられ、好かれる女優・上白石萌音の需要は、今後ますます高まっていきそうな予感がある。
■田幸和歌子
出版社、広告制作会社を経てフリーランスのライターに。主な著書に『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)などがある。
■放送情報
火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、犬飼貴丈、橋爪淳、山之内すず、宮崎美子、高橋ひとみ、宇梶剛士、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
主題歌:Kis-My-Ft2「Luv Bias」(avex trax)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS