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加藤剛お別れ会で最後のカーテンコール、里見浩太朗は「あなたの横顔に惚れました」

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「加藤剛お別れの会」祭壇の様子。

6月18日に胆のうがんで永眠した加藤剛を偲ぶ「加藤剛お別れの会」が、本日9月30日に東京・青山葬儀所にて行われた。

加藤は、早稲田大学文学部演劇科で学び1962年にテレビドラマ「人間の條件」にて俳優デビュー。「大岡越前」では1970年から1999年にかけて主演を務め上げ、映画出演作には「上意討ち 拝領妻始末」「砂の器」「影の車」「天城越え」などがある。2001年に紫綬褒章、2008年に旭日小綬章を受章した。

遺影は加藤が65歳頃に撮影されたもの。加藤が静岡出身だったことにちなみ、祭壇には茶畑や富士山を模した花が飾られ、その上で加藤が芝居をしているさまが表現された。会場へと進む道に設置された芳名板には、山田洋次や吉永小百合、十朱幸代、寺島進、伊吹吾郎、綾瀬はるか、坂口健太郎、坂東玉三郎らの名前が記されていた。

お別れ会には里見浩太朗、草刈正雄、東山紀之、近藤芳正ら多くの著名人が出席。冒頭では、在りし日の加藤による「愛と叡智」イニスフリーの湖島の朗読音源が流された。「大岡越前」で共演した里見は「誰よりも観客の前で演じることが好きだったあなたにとっては、本当に本当につらいことでしょう」と加藤に語りかけ、「東映のメイキャップの部屋でお化粧をしながらふとあなたの横顔を見たときに『なんて美しい顔の俳優さんなんだろう』と思いました。ギリシャの美男の彫刻を見ているような思いで、あなたの横顔に惚れ込んでしまいました」とともに過ごした日々を懐かしむ。

「戦争と人間」「忍ぶ川」などで共演した栗原小巻は「きらめく日が沈んだ」と詩の一節を引用して加藤の死を悼む。彼女は「加藤剛さんというたぐい稀な共演者に恵まれたことは、私の俳優人生に鮮烈な輝きを与えてくれました。あのときがあるから、私は今楽屋の化粧前で胸を張って自分を見つめることができます」「剛さん、ありがとうございました。どうぞ安らかに」と感謝を伝えた。

続いて、加藤の息子である夏原諒と加藤頼が「こんなに素敵な方々に愛され慕われ支えられた、80年間の素晴らしい人生でした」「今日は次の公演の心配をしなくていい。最後の晴れ舞台です。最後のカーテンコールとして、お集まりになった皆様の拍手を捧げていただけたら」とそれぞれ挨拶。そして会場中が温かい拍手で満たされる中、お別れの会は終了した。

その後の囲み取材で、里見は「剛さんは俳優というよりも、1人の立派な青年。たまに冗談を言って笑う顔がとても優しくて、心の温かい方でした」としみじみと述べ、「(加藤が)舞台の上に立っていて、最後の幕が下りたかのような。来場者の皆さんの拍手が鳴り止まなかったのは、剛さんだからだろうな」とお別れ会を終えた心境を語る。劇団俳優座で加藤と同期だった横内正は「本当に誠実な方で、僕から見たら兄貴みたいな存在でした。とても寂しいですが、こういう送り出しができてよかった」としみじみと話した。