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YUKI、布袋寅泰、Linked Horizon、高橋優、King Gnu…映画やアニメなど刺激的なタイアップ

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 米津玄師「Lemon」(TBS系ドラマ『アンナチュラル』主題歌)の国民的ヒットをきっかけにして、映画、アニメ、漫画、ドラマなど、さまざまなメディアとのタイアップ楽曲が再び注目を集めている。そこで今回は、映画『コーヒーが冷めないうちに』主題歌として書き下ろされたYUKIの新曲「トロイメライ」、TVアニメ『進撃の巨人』Season3(NHK総合)のために制作されたLinked Horizonのシングル『楽園への進撃』などを紹介。音楽と映像作品の刺激的な結びつきを楽しんでほしい。

(関連:YUKIが考える“すてきな15才”の姿とは ソロデビュー15周年に迎えた歌手としての変化

 ソロ活動15周年を終えて、新たなタームに突入したYUKIのニューシングルの表題曲「トロイメライ」は、有村架純が主演を務める映画『コーヒーが冷めないうちに』(9月21日公開)の主題歌。“後悔を抱えながら生きる人々がタイムスリップして会いたい人に会う”という映画のストーリーに対してYUKIは、“赦し合いながら生きる”をテーマに据えた歌を紡いだ。間違いを犯さない人間はいない。ときに後悔の念に苛まれ、ときに自分を正当化してしまうこともあるが、大事なのは赦し合うことであり、その先には必ず豊かな未来が待っているーー。「トロイメライ」が発するメッセージは、年齢や性別を越え、すべてのリスナーの心を捉えることになるだろう。すべての言葉に強い感情を込めながら、ナチュラルな心地よさにつなげるボーカル、そして、楽曲の世界観を際立たせるCHI-MEYのファンタジックなサウンドメイクも印象的だ。

 Sound HorizonのサウンドクリエイターRevoがゲーム、アニメ作品などとコラボレーションする際のプロジェクト・Linked Horizon(以下、リンホラ)の3rdシングル『楽園への進撃』は、TVアニメ『進撃の巨人』Season3の世界観に寄り添った3曲を収録。リンホラと『進撃の巨人』のコラボはシングル『自由への進撃』、アルバム『進撃の軌跡』に続き3作目となるが、児童合唱団の歌唱による切なくも愛らしい合唱曲「黄昏の楽園」、シンフォニックメタルの要素を押し出したスリリングなナンバー「革命の夜に」そして、Revoと児童合唱団の歌が重なり合う神聖にしてドラマチックな楽曲「暁の鎮魂歌」(Season3エンディングテーマ)を含め、今回もアニメの物語と密接に結び付いた内容に仕上がっている。劇伴でも単なるタイアップ曲でもない、リンホラならではの音楽世界を堪能してほしい。

 布袋寅泰が新たなバーチャルスーパーバンドを結成! メンバーはギター&ボーカルの布袋のほか、ベースには『北斗の拳』のケンシロウ、そしてドラムはラオウが担当。この最強トリオは『北斗の拳』連載35周年を記念して制作されたシングル『202X』でデビューを飾るーー。これはタイアップの枠を完全に超えた、まったく新しい形のエンターテインメントと言っていいだろう。「202X」は、鋭さと爆発力を共存させたギターリフ、起伏の激しいメロディライン、そして、森雪之丞のペンによる近未来のディストピアをテーマとした歌詞がぶつかり合うロックナンバー。専用アプリを使ってスマホの画面内で布袋、ケンシロウ、ラオウのパフォーマンスが見られる施策、原哲夫の書き下ろしによるCDジャケットなど、布袋ファン、『北斗の拳』ファンの両方が楽しめるコンテンツだ。

  アルバム『来し方行く末』(2016年11月)以降、「ロードムービー」(『映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ!』主題歌)、「虹」(『ABC2017熱闘甲子園』/高校野球応援ソング)などの話題曲を次々と発表してきた高橋優の通算20作目のシングル表題曲「ありがとう」は、映画『パパはわるものチャンピオン』の主題歌。父親と子供の関係を軸にしながら、なかなか伝えられない本当の思い、親から子に対する無償の愛情と感謝をシンプルな言葉で綴ったこの曲は、悪役レスラーとして生計を立てている男・孝志(棚橋弘至)が家族のために奮闘する姿を描いた映画のストーリーとまっすぐに結びついている。映画のテーマとリンクさせながら、誰もがじっくり堪能できる楽曲として成立させるソングライティングに注目してほしい。

 漫画家・吉田秋生の代表作の一つ『BANANA FISH』。1985年の連載スタート以来、熱狂的なファンを獲得し続けているこの作品が2018年の夏、吉田氏の画業40周年記念プロジェクトの一環として待望のアニメ化。そのエンディングテーマとして制作されたのが、King Gnuの新曲「Prayer X」だ。ベールに包まれた謎の物質“バナナフィッシュ”を巡る争いに巻き込まれ、先の見えない未来に突き進むしかない『BANANA FISH』の登場人物たちの“いまは祈るしかない”という切実な思いとリンクしたこの曲は、最新鋭のR&B、ジャズを取り入れたトラック、独特のグルーヴをたたえたボーカルとともに、このバンドの魅力をさらに多くのリスナーに伝えることになるはずだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。