IZ*ONE、グループ誕生から現在までの歩み 第2回:待望のデビュー、そしてスターダムへ
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劇的な展開を見せた『PRODUCE 48』の終了から1週間後の2018年9月7日、2年半の期間限定で活動することになったIZ*ONE(チャン・ウォニョン、宮脇咲良、チョ・ユリ、チェ・イェナ、アン・ユジン、矢吹奈子、クォン・ウンビ、カン・ヘウォン、本田仁美、キム・チェウォン、キム・ミンジュ、イ・チェヨン)は、公式のTwitterとInstagramを開設した。「これから私たちと一緒に夢を見る間、よろしく」と書き込まれた画面を見て、嬉しさで胸が高まったファンは多いだろう。
IZ*ONEというグループ名には、“12色の星がひとつになるように、すべてがひとつになる瞬間”という意味が込められている。「メンバー全員で集まり、たくさん話して団結する時間を過ごした」とメンバー自ら語っている通り、つい最近までライバル同士だった12人がひとつのグループになるためには、番組が終わってからの1週間はとても重要だったに違いない。
9月21日、グループはOFF THE RECORDエンターテインメントという芸能事務所に所属することが決定。「これまでにない新しいものにチャレンジしていく」という意味の事務所名はIZ*ONE のイメージにもよくなじむが、同時にもう1組、fromis_9(プロミスナイン)も所属が決まったのがとても興味深かった。
fromis_9はオーディション番組『アイドル学校』(2017年放送)から登場した女性9人組で、2018年1月に正式デビュー。『PRODUCE 48』に参加したチャン・ギュリがメンバーであり、『アイドル学校』のファイナルステージ(最終選考)にチョ・ユリが残るなど、IZ*ONEと縁がある。しかも2組ともに“清純”や“健康的”といった共通のイメージがあるため、IZ*ONEもformis_9のようなアイドル色の強い元気で明るいポップスをやるのではないかという予想も一時あったほどだ。
9月下旬、宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美はIZ*ONEの活動に専念するため、AKB48グループの活動を休止する。「私が『がんばりたい』と思ったことなので、応援していただければ」(本田仁美)、「中途半端に活動をするよりも、IZ*ONEのメンバーとしてがんばって大きな存在になることがファンのみなさんにも喜んでいただけると思う」(矢吹奈子)、「少しの間、自分のために、グループのために、人生をかけてがんばってきます」(宮脇咲良)と、3人ともに第2のデビューに対する意気込みは強い。
そして2018年10月29日。デビューステージとなる『IZ*ONE ‘COLOR*IZ’ SHOW CON』が、ソウル・オリンピック公園オリンピックホールで開催された。同日リリースの1stミニアルバム『COLOR*IZ』のハイライトメドレー映像を直前に公開していたので、サウンドカラーは事前に把握していたものの、実際のライブパフォーマンスを観ると想像以上に12人の動きが美しく、エレガントであることに驚く。この様子はYouTubeやFacebookを通してリアルタイムで配信されたが、海外のファンの評価もおおむね良かったと思う。
日本のファンはどう見ていたのか。SNSを見る限り、1作目『COLOR*IZ』のサウンドとビジュアルイメージを新鮮に感じたという声がほとんどだった。特にリードトラック「La Vie en Rose」でのムーンバートンを取り入れた哀愁のサウンドメイクは、多くの人にとって予想外だったはずである。メンバーも同様だったようで、宮脇は日本の雑誌のインタビューで「『PRODUCE 48』で最終選抜されたメンバーを見て、カワイイ雰囲気だなって思っていました。可愛らしい曲で、可愛らしくデビューすると思ったんです」(『MUSIC MAGAZINE』増刊『K-POP Girls』より)と答えている。
『COLOR*IZ』はその他の収録曲も力作ばかりだ。オープニングを飾る「美しい色(Colors)」は、メンバーそれぞれが持っているカラーと魅力をこれからしっかりアピールしていくと爽やかに宣言する。「秘密の時間(Memory)」は友情をテーマにしたバラードで、12人のボーカルの特徴がわかるデビュー作ならではの1曲と言えよう。
また、『PRODUCE 48』の選抜過程で使用した「好きになっちゃうだろう?」や「夢を見ている間」などの4曲がIZ*ONEの歌唱バージョンで収められている点も見逃せない。中でもチョ・ユリや本田仁美をはじめ、有力なメンバー候補だった竹内美宥などの奮闘が印象的だった「これから よろしくね(We Together)」を聴くと、同番組を観ているときの感動がよみがえってくるようだ。
このように充実した内容のおかげで、IZ*ONEの記念すべき1stミニアルバム『COLOR*IZ』は、K-POPガールズグループのデビューアルバム歴代初週売上数のトップに。さらに「La Vie en Rose」が韓国の音楽番組で1位に輝き、日本でも輸入盤が記録的なヒットになるなど、早くも大物ぶりを見せつけた。 デビューしてからわずかの期間でスターダムにのし上がった彼女たち。その人気は2019年に入っても衰える気配はなく、活動の場所はさらに広がっていく。
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■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。