クイズプレイヤー伊沢拓司が「さんかく窓の外側は夜」を徹底分析、監督を質問攻め
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「さんかく窓の外側は夜」ティーチイン上映会の様子。左から赤ペン瀧川、伊沢拓司、森ガキ侑大。
「さんかく窓の外側は夜」のティーチイン上映会が本日2月6日に東京・新宿ピカデリーで行われ、監督を務めた森ガキ侑大、クイズプレイヤーの伊沢拓司、進行役として映画プレゼンターの赤ペン瀧川が出席した。
本作はヤマシタトモコの同名マンガを実写化した除霊ミステリーエンタテインメント。霊を祓うことができる男・冷川理人と、霊が視える力を持つ男・三角康介がバディを組み、連続殺人事件の解決に挑む。岡田将生が冷川、志尊淳が三角を演じ、物語の鍵を握る女子高生のヒウラエリカに平手友梨奈が扮した。
このイベントでは、伊沢がクイズプレイヤーならではの視点で単なるミステリーに留まらない映画の魅力を徹底分析。会場には鑑賞は2回目以上という観客が多く集まった。映画を2回鑑賞し原作も読んできたという伊沢は、まず「目を背けたくなるような怖さというより、息ができなくなるような、画面に吸い付けられるような怖さ」と感想を伝える。SNSなどへの向き合い方で自分を見つめ直すきっかけにもなったと明かしつつ、冷川、三角、エリカの関係性について「3人がぶつかり合いながら理解し合って、存在意義を確認し合う。『こうやって理解し合っていくのか!』と、そのぶつかり方がそれぞれ異なるのが面白かったです」と語った。
伊沢はオープニング映像に触れ「職業柄、あそこに映るものの意味付けをしたくなってしまうんです。雲や傘、血、葉っぱとか。僕の中では『これはなんだろう?』と気になってました」と指摘。伊沢が「雲は幽霊の体から立ち上るような汚れと関係があるんですよね……?」と述べると、森ガキは「すべて読み取るのはすごく難解ですよね……伊沢さんのおっしゃった捉え方でコンテは描いてます。オープニングは1個1個にテーマを持たせる形にしたかったんです」と回答する。
トークはスクリーンに映し出された「衣装」「貯金箱」「冷川の過去」「言霊」「望まない能力」「隠れ文字」という6つのキーワードを軸に展開した。まず「衣装」を選んだ伊沢は、原作より三角のメガネの存在感が増した理由を質問。これに、森ガキは「三角の霊が視えることへのコンプレックスを可視化して、わかりやすく表現したかったんです。その意味付けをしっかりしたくて、ヘアメイクやスタイリストさんと話し合って珍しいメガネにしました」と話す。
さらに森ガキは「貯金箱」について「SNSでの誹謗中傷といった汚れが言霊として、あそこに溜まっていく。その負のスパイラルで宗教団体にもエネルギーが溜まっていく。よく観ると『死ね』とか『汚れ』とか隠れ文字が書いてあるんですよね」と説明。続いて伊沢は「望まない能力」に言及しつつ「説明できない、理解されない苦しみを冷川、三角、エリカは抱えていて。わかりやすいヒーローものだと能力を付けて『やった! 強いぞ』で終わることもある。でもこの映画は能力を持ったなりの苦しみが描かれてる」と分析。この発言を受け、森ガキは「望まない能力って個性なんですよね。3人は個性に邪魔されて孤独になって誰も信用できなくなっていく。そこは大事に描きました」と明かした。
「さんかく窓の外側は夜」は全国の劇場で上映中。
(c)2021映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会 (c)Tomoko Yamashita/libre