鎌倉彫刻の宝庫、大報恩寺から名品が勢ぞろい! 『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』開幕
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《六観音菩薩像・准胝観音菩薩立像》肥後定慶作 鎌倉時代・貞応3(1224)年
昨年60万人を動員した『運慶展』に続き、仏像ファン注目の展覧会『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』が、10月2日(火)より東京国立博物館で開催される。
大報恩寺は、千本釈迦堂の名で親しまれている京都の寺院。応仁の乱による戦火を免れ、京都市内最古の木造建築物として国宝に指定されている。同展は、そんな大報恩寺が誇る鎌倉彫刻の名品を一堂に公開。 “慶派仏師”の中でも、快慶、定慶、そして行快の三人に焦点を当て、鎌倉彫刻の魅力に迫るものだ。
まずは、快慶晩年の名品《十大弟子立像》に注目したい。快慶は、運慶と並び称される鎌倉時代を代表する仏師。《十大弟子立像》は釈迦の弟子たち10人の肖像彫刻で、各弟子たちの性格や特技が細かな表情や姿形に見事に表されている。十大弟子の中でも《目犍連(もくけんれん)》の像には快慶のサインが記されており、東京国立博物館・主任研究員の皿井舞氏によると、「顔のシワをシンメトリーに整えるなど、快慶の特徴がよく表れている」という。
この《十大弟子立像》の中心に展示されているのが、快慶の一番弟子・行快作の《釈迦如来坐像》だ。大報恩寺でも年に数回しか公開されない秘仏本尊で、今回が寺外初公開となる。快慶が亡くなった直後に作られたもので、「ふっくらとした頬は快慶の特徴を受け継いでいますが、キリリと釣り上がった目の凛々しさは行快ならでは」と皿井氏は解説する。大報恩寺内では別々に安置されているものだが、同展では当初の本堂を再現して本尊を十大弟子が取り囲むように展示され、それぞれの像を360度の角度からじっくりと眺めることができるようになっている。
そして3人目の定慶は、運慶晩年の弟子。デビューしてすぐにスターダムにのしあがった仏師で、運慶の作風を継承して完成させた《六観音菩薩像》が六体すべてそろってお目見え。光背も入れると2メートル近い像が6体ずらりと立ち並ぶ姿は壮観だ。
「定慶は立体把握能力に優れていて、特に《准胝(じゅんでい)観音菩薩立像》は18本の腕がバランス良く配置されており、どの角度からも美しく見えます。光背は透し彫りで繊細な光を表現。光背、本体、台座すべてがここまできれいな状態で6体そろって残されているのは非常に珍しいことです」(皿井氏)。
会期後半となる10月30日(火)からは、光背が取り外された状態での展示に切り替わるので、光背の細部や像の後ろ姿まで見られるようになる。贅沢な展示空間の中で、鎌倉彫刻の魅力をじっくりと堪能してほしい。
関連リンク
『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』
https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/
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