Bunkamuraがロシア一色に⁉ 30周年を記念したイベント「Russian Celebration」開催

　来年9月3日に開館30周年を迎える渋谷の複合文化施設Bunkamuraでは、記念企画の一環として「日本におけるロシア年」「ロシアにおける日本年」である今年、ロシア文化を多方面から紹介するイベント「Russian Celebration」を開催する。
　その内容は、ル・シネマでの上映企画、ボリショイ・バレエの「くるみ割り人形」「椿姫」「ロミオとジュリエット」「コッペリア」など8作品の上映（11月16日～30日）。ザ・ミュージアムでの、ロシア国立トレチャコフ美術館が所蔵するコレクションを紹介する「ロマンティック・ロシア」展（11月23日〜1月27日）。シアターコクーンでの、小説家フョードル・ドストエフスキーの同名小説を基にした舞台「罪と罰」（2019年1月9日～2月1日）。
そしてオーチャードホールでは、「クラシック・ロシア」と題して、清水和音、阪田知樹、松田華音、藤田真央の4人のピアニストが競演する豪華なステージが11月24日に展開されるほか、熊川哲也率いるＫバレエカンパニーによる「くるみ割り人形」公演も開催される（12月6日〜9日）。さらには、話題の指揮者テオドール・クルレンツィス＆ムジカ・エテルナの初来日公演（2月10日）も予定されるなど、この秋から冬にかけて、Bunkamuraはロシア一色に染まりそうな雰囲気だ。

Bunkamuraホームページ　http://www.bunkamura.co.jp

開催に先立ち、ロシア大使館で行われた記者発表（9月19日）には、ロシアン・セレブレーションアンバサダーでロシア文学者の亀山郁夫氏と、ピアニストの松田華音さんが登壇。今回のイベントに対する思いを語ってくれた。

ロシアン・セレブレーションアンバサダー ロシア文学者 亀山郁夫氏

ロシアの芸術というのは、大地と都会、自然(nature)と人工(art)が水際立ったコントラストをなす世界です。これは 『国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア』を鑑賞する上で非常に大切なポイントになると思います。たとえば、今回の展覧会では、二人のきわめて対照的な画家の絵が展示されます。一人は、自然賛美と、農民たちへの感嘆の思いを綴った自然派、イワン・シーシキン、そしてもう一人が、自然との闘い、自然からの自立を肖像画で実現しようとしたイワン・クラ ムスコイ。この二人の絵に同時に接することができるのは、私たちにとって非常に幸運なことだと思います。“自然”と“人間”二 つのべクトルが、ロシアの文化芸術の二つのべクトルといってもよいのです。トルストイとドストエフスキー、ムソルグスキーとチャイ コフスキーの対比はそうした異なるべクトルを代表する芸術家といってよいでしょう。

コンサート『クラシック・ロシア by Pianos』では、19世紀ロシアと20世紀ソヴィエト時代をも含むピアノ曲が演奏されます。 ハチャトゥリアン、プロコフィエフ、二人ともソヴィエト音楽の雄ですが、とくに私が注目するのはラフマニノフです。ラストの数分、 四本の手を駆使しつつ、クライマックスをめざして駆け上がっていくドラマティズムが物凄い、まさに「エクスタスの音楽」、そこに生 まれる恍惚こそ、「ロマンティック・ロシア」の真骨頂といってよいものかもしれません。

『クラシック・ロシア by Pianos』に出演する 期待の新星ピアニストの松田華音さん

ロシア音楽の魅力は、“大自然”と“風景”です。そういった魅力がロシア音楽には詰まっていますのでぜひ多くの方に聴いていただきたいです。私は現在ロシアで生活をしています。食事や文化は確かに違うところも感じますが、基本的な点においては日本との違いを感じることはあまりないですね。

『クラシック・ロシア by Pianos』

〈曲目・演目〉ハチャトゥリアン:組曲『仮面舞踏会』より“ワルツ” プロコフィエフ:『ロメオとジュリエット』よりプロコフィエフ:『シンデレラ』より チャイコフスキー(エコノム編曲):組曲『くるみ割り人形』より ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 第2番 ほか ※曲により、ピアノ・ソロの場合及ビ2台ピアノを使用する場合もあり。
〈出演〉
ピアノ:清水和音、阪田知樹、松田華音、藤田真央
ナレーション:山田美也子(構成:ひのまどか)

〈公演日程〉2018/11/24(土)14:00開演
〈会場〉Bunkamuraオーチャードホール
〈料金〉S席 6,500円 A席 5,000円 B席 3,500円(税込)