黒澤明の名作『生きる』がミュージカルに
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日本を代表する映画監督、“世界のクロサワ”こと黒澤明の没後20年に当たる今年、その作品が世界で初めてミュージカル化される。『生きる』の主人公は、早くに妻を亡くして男手ひとつで息子を育ててきた役所の市民課長、渡辺勘治。定年間近に胃がんが見つかり、余命わずかであることを知った彼は、生まれて初めて自分の人生の意味を探し始める……。1952年公開の映画で描かれた“世界で最も有名な市民課長の物語”が、ジェイソン・ハウランド(作曲&編曲)×高橋知伽江(脚本&歌詞)×宮本亜門(演出)のタッグで舞台化される話題作だ。
ハウランドといえば、ブロードウェイミュージカル『若草物語』を作曲しただけでなく、『ジキル&ハイド』『スカーレットピンパーネル』など数々のフランク・ワイルドホーン作品にアレンジャーや音楽監督として携わってきたことでも知られる人物。高橋はかの『アナと雪の女王』の訳詞家にして日本オリジナルミュージカルを多数手がけてきた脚本家でもあり、宮本は言うまでもなく日本を代表する演出家のひとりだ。またキャストも、渡辺役に日本ミュージカル界を牽引してきた市村正親と鹿賀丈史(Wキャスト)、息子の光男役に満を持してミュージカルに初挑戦する市原隼人、渡辺に人生の楽しみを教えようとする売れない小説家役には新納慎也(鹿賀出演回)と小西遼生(市村出演回)と、揃いも揃って実力派。
彼らが一体、どんな化学反応を巻き起こすのか ──。注目の舞台は、市村主演版が10月8日(月)、鹿賀主演版が9日(火)に幕を開け、TBS赤坂ACTシアターにて28日(日)まで上演される。
文: 町田麻子