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高梨臨が明かす、“結婚”が芝居に与えた影響 「役に対してすごく素直に飛び込めるようになった」

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リアルサウンド

 野村周平が主演を務めるオトナの土ドラ『結婚相手は抽選で』(東海テレビ・フジテレビ系)が10月6日からスタートする。垣谷美雨の同名小説をドラマ化した本作は、様々な問題を抱える現代の若者を通じ、「結婚は本当に必要なのか?」「人と向き合うことの大切さとは?」をすべての人に問いかける社会派ヒューマンドラマ。少子高齢化への歯止めがかからない中、政府が「抽選見合い結婚法」を制定した日本を舞台に、結婚できない男女が絡み合う人間模様を描く。

参考:野村周平、槙野智章からサッカー教わる高梨臨に「全然養子にでもなる」 『結婚相手は抽選で』制作発表会見

 今回リアルサウンド映画部では、野村演じる主人公・宮坂龍彦と出会うことになるヒロインの冬村奈々役を務めた高梨臨にインタビュー。実家暮らしのプチお嬢様で、親のコネでラジオ局に入社した、ルックスだけが取り柄の女性という役どころを演じるにあたっての役作りの裏側や、初共演となった野村周平の印象、そして自身の結婚と本作との関係性などについて語ってもらった。

ーー「抽選見合い結婚法」という法律が施行された日本が舞台になっている本作ですが、最初に台本を読んだときの感想を教えてください。

高梨臨(以下、高梨):まずタイトルを見て「どういうことだろう?」と(笑)。最初は「こんな法律ありえないでしょ」という気持ちで読んでいたのですが、最終的には法律を通して、社会問題だったり、結婚や人生、人間に対しての問いかけだったりが描かれているなと気づいていきました。私が演じる奈々は、この法案を通して、自分自身に今まで全然向き合えていなかったということにも気付いていくんです。タイトルからは想像できないような人間の内面やリアルな心情が描かれていたので、そのギャップが面白かったです。

ーー今回が初共演となる主演の野村さんの印象はどうですか?

高梨:私の中で野村くんは、すごく今どきで運動神経もバリバリな、ものすごくモテるイメージがあったんです。一方、今回の作品の主人公の龍彦は、オタクでモテなくて潔癖性という設定で、野村くん自身とあまりにも真逆だったので、最初はまったく想像ができなかったんです。でも、第1話を観てみたらすごくマッチしていたので、さすがだなと。普段撮影をしているときの野村くんは、リハーサルでふざけたりするんですけど、本番になったらガッと集中する、本当にイメージ通りの自由な方です。

ーー野村さんがリハーサルでふざけるという話は制作発表会見でも盛り上がっていましたね。

高梨:野村くんは本当に本番で何を言うかも分からないタイプだったので、自分自身もフラットでいないとそれに対応できないんです。リハーサルの時はオタクなところをわざとすごくオーバーにしたり、変な感じでセリフを言ってきたり。それはそれで面白いんですけど、本当にこれはリハーサルになってるのかなと思うこともあって(笑)。でも、一見ワイワイとはしているんですけど、本番でビシッと決めてくるので、ちゃんと緊張感はありました。野村くんは本番でスッと入るタイプで、私とは全然違うなと思いました。

ーー高梨さんはどういうタイプなんでしょう?

高梨:リハーサルであまり本気を出さないのは私も同じなんですけど、野村くんほど自由に一発でいくタイプではなくて。私は常日頃からちょっとずつ要素を考えたりとか、いろいろ取り込んでいくタイプですね。

ーーそういう意味では、お互い影響し合った部分もあったのかもしれないですね。

高梨:私は野村くんに何も影響を与えていないと思いますけど(笑)、すごくやりやすかったですね。

ーー『リーガルハイ』(フジテレビ系)や映画『ミックス。』などコメディ作品のイメージがある石川淳一監督の演出はいかがでしたか?

高梨:石川さんとご一緒させていただくのは今回が初めてなんですけど、やっぱり最初はどうしてもポップな感じのイメージがあったので、第1話を観て、ここまでシリアスな社会派になっていることが結構な衝撃でした。すぐに石川さんの新しい面が見れたのはよかったですね。あと、石川さんは「こうしてほしい」というのを結構はっきり言ってくれるタイプなんですけど、一方で私の意見も汲み取ってくれるんです。今回、石川さんとは結構話し合ってやったので、楽しかったですし、歩み寄ってくれる監督だなという印象です。

ーー具体的にどういうことを話し合ったのでしょう?

高梨:奈々について、台本に書いてあることだけだと、私自身が納得できない部分があったので、そのことについて相談して、私自身が納得できるように変えてもらったりしました。奈々は分かりやすいキャラクターではなく、わりと普通の人っぽいところがあったので、お互いの意見を言い合って、綿密に話し合いを重ねました。

ーーすごく悩んでいる役どころということで、高梨さん自身も悩まれることがあったそうですね。

高梨:そうですね。奈々は、はたから見たらうまくいっているように見えるんですけど、実際は何もかもがあまりうまくいっていないんです。いい家に生まれて、一流の会社で働いて、カッコいい彼氏がいて……。一見すごく羨ましがられるようなタイプですけど、結局自分が何をしたいのかも分からず、ずるずるアラサーになってしまい、結婚するだろうと思っていた人にはフられてしまう。後半にかけて奈々はどんどんボロボロになっていくんですけど、だったら自分自身もボロボロになるような心境にならないといけないなと思って。具体的に何かをするわけではないですけど、自分の嫌なところだったり、人に言われたくないことを振り返って嫌な気持ちになりながら、役作りに臨んでいました。

ーー過去のインタビューでは、「実際、役に入って演じてみると、なんだかんだとその役に自分が影響されている部分があるんです」と発言をされていましたが、今回の役でも影響される部分はありましたか?

高梨:そうですね。ただ今回は、「影響を受ける」というより、もともとわりと近いものがあった気がします。育った環境や職場などは全く違うんですけど、根本的な感情というか、ぼんやりとしたよくわからない不安やイライラ、葛藤は自分自身の中にもあって、それがすごく奈々と似ているなと。なので、影響というよりむしろシンクロしている感覚に近かったです。

ーー高梨さん自身は今年の2月に結婚されたばかりですが、結婚する前と結婚した後で、演技面で何か変わったことはありますか?

高梨:自分の中では結構変わった印象です。いい意味で、役に対してすごく素直に飛び込めるようになりました。結婚して安心感みたいなものが芽生えたのか分からないですけれど、今まではすごく不安だったんです。

ーーお芝居に対してですか?

高梨:というよりも、お芝居だけじゃなくていろいろなものが気になっていたというか……。まったく関係のないところで「この人いま何を考えてるのかな」と考えたりしちゃうタイプだったんですけど、結婚してからか年のせいなのかは、お芝居に対して以前よりすごく真摯に向き合えるようになったんです。常に一緒にいる家族というものができて、絶対的な存在があるのは、お芝居をする上ですごく気持ちが作りやすくて。お芝居することが楽しくもなりましたし、感情の幅もすごく広がった気がします。

ーー結婚がお芝居にもいい影響を与えていると。

高梨:そうですね。お芝居をしたいという気持ちはもちろん変わらずあるんですけど、「やりたい」の種類がちょっと変わってきているような気もしています。結婚してからは、こうやってお仕事を続けさせてもらえていること自体がまずありがたいですし、結婚したことによって、今まではただ頑張って走り続けてきたのが一回止まった感じもしていて。「自分はなんで役者という仕事をやっているんだろう」「結婚したけどなんで仕事は続けたいんだろう」というのを考えたときでもあったので、今回はお芝居することが好きなんだということを自覚して入った現場でした。役作りのために苦しい自分と向き合った部分もあるんですけど、それ自体も楽しくて、1シーン1シーン真剣に100%で向き合えました。

ーー高梨さんにとっても、今回の作品は重要な作品になりそうですね。

高梨:結婚後に入った新しい作品でもあり、おそらく20代最後の作品になるので、すごく思い入れの深い作品になっています。(取材・文・写真=宮川翔)