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クシシュトフ・キェシロフスキの傑作が蘇る 『デカローグ』デジタルリマスター版で4月公開

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リアルサウンド

 クシシュトフ・キェシロフスキ監督作『デカローグ』がデジタルリマスター版として4月上旬より公開されることが決定した。

 本作は、1989年のヴェネチア国際映画祭で国際評論家賞を受賞した人間ドラマ。日本では 1996年に劇場初公開、その後2005年にリバイバル上映がされるなど、長い間熱狂的に愛され続けている作品で、最新レストアによるデジタルリマスター版は初の公開となる。もともとはテレビシリーズとして製作されたが、その質の高さからヴェネチア国際映画祭に出品、スタンリー・キューブリックが「重要な映画」と賛辞を送ったほか、エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンら世界中の映画監督たちがキェシロフスキの才能を羨望し絶賛した。

 旧約聖書の『十戒』を下敷きに、ポーランド郊外の巨大団地に暮らす人々の幾通りもの人生模様を綴った各約1時間・全10篇からなる連作集となる。社会主義体制下にあったポーランドで製作された作品だが、キェシロフスキは社会・政治などの要素を映画から一切排除し、キャラクターの内面を描くことに注視した。

 なお、2月27日より、7,000円で全10話を観られる前売券が発売開始される。

 また、公開決定にあわせて、ポーランドのウッチ映画大学を卒業した映画監督石川慶や、ロシア・ポーランド文学者の沼野充義、映画監督の池田千尋、評論家の巖谷國士から本作へのコメントも寄せられた。

コメント

石川慶(映画監督)

『デカローグ』には、映画のすべてが詰まっている、ポーランドの映画学校でそう教わった。今回改めて全編見直してみて、考えを改めた。この映画には、人生のすべてが詰まっている。

沼野充義(ロシア・ポーランド文学者・文芸評論家)

『十戒』とはいっても、ここには神も英雄もいない。解決不能な状況に直面した普通の人間の苦しみと欲望があるだけ。だからこれは私のことでもあり、あなたのことでもある。見終えてからしばらく立ち上が れない。

池田千尋(映画監督・脚本家)

人間とはいかに不完全であることか、その卑小さに徹底した眼差しを向けながら、それでもキェシロフスキは言う。生きなさいと、生きていて良いのだと。今を生き抜くために、私はいつも彼の作品を見るの だ。

巖谷國士(写真家・評論家)

切なくいとおしい。ナチスによる破壊から蘇った美しい都市、ワルシャワに生まれた十篇の物語は、ガラ ス窓と光の冷やかな感触とともに暖かく育ってゆく。樹木や風、人の表情まで結晶に変える映像に『ふたりのベロニカ』の予感も走る。

映画『デカローグ』デジタル・リマスター版 特報

■公開情報
『デカローグ デジタル・リマスター版』
4月上旬より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開
1. ある運命に関する物語(56分)
2. ある選択に関する物語(59分)
3. あるクリスマス・イヴに関する物語(58分)
4. ある父と娘に関する物語(58分)
5. ある殺人に関する物語(60分)
6. ある愛に関する物語(61分)
7. ある告白に関する物語(57分)
8. ある過去に関する物語(57分)
9. ある孤独に関する物語(61分)
10. ある希望に関する物語(60分)

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
脚本:クシシュトフ・ピシェヴィチ、 クシシュトフ・キェシロフスキ
出演:ヴォイチェフ・クラタ、クリスタナ・ヤンダ、 アレクサンデル・バルディーニ、ダニエル・オルブリフスキ、 ヤヌーシュ・ガイヨス、ミロスワフ・バカ、 グラジナ・シャポォオフスカ、ズビグニェフ・ザマホスキ、 イェジー・シュトゥルほか
日本語字幕:寺尾次郎(翻訳)、沼野充義(監修)
1989年/587分/ポーランド/カラー/ポーランド語/DCP
(c)TVP – Telewizja Polska S.A.
公式サイト:www.ivc-tokyo.co.jp/dekalog/