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『まんぷく』は元気がもらえる“笑顔”の朝ドラに 安藤サクラ×長谷川博己の出会いが描かれた第1週

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リアルサウンド

 「アメリカと戦争が始まってしまいましたね」と言う萬平(長谷川博己)。一体、何の話をするのかと思いきや、続けて彼から飛び出た台詞は、「でも、僕と付き合っていただけませんか!」。

参考:

 『まんぷく』(NHK総合)の第6話は、萬平から福子(安藤サクラ)への告白で幕を閉じた。このシーンだけを観ると急な展開に思えるかもしれないが、第1週の放送の随所では、萬平が福子に興味を持っていく過程が少しずつ描かれていった。そして、それに伴って、今井福子というヒロインを特徴づけるひたむきさがよく伝わってきたものだ。

 福子の姉・咲(内田有紀)の結婚式でのこと。福子は萬平に依頼して、幻灯機(映写機)を用いたサプライズを用意していたのだが、いざ本番で始めようとすると、幻灯機がうまく動かない。そこで、萬平が幻灯機に修正を加えている間、福子は参加者の前で、咲にまつわるエピソードを話して場を繋ぐ。福子はその中で、咲が父親の代わりになってくれたことをしゃべり始める。咲に感謝の気持ちをこめて、「自分のことは後回しにして、家族を支えてくれた咲姉ちゃんに、やっと幸せが来たと思いました。真一さん(大谷亮平)、咲姉ちゃんを幸せにしてください。咲姉ちゃんも真一さんをしっかり支えてあげてね」と。そして、スピーチの締めに、「それが私の心からの願いです」と話した。

 家族なので、それは確かに当然のことかもしれないが、それでも素直に今までお世話になった人が幸せになるようにと願い、それを口にすることができる。3年後にホテルで2人が再会したとき、萬平の方から福子に気づいた。もちろん、結婚式でのことは、萬平にとって自分の製作が生かされた経験だけに、よく印象に残っていたということもあるだろう。ただ、それだけではなく、当時の福子のそんな人柄もまた印象に残っていたからとも言えよう。福子のスピーチを聞いているときの萬平のまなざしは、スピーチの内容はもちろんのこと、感極まりながら話す福子自身への関心も、同時にあったようにも見える。式場で福子と別れてからも、福子が「それが私の心からの願いです」と話す回想シーンが流れ、萬平が何かを噛みしめていたことからも、その一端がうかがえる。

 萬平は式場からの帰りがけ、福子に対してこう話す。「自分が作った幻灯機が役立ってくれて、皆さんがあんなに感激して下さって、僕は胸が一杯です。お礼を言いたいのは僕のほうです」。萬平もまた、福子と同じく他の人が幸せになることが嬉しい。そういうタイプの人間なのだ。だからこそ、そうしたスタンスが、きっと発明家としてのモチベーションにもなっているのだろう。

 それからというものの、再び福子と出逢ってからの萬平からは、福子への好意がうかがえるまなざしが常にあった。濡れた服をアイロンがけする福子を眺めるときのまなざし、福子に結婚しているのか聞いた後、彼女と別れてからもどこかに福子の姿を探し求めるかのようなまなざし。あるいは、2人でラーメンを食べたとき、美味しそうに食べる福子の横顔を見つめるときのまなざし。こうしてどんどん萬平の福子への思いが膨れ上がっていった。

 そして、福子の大きな魅力は何といっても弾けるような笑顔。みんなをホッとさせ、元気にさせるような笑顔。同じホテルの従業員・恵(橋本マナミ)が、「あなたの笑顔はとっても素敵よ」と言ってくれたように、福子の笑顔にはどうやら何か大きなパワーを持っているようだ。夫婦二人三脚で、インスタントラーメンを作り出すまでを描くドラマということであるが、恐らく決して平たんな道のりではないのだろう。ただ、苦難に遭遇しても、福子のそんな笑顔が道のりを明るく照らしてくれると思うと、いつだって前を向き続けられるはずだ。そんなことを思わせる第1週であった。(國重駿平)