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King & Prince「Memorial」は結婚式の定番ソングに? 「シンデレラガール」“続編”的楽曲を聞く

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リアルサウンド

 6人組グループ・King & Princeが、2ndシングル『Memorial』を10月10日に発売する。前作『シンデレラガール』がデビューシングル初週売上歴代2位(オリコン調べ)という大記録を打ち立て、世間にその名を轟かせたのも記憶に新しい。今最も勢いのあるグループといっても過言ではないだろう。

(関連:King & Prince「Memorial」MV

 今作は“結婚式”を思わせるCDジャケットや衣装。そのため表題曲を並べると「シンデレラガールと出会い、永遠の愛を誓う」というストーリーが浮かび上がる。つまり前作からの“続編”的位置付けの作品だ。サウンド面もどことなくウエディング感がある。ピアノや鐘の音、柔らかい印象を与える打ち込みのリズム隊、煌びやかな音粒のアレンジ、流麗なストリングスなど、前作が持っていた特徴を引き継ぐことで“キンプリ・サウンド”なるものが徐々に固まってきた。

 もう少し細かく見てみよう。半音移動の織り交ぜられた中域のベースの動きに対して、高音のピアノの旋律は伸びやかに上昇していく導入部。全体の音域の幅が広がると、聴く者がイメージする視界も広がっていく。そよ風のような弦のアレンジとも相まって、世界がふわっと開けていくようなイントロだ。

 Aメロに入ると音数が減り、ひとつひとつの音が強調される。ここでのサウンドが最も重要だ。男性ボーカルものにありがちな激しい重低音や攻撃的なキック音などではなく、優しくトリートメントされた“中性的なリズム隊”、また、ここで輝くキラキラとした音粒のサウンドデザインには、90年代あたりのアニメ主題歌にありそうな少々懐かしいセンチメンタルな雰囲気がある。中性的でセンチメンタル。こういった音作りにこそ彼らの持つ人間的な魅力の部分が活かされている。

 そこからBメロ、Cメロ(サビ)と盛り上げる。あまり奇を衒った作りにはせず、自然と流れるようなメロディラインを描いている。キャッチーに仕込んだり、強烈に耳に残るような言葉選びもしていない。前回も書いたように、彼らはそういった部分では勝負してないように思われる。“質”で届けるということに念頭を置いた楽曲制作。それは、リスナーにある種の物足りなさを感じさせかねないが、均等に振り分けられた歌割りと、彼ら自身が放つフレッシュさがそれをしっかりと補っている。

 彼らの魅力を引き出す曲作り、そして彼ら自身の持つ魅力が楽曲をエンパワーメントする好循環。歌手と曲が相互に影響し合いながら、終盤、Dメロ直後のミュージカル的展開で楽曲はクライマックスを迎える。ジャニーズの広大なエンターテインメント史を鮮やかに継承するかのような演奏によって、背後に歴史を夢想させながらラストのサビへと向かうのだ。

 今作の作詞・作曲・編曲のすべてにクレジットされている坂室賢一は、ジャニーズとはこれまでにA.B.C-Z「Fire in Love」、KAT-TUN「FUNtastic」、Hey! Say! JUMP「BANGER NIGHT」「Virtual Butterfly」といった楽曲に関わってきた(どれも共作)。

 また、King & Princeとしてデビューする以前に岸優太・神宮寺勇太・岩橋玄樹の3人のPrince名義でのオリジナル曲「描いた未来~たどり着くまで~」の作詞を担当したのが同氏である。つまり、坂室と彼らは完全に初のタッグというわけではないのだ。ちなみにその曲の歌詞にはこうある。

***

流れ行く時代の 狭間で 気が付けば 塞いだ
目の前の高い壁は
自分でそう 作り出した
あの日の夢は いつもここにある
光が差して
僕らを呼んでいる
導いている

「描いた未来~たどり着くまで~」(作詞:坂室賢一)より

***

 今思えば、デビュー目前と噂されながらもなかなか決まらず不安になっていた彼らが、ついにはジャニー社長に直談判するまでに至った強い気持ちの変化にリンクした歌詞である。まるで彼らが近い将来デビューに踏み切ることを後押ししているかのような内容だ。晴れて今年デビューを果たした現在の彼ら自身も、今回の新曲には特別な思いがあるだろう。なぜなら、デビュー前の自分たちの心境を言葉にしてくれた作家が曲を作っているのだから。

 5分間弱の今作を聴き終えて、多くの者から最初に出てくる感想が「シンプルに良い曲」ではないだろうか。長年愛される曲は得てしてそういうものである。結婚式の定番ソングとなる予感さえあるだろう。そうなれば、彼らが謳う“永遠”もまた別の意味を帯びてくる。(荻原梓)