GENERATIONS「雨のち晴れ」で歌う“踏み出すことの大切さ” カップリングでも際立つ数原&片寄のボーカル
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GENERATIONS from EXILE TRIBEの2021年初のシングル『雨のち晴れ』が2月10日にリリースされた。
表題曲「雨のち晴れ」は、放送中の土曜ナイトドラマ『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろされた楽曲。昨年の彼らを象徴する楽曲「You & I」はスケールの大きいEDMポップだったが、「雨のち晴れ」はドラマの世界観にも合わせてより受け手に近い目線が描かれており、穏やかで温かいサウンドと力強く前向きな詞が聴き手に優しく響く。そしてボーカル・片寄涼太の歌い出しから全編に渡って歌声を引き立たせるようなサウンド作りがなされており、その歌唱表現によって詞の持つメッセージ性を力強く伝えている。つまり、直球のJ-POPである。
空模様をモチーフにした表現物というのは数えきれないほど存在するが、自らの特異性ゆえに心を閉ざしていた主人公の成長を描くドラマに沿って作られた「雨のち晴れ」において特徴的なのは、外界へ一歩踏み出すことがなければ〈雨〉も〈晴れ〉も味わえない、ということが示される点。〈雨のち晴れの未来〉ーーつまり外の世界は、晴れの日ばかりではなく、思わぬ時に雨が降る。ただし、そんな時でも〈確かなことは君が在ること〉と、自分自身を慈しみ、信じることの大切さもこの曲では歌われている。目と目が合って手と手を繋ぐように、彼らの音楽を受け取る人々へ向けて、前向きな力を手渡してくれるような1曲だ。
カップリングの「A wish for you -キミを願う夜-」は、作曲が☆Taku Takahashi(m-flo)とMinami(CREAM)、作詞がEIGO(ONEly Inc.) という、2019年にリリースされた「One in a Million -奇跡の夜に-」(アルバム『SHONEN CHRONICLE』)の制作陣が再集結した楽曲。「雨のち晴れ」の雨上がりの自然光を思わせるような柔らかい音色から一転、もはや“☆Taku Takahashiサウンド”と言っても過言ではない、ファンタジックで煌めくような音色が散りばめられたポップチューンである。
また、音色と同じくビートに関しても☆Taku Takahashiが得意としている小気味よい2ステップや、サビ後半でのメロディの疾走感をさらに増強させる4つ打ちなど、「One in a Million -奇跡の夜に-」にあった多数の要素が再構築されているため、あらゆる面からこの曲が“第二章”的楽曲であることが伺える。のみならず、今回はパフォーマー・関口メンディーのラップパートなどを通して先述した他にも多彩なビートが取り入れられており、魅力的な側面を強めた“踊らせる”曲へと進化している。
そして、この「A wish for you -キミを願う夜-」や「One in a Million -奇跡の夜に-」のようなハウスを基調としたポップソングで特に際立つのが数原龍友・片寄涼太の歌唱力だ。片寄は特にこういった音色とは相性が良く、全体的に言葉数が多いフレーズの中でも彼の儚げな声色が響くことで、ひたむきな恋愛を描くボーカルラインに深い“切なさ”が添えられる。一方、数原の明瞭かつ深みのある歌声も、片寄と同じく複雑に変化するリズムに心地よく調和しながら、巧みな節回しでフレーズ一つひとつをエモーショナルに聴かせる。テンポも音楽性も大きく異なる2曲のポップソングが同梱されていることで、ポップシンガーとしての2人の二面的な魅力が引き出されているという点もまた、今作の面白さの一つと言えるのではないだろうか。
先日はパフォーマー・白濱亜嵐のドラマ初主演も発表されるなど、各メンバーが多方面で日々活躍しているGENERATIONSだが、グループとしての人気の根幹たる理由はやはり様々な楽曲を通して高められた表現力である。『雨のち晴れ』はそんな彼らが改めてポップミュージックと向き合うことで、その担い手としての実力を示すシングルとなった。
■日高 愛
1989年生まれの会社員。