フランス司法の不合理さを目撃…監督がサスペンス「私は確信する」製作理由を語る
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アントワーヌ・ランボー
フランス映画「私は確信する」より、監督を務めたアントワーヌ・ランボーのインタビューコメントが到着した。
本作はフランスで実際に起こった未解決事件・ヴィギエ事件をもとにした裁判サスペンス。シングルマザーのノラが、妻スザンヌ殺害の容疑者となった大学教授・ジャックの無実を信じ、敏腕弁護士とともに事件の調査をするさまが描かれる。マリナ・フォイスがノラ、オリヴィエ・グルメが実在の弁護士デュポン=モレッティを演じた。
本作を製作することになったきっかけについて、ランボーは「この奇妙な事件に興味を持ち、ジャック・ヴィギエの裁判を2度傍聴しました。そこで、すさまじい状況に陥ってしまったジャックとスザンヌの子供たちと知り合ったんです。この裁判でフランスの司法の不合理さと、不確かな情報をもとに告発されてしまった家族の苦難の両方があぶり出されるのを目撃しました」と述べ、「現実を疑いながら、考えを述べていくのが自分にとっての映画の役割だと思っています。『私は確信する』では、裁判を唯一無二の事件として捉え、司法を間近で観察し、今日のフランス重罪院の複雑さを映し出しました」と語った。
また「まず最初にしたことは、主人公ノラ役の女優を探すことです」と話すランボーは「マリナ・フォイスはすぐに脚本と配役について興味を持ってくれました。彼女はこのような役を日頃から望んでいて、脚本に書いていない細やかなことまでもつかみ取ってくれたんです。エネルギーや強さ、そして奥深さを持って、ノラのことを考えてくれました」と振り返る。そして「実在の弁護士であるデュポン=モレッティ弁護士とオリヴィエ・グルメは、実際にはそこまで似ていません。ただ、声や視線、そして人間性は通じるものがありました」と話し、「オリヴィエにはデュポン=モレッティ弁護士がいる実際の裁判へ、傍聴に行ってもらいました。彼らはうまく打ち解けてくれたようです。裁判から帰ってくると、彼は生半可なコピーではなく、タバコの持ち方1つからして、デュポン=モレッティ弁護士のしぐさをつかみ取っていて、感銘を受けました」とたたえた。
最終弁論のシーンに話題が及ぶとランボーは「一番難しかったのは、実際は1時間もある最終弁論を映画では10分以内に抑えないといけないということでした。細かなニュアンスまで含めて弁論の力強さをどのように表現するのか。数年掛けてこのシーンの脚本を書きましたが、どうしても一部をカットすることができなかったので、オリヴィエにそれを見せながら、最終的に仕上げました」と明かしている。
「私は確信する」は本日2月12日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。
(c)Delante Productions - Photo Severine BRIGEOT