『呪術廻戦』の魅力は敵キャラにあり? マスコット化した漏瑚のかわいらしさを考察
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『呪術廻戦』の人気がより一層高まっている。ストーリーの面白さも然ることながら、魅力あるキャラクターが多いのも要因の1つだろう。しかも、主人公サイドだけでなく、敵サイドにも魅力あるキャラクターが豊富なところがこの作品の良さである。
以下ネタバレあり。
魅力ある敵キャラの1人に、漏瑚を挙げたい。漏瑚は人が大地を恐れる感情から生まれた未登録の特級呪霊で、夏油傑いわく「甘く見積もって(宿儺の指)8〜9本分」の強さを持つ。
漏瑚は「負の感情 憎悪や殺意などは偽りのない真実だ そこから生まれ落ちた我々呪いこそ 真に純粋な本物の“人間”なのだ」と主張しており、「偽物は消えて然るべき」と人間の消滅を目論でいる。「100年後の荒野で笑うのは儂である必要はない 呪いが人として立っていればそれでいい」と自己犠牲をも厭わない発言をしており、「儂らが全滅しても」全ての指を献上して宿儺を復活させることを目的としている。
そんな漏瑚は最初こそ好戦的な特級呪霊だったが、徐々にマスコット的愛されキャラになってきた。五条悟に奇襲を仕掛けた際、無下限呪術の説明を受けて手を握られるシーンは有名だろう。そのまま五条にボコボコにされてしまうが、それ以降いじられマスコットキャラ色が強くなっていったのではないだろうか。首だけにされた後、治療中のシーンでは少し小さくなっており、ゆるキャラのような姿を見せたことも。「五条悟は儂が殺す」と言っていた頃からは想像できないかわいらしさだ。
さらに、渋谷事変では「逃げるなと言ったハズだぞ」、「こうでもせんと分からんか?」と一般人の首をもぎ取って五条を挑発するも、本気で怒る五条を見て後悔したような表情で慄いている。ほかにも、目覚めた宿儺に虎杖悠仁との間に“縛り”を作るように助言するシーンでは宿儺に「必要ない」とピシャリと言われてしまい、「えー?」と肩の力が抜けるようなリアクションを見せていた。
こうして愛されキャラになっていた漏瑚は、原作単行本14巻で消滅してしまう。宿儺と闘うものの歯が立たず焼かれてしまったのだ。その際、先に払われた花御や陀艮に向かって「すまない」と謝ったり、宿儺に「なんだオマエ 人間になりたかったのか」、「誇れ オマエは強い」と認められ涙する場面があった。負の感情から生まれた自分たち呪いこそ真の人間と主張している一方で、負の感情以外の感情を持っていた漏瑚に、どこか切なさを感じてしまう最期であった。
そんな漏瑚の相方的存在だったのは、花御だ。花御は森への恐れから生まれた特級呪霊。人外の言葉を話すが、相手に直接意思を送ることでコミュニケーションを取ることができる。花御は呪霊の中でも、思慮深くある種の優しさを持っている。
京都姉妹交流会で伏黒恵、狗巻棘、加茂憲紀と対峙した時も「やめなさい 愚かな児等よ」、「私はただこの星を守りたいだけだ」と主張。人間を襲うのも地球の環境を案じてだ。だが、呪霊は呪霊。容赦なく攻撃をしかけてくる上に、シンプルに強い。全身が硬く、虎杖の黒閃を5発、東堂葵の呪力を乗せた游雲を食らっても生きているほどである。ただ、顔面からでている2本の樹が弱点であり、最期は五条にそこを狙われて消滅させられてしまった。
いいコンビであった漏瑚と花御。漏瑚が五条にボコボコにされた時は花御が助け出し、花御が五条に消滅させられた時は漏瑚がショックを受けたような表情を見せていた。
漏瑚の最期にも「再び生まれ落ちる時我々はもう我々ではない それでもまた逢える日を心待ちにしているぞ」と花御と陀艮に語りかけており、絆のようなものすら感じる。呪いでありつつも、人間のような感情を垣間見せたからこそ、この2体の呪霊は広く愛されたのではないだろうか。