完全再現されたソ連秘密研究所のカフェでの日常が 『DAU. ナターシャ』本編映像公開
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2月27日に公開される『DAU. ナターシャ』より、本編映像が公開された。
第70回ベルリン映画祭銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞した本作は、いまや忘れられつつある「ソヴィエト連邦」の記憶を呼び起こすために、ロシアの奇才イリヤ・フルジャノフスキーによる「ソ連全体主義」の社会を再現した前代未聞のプロジェクトの映画化第1弾。
本作では、秘密研究都市にあるカフェで働くウェイトレス、ナターシャの目を通し、観客は独裁の圧制のもとでたくましく生きる人々と、美しくも猥雑なソ連の秘密研究都市を体感していくことになる。そして、巨大な迷宮の入り口であると同時に、当時の政権や権力がいかに人々を抑圧し、統制したのか。その実態と構造を詳らかにし、その圧倒的な力に翻弄される人間の姿を生々しく捉えていく。
公開された本編映像は、本作の主な舞台となるスターリン体制下の秘密研究所に併設されたカフェの様子を捉えたもの。
秘密研究所に併設されたカフェでは、ここで働き滞在する沢山の研究者やその家族たちが出入りする。常に来店客で賑わうこのカフェのフロアを、責任者である主人公ナターシャと同僚オーリャはたった2人で切り盛りしている。注文に配膳に会計にと忙しく動き回る2人のすぐそばでは、研究者たちが軍事機密に関わる会話を繰り広げていた。長年ここで働くナターシャは、このカフェに出入りする人達とすっかり顔見知りで、専門知識がなくとも、彼らのことをある程度“評価”できるほどには近しい間柄でもあるのだ。
『DAU』プロジェクトに出演するキャスト達は自身の経歴をもとにキャスティングされており、ナターシャを演じる主演のナターリヤ・ベレジナヤは、かつて料理人であった自身の経歴をもとにこのカフェに配置。科学者役の人々も同様に実際の科学者たちがキャスティングされた。彼らは長く続いた撮影の有無に関わらずその研究所の中で与えられた役割を担い続け、実際に研究活動を続けた学者たちの間には研究テーマを巡って派閥までできたという。
本作の共同監督であるエカテリーナ・エルテリは、「セットに入る人は、監督も含め全員が常にその時代の衣装と化粧をしていなければ、入場を許可されませんでした。研究所に長く滞在するキャストのために、衣装を選び、スーツケースに詰めて参加者に渡したので、彼らは自分で何を着るかを選ぶことができました。喫煙者は自分の好きな種類のタバコを尋ねられ、自分の好みに合うようにタバコを巻いてもらいました。スーツケース、財布、ペン、新聞など、研究所内に滞在していた期間中、すべての小道具と衣装が彼らの持ち物になったのです。女性には口紅チューブとパウダーパフが提供されました」と語っている。
■公開情報
『DAU. ナターシャ』
2月27日(土)より、シアター・イメージフォーラム、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
監督・脚本:イリヤ・フルジャノフスキー、エカテリーナ・エルテリ
出演:ナターリヤ・べレジナヤ、オリガ・シカバルニャ、ウラジーミル・アジッポ
撮影:ユルゲン・ユルゲス
配給:トランスフォーマー
2020年/ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア合作/ロシア語/139分/ビスタ/カラー/5.1ch/原題:DAU. Natasha
(c)PHENOMEN FILMS
公式サイト:www.transformer.co.jp/m/dau/
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