岩井秀人「いきなり本読み!」、演出の宮藤官九郎「本読みって面白い」
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岩井秀人(WARE)プロデュース「いきなり本読み! with 宮藤官九郎」より。(c)平岩と坂本
岩井秀人(WARE)プロデュース「いきなり本読み! with 宮藤官九郎」が2月13日にオンライン生配信された。
「いきなり本読み!」は、出演者に演目を事前に告知せず、ステージ上で台本を渡し、演出家がその場で配役・演出する企画。昨年2月にスタートし、12月には東京・東京国際フォーラムでも実施された。今回は演出に宮藤官九郎が登場。出演者には初参加の中村獅童、富田望生、2度目の出演となる平田敦子、浅野和之が名を連ね、東京・浅草フランス座演芸場 東洋館での無観客開催、オンライン生配信となった。
開演と共に、まず舞台に姿を現したのは岩井。岩井は企画のこれまでを振り返りつつ、「『いきなり本読み!』1周年特別企画として、作・演出にゲストの宮藤官九郎さんをお招きしております!」と宮藤を呼び込み、続けて俳優たちを紹介した。全員が席に座ると、すぐに台本を配布。スピーディに準備が進められていく様に、宮藤が「本当に何にも最初に教えないんですねえ」と言うと、岩井は「この企画では、“本当にこれから何をやるのかまったくわからない”という、珍しい状態の俳優さんたちが見られます(笑)」と答えた。
そしてタイトルが明かされぬまま、宮藤が配役を告げ、本読みがスタート。まずボイジャー役を振られた獅童は、冒頭からハイテンションでしゃべりまくる。平田演じる引きこもりの高校生・ふとしにしゃべる隙を与えず、弾丸のように1人話し続けるボイジャーは、会話の端々から、ローションを使って未来から“スリップ”して来た未来人であることがわかるのだが……。
さらに平田は職人気質で口の悪い、ふとしの父・タツオを、富田は5年間音信不通だったタツオの娘・翠を、浅野はタツオの妻・志乃を演じた。最初のシーンが終わり、浅野が獅童に「もう読んできたんじゃない?」と声をかけると、登壇者たちは爆笑。岩井が「獅童さんが『確実に暑くなるからTシャツで来た!』って言ってたのは、このためだったんですね」と言うと、獅童は「本当に緊張してるんです!」と苦笑した。
次に配役を変え、同じシーンに当たることに。スタート直前に岩井が平田に「ボイジャーのセリフは(獅童が演じたのの)1.5倍のスピードで!」と耳打ちすると、平田はその通り高速でセリフをまくしたて、クレイジーなボイジャーを体現。また浅野演じるお調子者のケン坊、獅童演じるタツオも初回とは異なるアプローチで、それぞれにキャラクターの幅を広げる。宮藤が「獅童さんはひきこもり(のふとし)と職人(のタツオ)を、ちゃんと“そのように”演じ分けてて良い。どんな役もやりたいんですねえ(笑)」と感心すると、「やりたいッス!」と獅童が即答した。
その後、ボイジャー役を全員演じてみることになり、富田と浅野も挑戦。富田は声の高さを自在に変えながら、ボイジャーの挙動不審っぷりを思い切り良く演じ、浅野は“力が入っていない素っ頓狂さ”でボイジャーの愛嬌を引き出した。またシーンの合間に宮藤が、本作が10年前の東日本大震災前に書かれた脚本であること、ホームコメディを書いてみたら気恥ずかしくなり、未来人を登場させることにしたことなどを明かした。
本読みが進むにつれ、俳優たちだけでなく、岩井と宮藤のやり取りのテンポアップ。コントの掛け合いのように、2人は俳優たちを賞賛したり、ツッコミを入れたりと本読みを盛り上げる。終盤、岩井が「宮藤さんの台本って、すごいバランスですよね。大笑いしてるときにドスーンというものがやってくる」と台本の感想を述べると、宮藤も「本読みって面白い。1カ月稽古したら消えちゃうものがつまってますね」と企画への手応えを語った。最後に、今回使われたテキストが、2011年に上演されたウーマンリブ「サッドソング・フォー・アグリードーター」であることが明かされ、「本読み」は終了した。
本企画のアーカイブ映像は当初2月15日23:59までの配信を予定していたが、2月21日23:59まで延長されることに。チケットは21日21:00まで購入可能となっている。
岩井秀人(WARE)プロデュース「いきなり本読み! with 宮藤官九郎」配信
2021年2月13日(土)20:00~ ※終了
進行:岩井秀人
演出:宮藤官九郎
出演者:中村獅童、平田敦子、富田望生、浅野和之