コンビニ愛満載の「Famima Rap」バイラルチャート首位に ファミチキ、柿の種……ユーモラスなサンプリングと普遍的な歌詞
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Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(2月11日公開:2月4日~2月10日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:Matt Cab, MIYACHI「Famima Rap」
2位:Ado「うっせぇわ」
3位:えぬ「想無」
4位:Olivia Rodrigo「drivers license」
5位:SugLawd Familiar,OHZKEY,Vanity.K「Longiness」
6位:Who-ya Extended「VIVID VICE」
7位:JESSIA「I’m not Pretty」
8位:Chinozo「グッバイ宣言」
9位:藤田織也「ALL MINE」
10位:Masked Wolf「Astronaut In The Ocean」
今週のSpotify週間バイラルチャート1位に輝いたのは、Matt CabとMIYACHIによる「Famima Rap」。テレビ出演を果たすなど、注目度の高まっているAdo「うっせぇわ」をおさえての1位獲得である。去年からSNSを起点に徐々に高まっていた「Famima Rap」の人気が、フル音源の配信開始をきっかけに目に見えて大きく芽を出した形になった。
ラッパーのMIYACHIとシンガーソングライター/プロデューサーのMatt Cabの共作となる本楽曲は、タイトルの通り、コンビニのファミマ(ファミリーマート)を題材にしたもの。ヒップホップソングにありがちな具体名のフィーチャーだけにとどまらず、トラック、リリック共にファミリーマートへのリスペクトが溢れ出す内容となっている。〈ファミマのために曲作りました/ファミマ thank you〉というラインから始まる本楽曲は、まさにファミマ讃歌といってもよいだろう。
トラックを聴いて真っ先に耳を奪われるのは、お馴染みのファミリーマートの入店音。聞き覚えのある入店音のメロディは、ファミマの自動ドアをくぐる日常の一瞬をリアルに切り取って想起させる。トラックに込められた遊び心は入店音にとどまらず、リリックと呼応してファミチキの包み紙を開封する音や、柿の種のパッケージを振る音、ストロングゼロの缶やC.C.Lemonのボトルを開ける音などのサンプリングも粋で面白い。リリックに目を向けると〈ファミリーはLife 今 いつも/だからファミマに行くぞ/世界まわって帰る どこ行く home?/これはファミマに行く flow yeah〉と繰り返されるフックでは、ファミマに限定したテーマから「ファミリー」や「世界を飛び回る夢」といった普遍的なテーマに広がりをみせ、この飛躍が遊び心に根ざした楽曲に深みを与えてくれている。
Matt Cabは本楽曲について「日本のコンビニは本当に最高だと思う。毎日24/7、みんなの生活に寄り添ってくれていることに感謝している」(引用:Matt Cab アーティストHP)とコメントを寄せ、コンビニに対する感謝を表している。リスナーとしては、コンビニと同じくらいの親密度で我々の日常生活に寄り添ってくれる素晴らしい本楽曲に感謝を贈りたい。
■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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