『おちょやん』岡安と福富なぜ犬猿の仲に? 明らかになった2人の過去
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家の事情で思ったように恋が進まないみつえ(東野絢香)。岡安のライバルである福富の一人息子・福助(井上拓哉)を好きになってしまったばっかりに、その母親の菊(いしのようこ)を目の敵にするシズ(篠原涼子)に大反対されてしまうのであった。『おちょやん』(NHK総合)第53話では、岡安と福富の過去と、みつえのために奔走する千代(杉咲花)を描く。
“親友”のため、千代はなんとかシズを説得しようと試みる。だが、あの手この手を使ってもシズは「今すぐ別れなさい」の一点張りだった。一方の福富でも、菊が福助に「今すぐ別れなはれ」と声を荒げる。長い間ライバル関係にあった岡安と福富の亀裂は、そうそう簡単に修復できるものではなさそうだ。
そんな中、菊は得意客の岩下に岡安を紹介する。お茶屋を畳んで楽器店を営む福富は、岩下を自分のところで受け入れられなくなり岡安にまわしたのだ。菊は岡安の台所事情を考えたと言うが、敵に塩を送ったのも福助とみつえのことが頭の片隅にあったからではないだろうか。さらに菊は「大きなお世話だす」とすごむシズに対しても、その場では嫌味ではあるものの好戦的とは言えない態度をとる。「福富と競い合ってきたお陰で今の岡安があると思ってきた」と話すシズと、「岡安にのれん分けしなければ、うちの店は今でも続いていた」と声を荒げる菊は、実は誰よりもお互いが商売敵であることを誇りに思い、良いライバル関係を築いていたのではないかと感じる。菊の好意を素直に受け取れないシズは、菊がお茶屋を辞めてしまったことをきつく責めるが、それは裏を返せば「続けてほしかった」という思いがあるからこそ。
途方に暮れるみつえの元にやってきたハナ(宮田圭子)は、岡安と福富がここまで犬猿の仲になってしまった理由を明かす。もともと福富でお茶子をやっていたハナが独立し作った岡安で、福富のお客さんを引き抜く結果になってしまったからだという。そのせいで仲が悪くなった岡安と福富の姿を見て育ったシズと菊もまた、まるで水と油のように反発し合う仲になってしまった。
ライバルだからと言って憎いばかりが本音ではないだろう。共に切磋琢磨してきた相手だからこそ、手にとるようにわかる気持ちがある。シズと菊にはそんなライバルとしての誇りが感じられた。
しかしその一方で、シズはみつえの恋心をなかなか受け入れることができない。それは、ライバルの家に嫁いで嫌な思いをしないかと大切な一人娘を思う親心故。そして何より意地を張り通してしまうのがシズの性格なのである。
「なんで福助なんか好きになってしまったんやろう」と呟くみつえ。しかしその恋が実れば、みつえと福助は長い歴史の中で不仲だった岡安と福富を繋ぐ大切な存在になれるかもしれない。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/