『ゴジラvsコング』予告編を考察&過去作から勝者を予想 人間にとっての立ち位置が重要?
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ついに『ゴジラvsコング』の日本公開日が2021年5月14日に決定した。それにあわせて日本版予告編も公開され、コングとゴジラが真正面からぶつかり合う姿は度肝を抜く迫力だ。やはり、どちらが勝つのか今から気になって仕方ない。そこで過去作や予告編の映像を踏まえ、両者の特性を考えてどちらに勝算がありそうなのか予想してみたい。
そもそも、ゴジラとコングは人間にとってどんな存在か
まず、どちらが勝つ方が人間にとって“ラッキー”なのか考えよう。ゴジラは人間にとって恐怖の対象であり、コングは崇拝の対象だった。1954年公開のシリーズ第1作目『ゴジラ』における初代ゴジラは、無慈悲という言葉そのものごとく東京の街を壊滅状態にさせ、多くの人間が犠牲となった。一方、コングは髑髏島に住む原住民から生贄を捧げられるなど、恐れられながらも崇拝されているニュアンスが強い。それというのも、コングは島に生息する他の危険な生命体を押さえつけ、平和を保とうとしている姿勢がどの作品からも窺えるのだ。
もちろん、こういったそれぞれの立ち回りは作品によって変化する。コングは都会に来れば人々にとって乱暴で恐怖の対象でしかないし、その点ではゴジラとあまり変わりない。ゴジラだって、他の怪獣、例えばラドンとかキングギドラなどと戦うことも日常茶飯事である。しかし両者の決定的な違いは、コングは霊長類という意味合いでも人間に近く、これまでのシリーズでも比較的に善であり人間の味方として活躍していて、ゴジラはその善悪の概念を超えた自然界そのもののような存在であることだ。なにより、『ゴジラVSコング』は人間の脅威となったゴジラを止めるために、コングに力を借りる姿勢が全面的に出ており、それぞれのキャッチコピーも「破壊神(ゴジラ)」と「守護神(コング)」とされている。もちろん、コングが勝ってくれた方が人類は手放しで喜べるわけだ。
モンスターバース過去作を踏まえて能力値をそれぞれ考えてみる
二匹とも太古から存在する生物であることには変わりないが、その能力には歴然とした差がある。『キングコング:髑髏島の巨神』でのコングはシリーズ最大のサイズである31メートル、体重158トン(しかし成長期)、一方『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のゴジラは119.8メートル、体重9万9634トンということでゴジラの方が圧倒的に大きい。それだけでなく、体内に原子炉も持っていて、口や背びれから放射熱線を出すことができるのだ。ただでさえ、哺乳類と爬虫類で肌の硬さも違いそうなのに、あまりにもゴジラのスキルが規格外すぎる。
とはいえ、コングも髑髏島の王だ。天敵である“爬虫類”のスカルクローラーをはじめ、様々な巨大生物を素手だけでなく時には武器を器用に使いながら制してきた。ゴジラは武器を使うことができない。『ゴジラvsコング』の予告編でも、まるで2体は因縁のような関係というか、コングがゴジラを封印する存在で、それに必要な必勝アイテムを手にすることができるようなニュアンスがあった。また、同予告編では問題の体格差も、青年期だったコングが1944年から現在にかけて成長したことでほぼ埋まっているようにも見える。放射をするゴジラは遠隔攻撃が得意、対してコングは近接攻撃が得意。攻撃力は両者いい具合に並ぶことができるかもしれないが、この戦い、防御力の方が重要のように思える。あのゴジラ自身の防御力が高いことは『キング・オブ・モンスターズ』でもわかるが、コングは殴り合いや噛み合い以上のファイトを経験したことがない。彼が武器を使って攻撃値を上げたところで、問題となってくるのはゴジラの熱線をどれだけ食らうことができるのか、なのではないだろうか。
『キングコング対ゴジラ』では描かれなかった勝敗の結果がついに描かれる
実は何を隠そう、この両者はすでに一度1962年の東宝の作品『キングコング対ゴジラ』で対決をしているのだ。本作ではやはりゴジラの放射に押され気味だったものの、割と受けて平気そうなコングの姿が窺える。優勢だったゴジラにタックルを仕掛けて形勢逆転し、フルボッコにするも再びゴジラから止めどないしっぽ攻撃を受けたり。しかも同作内ではコングが電気に強いことが証明されており、なんとクライマックスの肉弾戦では雷の力を受けてパワーを増幅させている。完全に『キング・オブ・モンスターズ』で言うキングギドラのポジションだ。しかし取っ組み合いは続き、両者引くに引かず、最終的に勝敗は不明となった。2体が取っ組み合いの末に海に落っこちてしまい、ゴジラの行方が不明のままコングが浮上してそのままファロ島に帰るラストで終わったからだ。
しかし、『ゴジラvsコング』は監督のアダム・ウィンガードが勝者を決めることを前提にしていると公言している。それに加え、怪獣への感情移入も重要な要素となってくると明かしている。特にコングに関しては人間と心温まる瞬間があり、一方ゴジラはその優しさが表に現れることがないとまで言及されているのだ。そしてこの両者の戦いには今回、それぞれの巨大生物とコミュニケーションをとる少女たちの存在が重要になってきそうだ。コングを操ることのできる少女(ジア/カイリー・ホトル)、装置を使って巨大生物に呼びかけた少女(マディソン/ミリー・ボビー・ブラウン)が対立することはあるのだろうか。そうなってくるとますますアツい展開が期待されるが、ゴジラもコングも、どちらにも負けてほしくないのが本音である。
それでも、どちらかは負けなければならない。ゴジラは前作『キング・オブ・モンスターズ』で一度優勝をしてるから、そのまま連続で勝利を掴む展開はなんとなく考えにくい。というより、やはり観客がコングに情を沸いてしまいそうな描き方がされそうなので、アメリカはハリウッドの大作映画の王道である勧善懲悪的なストーリーに乗っ取ってコングが勝利を収めるのではないだろうか。個人的にはそう見せかけて、ゴジラがやはり僅差で王座を譲らず、一度こてんぱんに打ちのめされたコングが修行の末、再び次作でゴジラに挑戦するとう『ロッキー』のような泣ける展開が観たい。
■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。ゴジラとキングギドラが好き。Instagram/Twitter
■公開情報
『ゴジラvsコング』
5月14日(金)全国公開
出演:アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、小栗旬、エイザ・ゴンザレス、ジュリアン・デニソン、カイル・チャンドラー、デミアン・ビチル
監督:アダム・ウィンガード
脚本:エリック・ピアソン マックス・ボレンスタイン
製作:レジェンダリーピクチャーズ ワーナーブラザース
配給:東宝
(c)2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.