尾上松也が百田夏菜子、柿澤勇人と対談!
新感覚ポップエンターテインメント
『すくってごらん』特集
『すくってごらん』
3月12日(金)公開
(C)2020映画「すくってごらん」製作委員会 (C)大谷紀子/講談社
歌と笑いと魅惑の世界がココロをすくう!
予想を超える“エンターテインメント”が誕生!
世界初の金魚すくいマンガにして「このマンガがすごい!」にもランクインした大谷紀子の同名コミックを映画初主演・尾上松也×映画初ヒロイン・百田夏菜子で映像化した『すくってごらん』が3月12日(金)より公開となる。
本作は、大胆な映像表現と歌ありダンスありで気分もアガる全く新しい新感覚のエンターテインメント。本特集では、その美声を披露した尾上松也×百田夏菜子、尾上松也×柿澤勇人のツーショットインタビューも敢行! 映画好きはもちろん、音楽好き、演劇好きな方にもおススメな本作の魅力を紐解きます。想像をはるかに超える“エンターテインメント”をぜひ劇場で堪能して!
尾上松也×柿澤勇人インタビュー
舞台ではふたり芝居も経験済みの仲良しコンビが映画初共演
エリート街道を外れた傷心の銀行員が辿り着いたのは、華麗に金魚が舞う異世界だった!? 「このマンガがすごい!」大賞にもランクインした“金魚すくい”を題材にした原作マンガを、歌ありダンスありの新感覚ムービーへと昇華させた『すくってごらん』。
本作で映画初主演を果たした尾上松也と、物語のキーパーソンとなる金魚売りの青年を演じた柿澤勇人にインタビュー。映画初共演のふたりだが、舞台ではふたり芝居にも立つなど、もとより交流が深い。現場での互いの様子や感じたことなど、ふたりだからこそのエピソードを聞いた。
かっきーが一緒にやってくれるなら、こんなに心強いことはないと(松也)
── おふたりは2014年にふたり芝居のミュージカル『スリル・ミー』で共演されるなど、もともと交流がありますね。
松也 はい。今回も作品に入る前に、電話で話したよね。
柿澤 話した、話した。
松也 かっきー(柿澤さん)から今回の「お話をいただいた」と聞いたので、僕から電話をして、「ぜひ一緒にやりたい」と話した記憶があります。脚本を読んだ段階では、正直、想像がつかなくて、「何がしたいんだ?」というくらい衝撃だったのですが、かっきーもぶっとんだ脚本に困惑してました(笑)。
柿澤 あはは。
松也 僕としてはかっきーが一緒にやってくれるなら、こんなに心強いことはないと思いました。俳優仲間でもありますし、友人でもある。今回、こうして舞台以外の環境でも一緒に出演できるチャンスがあるなら、こんなに嬉しいことはないと思いました。
柿澤 僕も嬉しかったし、頼もしかったです。松也が先にクランクインしていて、僕はあとから入ったのですが、現場入り前って、どうしても不安があるものなんです。でも入ってすぐに「一緒に飯食いに行こう」と誘ってくれて、「松也となら一緒に楽しくできる」と感じました。
観客が共感できる“普通”の人と、実際にいるようでいない謎めいた人
── 松也さんは銀行員の香芝、柿澤さんは金魚売りの王寺を演じるにあたって、どんなところを心掛けましたか?
松也 香芝は、王寺くんなんかに比べると、とても普通のキャラクターですが、突然英語でラップを始めたり、感情の表現は突飛なんです。ですが映画を観る方には共感していただかないといけない人物ですので、なるべく変に作り込まず、できるだけ“普通”という感覚を大切にしていました。アクセルを踏むときには踏みつつ、共感できる普通の人物であるようにと。
柿澤 僕の場合は、マンガが中性的で可愛らしい役だから可愛らしくやるかというとそうでもなくて、自分が持っているパーソナルな部分と合わせていきました。香芝くんは、数字を求めて生きてきて、エリート街道を外れてしまった人。王寺は、“金魚すくい”を通して、そんな香芝くんにイライラを解き放って、もっと楽しい感情を知ってもらいたかった。別に恩着せがましく何かを言う人ではないし、謎めいた人ですが、そこをそのまま謎めいてやっても変な人になってしまうので、実際にいるようでいないみたいな微妙なラインを狙いました。最終的にマンガには囚われませんでしたし、それがよかったと思います。
俳優仲間であり、友人でもあるふたり。撮影現場での様子は?
── 撮影現場でのお互いは、友人として俳優としてどう映りましたか?
柿澤 座長ってこういうことを言うんだろなと。スタッフさんに対しても、演者に対しても。撮影は深夜になることも多かったし、天候に恵まれないときもありました。そうすると、モチベーションが下がるわけではないけれど、どうしても疲れてくるし、ときには眠くなってくる。でも撮らなきゃいけない。そうしたときに、松也が、使われないと分かっているのに、急に無駄にでっかい声で歌を歌い出したりして士気を上げていました。深夜の3時くらいに(笑)。
── 関係ないところで突然歌っていたのですか? 現場の士気を高めるために?
松也 関係ないというか、大声を出す必要のないところで、わざと大声を出しまくっていました(笑)。まず自分自身のテンションを上げるために。「大変だな」「きつくなってきたな」と僕が思ってしまうと、撮影チーム全体が重くなってしまうので、まずは僕が落ちてしまわないことが大切だと。無理矢理そういうことはしていましたね。
柿澤 僕がハードなパフォーマンスをする撮影があったときも、近くで見守っていてくれたんです。その日、松也は撮影がなかったのに来てくれて。全体を見て、危険な部分は「かっきー、ここはこうした方がいいよ」とか、スタッフさんにも「ここを補強してあげて」とアドバイスをくれました。
松也 大変なことは分かっていますし、危険がないことが一番。それから個人的に、見ておきたいシーンでもありました。脚本を読んだ時点で、どう撮影するんだろうと思っていたのと、物語として、別撮りしてはいますが、香芝もそのパフォーマンスを見ているシーンだったので、実際にちゃんと見ておきたいと思いました。
── ご覧になって率直にいかがでしたか?
松也 さすがですよ。ピアノも、「全然弾けない」とか悲観していたのですが、僕からしたら、あれで悲観するなんて、「どれだけ理想が高いんだ!」と(苦笑)。全然OKでした。ダンスも見事でしたし。本当にさすがだと思いましたね。
完成した作品を観て、「みんな、芝居うま!」となりました(笑)(柿澤)
── 松也さんも英語ラップや、電話ボックスのシーンなど、さまざまな挑戦がありました。
柿澤 脚本を読んだ段階で、ラップが結構出てきていたので、正直「松也、大丈夫かな」と思ってましたね。
松也 あはは。
柿澤 でも本編を観たら、「すげーな!」と。とても面白かったです。電話ボックスのデュエットのシーンもキレイで、惹かれました。
── 英語ラップには余裕すら感じました。
松也 最初はどういう風にやればいいんだろうと困惑しましたけど、上手くやる必要はないし、あれはあれで振りきって、「なんだこれ」というシーンでよかったので、楽しんでやりました。
――作品が完成してみていかがですか?
松也 印象に残っているのは、やっぱり自分がいなかったシーンです。それから、美術でも作ってはいますが、ロケをした元々の町並みが、非常に幻想的だったんです。すごく魅力的で、そこがきちんと映し出されていましたので、見どころのひとつかなと思います。あとは苦労して深夜まで撮影した最後のシーンが印象深いですし、本編でもとても良かったです。みんな総出で撮ったお祭りのシーン。すごく楽しかったですし、お気に入りです。
柿澤 僕は芝居でのやりとりは、主に松也と百ちゃん(百田夏菜子)のふたりだけだったので、あまり絡みのなかったニコルちゃんのシーンなんかが新鮮でした。そしてとにかく全員のキャラクターと芝居が完全にハマっていて、浮いている人がひとりもいないのがすごいと思いました。「みんな、芝居うま!」と(笑)。かついい音楽がある。それぞれの歌に個性が強く出ていながら、全体のピースがぴったりハマっている。全員のキャラクターが実に上手くハマった作品だと感じました。
『すくってごらん』
3月12日(金)公開
取材・文:望月ふみ 撮影:川野結李歌