駒木根葵汰『機界戦隊ゼンカイジャー』への情熱「子どもたちに憧れられる存在になりたい」
映画
インタビュー
駒木根葵汰 撮影:岩田えり
今春からスタートするスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』。スーパー戦隊シリーズ45作目にして、これまでにない新しい世界観に注目が集まっている。歴代スーパー戦隊から力を借りて戦うこと、主人公「五色田介人(=ゼンカイザー)」1人を除く4人の戦士は「キカイノイド」という機械生命体であることなど、かなり独創的な設定が組み込まれた作品だ。
そんな挑戦的ともいえる本作の主人公・五色田介人役に抜擢された若手俳優 駒木根葵汰(こまぎね・きいた)のインタビューを決行。スーパー戦隊ヒーローの主人公に抜擢された心境、新しい要素満載な『機界戦隊ゼンカイジャー』の撮影・アフレコ現場、そしてテレビ放送に先駆け2月20日(土)に公開される『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』の見どころを聞いた。ヒーローに選ばれるべくして選ばれたと言っても過言ではない駒木根の魅力をお届けしたい。
憧れのヒーローに抜擢「クランクインまで現実味がなかった」
――駒木根さんご自身、もともと特撮ヒーローへの憧れはありましたか?
もちろん小さい頃から憧れていました。何かを守る姿がカッコいいじゃないですか。そもそも“ヒーロー”という響きがカッコいいですよね(笑)。周りの男の子たちもみんなヒーローごっこをしていましたし。
僕はヒーローに影響を受けて小さいながら家族を守りたいと思い、空手を習い始めました。
――特に好きだったスーパー戦隊は?
『特捜戦隊デカレンジャー』が好きでした。警察という設定により正義感の強さを感じて好きだったんです。あと『爆竜戦隊アバレンジャー』の歌が好きでした!
――好きになるのはやっぱり「赤」でしたか……?
そうですね! 真ん中に立っていますし、常に先頭を走っている感じもカッコいい。だけど、『百獣戦隊ガオレンジャー』の「ガオシルバー」はめちゃめちゃ好きだったな……。シルバーの希少性とかオオカミがモチーフのお面のスタイリッシュさとか、すごくカッコよくて目を引かれていました。
でも、自分がもしスーパー戦隊をやるなら赤をやりたい!と思っていましたね(笑)。
――『ゼンカイジャー』で、その夢が叶いましたね。
赤ではないですが(笑)、中心に立つポジションであるのは何よりも嬉しかったです。いつか自分がなってやる!と思っていたことが実現されて、不思議な気持ちでもあります。
――出演はオーディションで決まったんですよね。オーディションは緊張しましたか?
緊張はそんなにしていないですね。バチバチに決めていっても空回りしちゃうことが多かったから、自分を全部さらけ出そう!と自然体で挑みました。
そしたら、今まで受けてきたオーディションとは全く違ったんですよ。演技の審査はちょっとしかなくて、質疑応答ばかり。オーディションに行ったら「今日は演技やらなくていいんじゃない?」と言われて。演技覚えてきたのに!?と思いましたね。結局一回は演技やりましたけど(笑)。このオーディションは自分に合っているな~と感じました。
――質疑応答ではどんな質問をされたのでしょう?
作品に関係ないこともいろいろ聞かれました。「自分の出身地以外で好きな場所は?」とか「好きな食べ物は何?」とか……。「福岡!」「お肉とお寿司と中華料理です!」と答えて(笑)。正直、これで決められるのかな?と思いましたよ(笑)。
――出演が決まったと発表されたときは率直にどう思われましたか?
実は事務所の方が僕のYoutubeチャンネルに合格を知った瞬間を撮影してアップしようと企画してくれていて。別件のオーディションの動画審査の撮影があるからと事務所に呼ばれたんです。その時点で『ゼンカイジャー』のオーディションはダメだったんだなと思いました。だから、気持ちを切り替えてまた次のオーディションに挑もう!と事務所に行きました。動画審査の撮影はその場で紙に書かれたセリフを即興で自分なりに解釈して演じてくださいと言われたので、出された紙を見たら「主演が決まりました」と書かれていて……。実はYoutubeのための仕込みだったことが分かってびっくり。普通に合格したよって言ってほしかったです(笑)。
――落ちたと思って気持ちを切り替えていたわけですもんね(笑)。
次の日起きたら違う現実になっているんじゃないかとソワソワしたのを覚えています。夢なのかなって。クランクインするまでは現実味が全くなかったです(笑)。
――決まった際、家族や友人など周囲の反応はいかがでしたか?
最初に電話したときはお父さん、お母さんどちらも泣いて喜んでくれましたね。1月15日の「ゼンカイジャー」の制作発表会のあとは、周囲の人の反応を教えてくれました。
最近連絡を取っていなかった友人、知人からもメッセージが届きました。制作発表会が終わって携帯を見たら50件くらい連絡があって(笑)。TwitterやInstagramなどのSNSでもいろんな方たちからメッセージが届いて、反響の大きさを感じたとともに改めて身が引き締まりました。
個性が強いからこそ「箱推し」してほしい
――駒木根さん演じる五色田介人はどのようなキャラクターでしょうか。
介人は真っすぐで素直なので、周りからバカだと言われます。だけど、信念を持って行動している介人の姿を僕はリスペクトしています。人間誰しも生きていれば心がダークになることもあるけど、介人はそういう人間ではありません。そういう純粋さも感じています。
――『ゼンカイジャー』に登場する4人のキカイノイド「ゼンカイジュラン」「ゼンカイガオーン」「ゼンカイマジーヌ」「ゼンカイブルーン」も介人に負けず劣らず濃いキャラクターですよね。
そうなんですよ! 個性がぶつかり合っています。アクターのみなさんも声優のみなさんもキャラクターを背負っているから動きや声で個性をバンバン出してくるので、個性の譲り合いではなくバチバチと奪い合いのような感じです(笑)。俺が前に!俺が前に!と役を演じていることが、みんなのモチベーションにも繋がっていると思います。
――それぞれのキカイノイドたちに対しては、どのような印象をお持ちですか?
ジュランは今時ぶってカッコつけているおじちゃんで、友だちにいたら楽しそうだなと思います。ガオーンは介人を好きでいてくれるのでとても嬉しい(笑)。マジーヌは気弱な女の子でとにかくかわいい! 男性人気はマジーヌにいくと思っています。ブルーンはとても真面目。真面目過ぎるあまり場を乱すタイプですね。『ゼンカイジャー』にはまとめ役が一人もいないから、5人が円になるというよりも円からみんなはみ出してお互いに主張し合っている感じがします。みんな個性が強いので、推しが決まりにくいんじゃないかな……。
――ちなみに駒木根さんの推しは……?
僕自身は演じているから介人が好きですけど、キカイノイドのみんなにも愛を持っています。なので、見てくださる人にも『ゼンカイジャー』のみんなを推しもらえたら嬉しいと思っています!
学びだらけのプロフェッショナルに囲まれた撮影現場
――スーパー戦隊の主人公として多くの人から愛されるキャラクターになるため、演じる上で意識していることはありますか?
今回、演じる上で「ヒーローの素質を見せるように演じてほしい」と言われたんです。ヒーローの素質とは何だろうと自分なりに考えたのですが、それは介人の魅力である真っすぐな信念を持っているところだと思いました。
普段は自然と周りから愛される笑顔を持ち、敵と対峙したときには守りたい気持ちと真剣な表情でみんなを引っ張っていくようなキャラクターだと感じています。みなさんにそれが伝わっていたらいいなと思いながら演じています。介人にしかない人間性を演じるために今は試行錯誤中です。
――ロボットという設定のキカイノイド4人の中で、駒木根さんはただ1人の人間です。演じる上で難しさもあると思いますが、いかがでしょうか。
難しさはありました。キカイノイドの4人はあとから声を録音するために、本番の撮影では僕しかセリフを言わないんですよ。キカイノイドは顔や表情も分からないから、きっとここではこのセリフを入れるだろうなと考えて演技をしないといけなくて。
テストの段階でスーツアクターさんがセリフを言ってくれるので、それを覚えて本番に臨んでいました。あと今回はロボットなので、アクターさんが動くと「キッキッ」と音が鳴るんですよ。どのキカイノイドが動いているかを音で聞き分けています(笑)。
――音で判別するのはすごいですね。
コツを掴むと楽しいですよ(笑)。
それ以外はあまり難しさはなかったと思います。スーツアクターの方たちは経験豊富なので演技しやすいです。
――キカイノイド4人の声を担当するのも経験豊富な声優のみなさんですよね。アフレコのときにアドバイスをいただくこともありましたか?
「経験するしかないよ!」と言われました。「僕なんかに聞いても全然なので…」とみなさん謙遜されるんですよ。教えてほしいのに教えてくれなくて……企業秘密なんですかね(笑)。
――経験豊富な方たちに囲まれた現場だと成長速度も早まりそうですね。
共演者のみなさんにとても引っ張られるので、頑張ろうという意思は強くあります。これまでのスーパー戦隊シリーズは共演者が同世代で経験も同じくらいで「みんなで頑張っていこう!」って感じだったと思うんです。だけど『ゼンカイジャー』は周りのみなさんが全員経験豊富だから、僕はついていくのに必死で、学びがとても多い現場です。
新しい挑戦で積み重なる難しさと楽しさ
――みなさんに追いつくために駒木根さんが意識して取り組んでいることはありますか?
声優のみなさんが出ているアニメを見たり、今までのスーパー戦隊のアフレコ部分を見たりして声の演技の練習をしています。腹から声を出す方法もよく分かっていないので、どうすればいいんだろうと考えながら(笑)。いや、でも、アフレコは本当に難しい!
――特にどういった場面で難しさを感じますか?
アクションをしているときの息遣いですね。セリフのない中で「ハッ!」「フッ!」とか息遣いを考えて入れていくのですが、経験がないゆえに息遣いのレパートリーもなくて……。最初に撮影の映像を見て、この場面ではこういうセリフや息遣いを入れようと考えるのですが、声優のみなさん順応のスピードが本当に早い。映像を見てテストして本番にいけてしまうのに僕は全くついていけないので、最初のアフレコはとても落ち込みましたね……。
――練習をされてきてコツは掴めてきましたか?
過去のスーパー戦隊を見返していたら、自分は考えすぎていると気がついて。同じ息遣いを使わないようにしないと!と考えていたのですが、実際は同じ息遣いとかセリフを使っているんですよ。「ハッ!ハッ!ハッ!ヤーッ!」みたいな。なので、もっと気楽にアフレコに臨もうと思いました(笑)。
――アクションについてはいかがでしょう。幼少期から習っていた空手の経験が活かされていると感じますか?
空手で体に染みついている動きがアクションの邪魔をする場面もあって……。空手は基本的に受け身を取るのですが、今回のアクションは受け身を取らずに転びながら立ち上がらないといけません。また、蹴りも相手に当てるのを基本とする空手とは違って、当てているように見せなければいけない。そこは難しいですね。
――そういった苦労もあるんですね……。アクションのために身体づくりはされていますか?
撮影がないときは走るようにしています。すぐに疲れちゃうんですよ。商店街を全力ダッシュするシーンの撮影があった次の日、お尻と太ももが筋肉痛になってしまい。結果撮影に身が入らなかった……。
――現在ほとんど毎日撮影していると聞きました。休みの日にも撮影のために身体づくりをしているとなると疲れが溜まりそうですが……。
家に帰ったら疲れたー!となります(笑)。とはいえ、疲れていてもご飯を食べてお風呂に入るのは大事だし、台本を読んで次の撮影の考え事をして気づいたら寝ている(笑)。毎日22時くらいには寝ています。
それで朝起きたら頑張ろう!と気持ちが切り替わるんですよ。とにかく今目の前にあることをやるのに必死なので、撮影とか練習のときは疲れも忘れちゃいます。全部が新しい挑戦なので楽しくて仕方ないです。
――元気を保つために欠かさずしていることはありますか?
毎日納豆を食べていますね。あと最近はモデルさんに憧れてスムージーを始めちゃいました(笑)。無調整の豆乳とバナナとアボカドと冷凍したベリーをミキサーにかけて毎朝飲んでいます。
――オシャレ!
それが言われたくて飲んでいます!(笑)
歴代スーパー戦隊に託された『ゼンカイジャー』にかける思い
――3月7日(日)の放送に先駆け、2月20日(土)に公開の映画『スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021』で『機界戦隊ゼンカイジャー』が上映されます。映画のオススメシーンや見どころについて教えてください。
歴代スーパー戦隊のレッドたちの中心に『ゼンカイジャー』の5人が並んで、先頭にゼンカイザーが立っているシーンは個人的にとても嬉しくて。『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャーが45作品目の『ゼンカイジャー』に声を掛けるんですよ。「これからはお前に託す」という気持ちを受け取り、ゼンカイザーである介人の信念が固まる場面です。アカレンジャーそのものの風格や老舗感も見どころですし、3月のテレビシリーズの放送に繋がる点でも見どころだと思うので、注目して見ていただきたいと思います。
また、時系列的に劇場版はテレビシリーズの1話より少し後のお話ですが、撮影自体は劇場版の方が先だったのでゼンカイザーとしての変身は劇場版が初めてだったんですよ。なので、観客のみなさんには僕たちの初めての変身だと思って見てもらいたいです(笑)。
――実際にご自身がヒーローとして画面に映ったとき、駒木根さんご自身どんな気持ちになりましたか?
子どもの頃に憧れていた存在に自分がなるのは不安がありました。子どもたちから見て、ちゃんと憧れてもらえる存在になっているかなと…。でも、ゼンカイザーに変身した自分を見てカッコいいなと思っちゃいました(笑)。
――3月のテレビシリーズの放送について、映画とはまた違った見どころがあるかと思うのですがいかがでしょう。
介人の祖母で榊原郁恵さんが演じるやっちゃん(五色田ヤツデ)はテレビシリーズからの登場となります。『ゼンカイジャー』の全貌を楽しめるのはテレビシリーズだと思うので、そこはぜひ楽しんでほしいです。あと介人が本当にバカなんですよ(笑)。1話の冒頭のシーンで介人のキャラクターがしっかり掴めると思うので、注目して見ていただきたいと思います。
――スーパー戦隊は今や子どもだけの作品ではなく、お子さんと一緒に見る親御さん、子どもの頃から特撮ヒーローが好きな大人の男性、若手俳優がお好きな若い女性など年齢世代問わず愛される作品だと思います。最後に、これから『ゼンカイジャー』を見る全ての方たちに向けてメッセージをお願いします。
子どもたちには僕が子どもの頃にヒーローたちを見て抱いた憧れをそのまま返して次のヒーローが生まれるように、これまでスーパー戦隊の歴史を見てきた方たちにはこれが45作品目だと胸を張って言えるように頑張ってつくり上げていこうと思っています。
お母さん世代や若い女性のみなさんには僕を好きになってもらいたいです(笑)。とにかく応援してほしいですね。介人の普段のバカなところや可愛らしさと、決めたことはやり遂げる意志の強さや行動力といったギャップを見せていきたいと思っています。ガツンと心を掴んでいきます!
見る人によって違った良さを感じてもらえると思うので、多くの人に『ゼンカイジャー』を楽しんでほしいです。
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撮影/岩田えり、取材・文/阿部裕華
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