『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』に谷川俊太郎、町田康、吉田戦車らコメント
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©2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト
池田暁監督の映画『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』に寄せた著名人コメントが到着した。
『第21回東京フィルメックス』審査員特別賞を受賞した同作の舞台は、町境である1本の川を挟んで「朝9時から夕方5時まで」規則正しく戦争をしている2つの町。いつの時代でもない架空の町の小さな社会が、私たちの日常と地続きにあることをユーモアで描く。主人公・露木役を前原滉が演じたほか、石橋蓮司、竹中直人、橋本マナミ、矢部太郎、片桐はいり、嶋田久作、きたろうらが出演。
コメントを寄せたのは、谷川俊太郎、宮沢章夫、根岸吉太郎、瀧川鯉八、トニー・レインズ、森直人、町田康、倉本美津留、山下敦弘、久米宏、ジュリアン・ロス、辛酸なめ子、井上荒野、吉田戦車、ドリヤス工場、信濃八太郎。吉田戦車、ドリヤス工場、信濃八太郎はイラスト付きとなる。
谷川俊太郎のコメント
微笑でも苦笑でも哄笑でもない無音の笑いが途切れない。
意味に囚われない人間存在の面白さ。宮沢章夫のコメント
ここにある笑いは、おこがましいが別役実や私が書く作品の質にも似ているが、きわめて映画的に美しく描かれるとき、それは小津安二郎にも見える。
けれど、というか、だからこそ、きわめて不気味な人間たちの住む世界のグロテスクな笑いになる。
新しい毒をもった喜劇だ。根岸吉太郎のコメント
空前絶後、監督独自の世界が映画を埋め尽くしている。
ああ、この映画をカウリスマキに観せたい。
テリー・ギリアムに観せたい。瀧川鯉八のコメント
落語で例えるなら、四代目春風亭柳好師匠の【道具屋】。
背筋が凍るほどの才能。
得体の知れない面白さ。トニー・レインズのコメント
池田暁の作品は現代の日本映画の中でもユニークで、とてもスペシャルだ。
科学的ともいえる精密さで、たどたどしいトランペットの音色の中に、笑いと痛みの中間点を見つけ出す。森直人のコメント
今の日本映画のエアポケットに、いきなり凄いものが飛んできた!
知らない場所や人間のリアルを想像すること。
自分の頭と心で考えること。
この映画は全世界に必要な一本だ。町田康のコメント
善も悪も、すべてが美しかった。
言葉と景色に魅了された。
この戦争は俺らの心のなかにある。
この映画を観てよかった。倉本美津留のコメント
テッテ的な反戦映画誕生。
おかしな世界をツッコミモードで観ている内にジワジワと現実世界の今とシンクロしていることに気づきゾッとする。そんな稀有で効果的な反戦映画。山下敦弘のコメント
静かに過激によく作り込んでるなと感心しました。
日本にはまだまだ面白い顔の俳優さんがいっぱいいるということも気づかされました。
ぼんやりしている今の自分にチクチク刺さる映画でした。久米宏のコメント
僕は子供の頃から映画が大好きだった
撮影現場で働く人たちを想像したり
編集作業を考えると映画はもっと楽しくなった
この作品の現場は盛り上がったに違いない
出来上がった作品にはスタッフの笑顔が隠れている
見終わると毎日の自分の暮らしがふと不安になる
そして歩き方もおかしくなるジュリアン・ロス(『ロッテルダム国際映画祭』プログラマー)のコメント
人々が目的も知らずにルールを守る世界において、社会を風刺するなら戦争を舞台にするのが最適だ。
ポーカーフェイスで放たれるユーモアが、ドキュメンタリーよりも真実味を感じさせる。辛酸なめ子のコメント
融通がきかない不器用な人々への慈愛の情が芽生え、繰り返される会話や音楽が次第に病みつきに……。
この世界観が不思議と心地よいのは日本人に多いまじめなA型だからでしょうか。井上荒野のコメント
世界観に戸惑いながらいつしか癖になっている。
現代日本に生きている私たちにとって、押されると痛いツボが映画の隅々にひそんでいる。吉田戦車のコメント
この夢のような町で働いてご飯を食べて眠る毎日をくりかえしたい(でも戦争は嫌)
ドリヤス工場のコメント
一見奇妙で、趣味的な映像に見えるかもしれない。
だが次第にこれは多くの日本人にとって「よく見た風景」であることに気付くでしょう。信濃八太郎のコメント
ユーモアのわからない人間が戦争を始めるという言葉がある。
ユーモアなき世界をユーモアたっぷりに描いたこの作品は、つまり今こそ必要だ。