布施琳太郎の企画展『沈黙のカテゴリー』大阪で開催 「沈黙」の形を探る
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布施琳太郎の企画展『沈黙のカテゴリー|Silent Category』が3月14日から大阪・クリエイティブセンター大阪で開催される。
1994年生まれの布施琳太郎は東京出身のアーティスト。大学在学時から数多くの展覧会企画を発表し、作品制作からテキストの執筆までを手掛けている。2019年にiPhoneと洞窟壁画を繋げた超歴史的な視点でアートについて考察した『新しい孤独』で『第16回美術手帖芸術評論募集』に入選。昨年は緊急事態宣言にあわせてオンライン展『隔離式濃厚接触室』を実施した。
『沈黙のカテゴリー|Silent Category』は、言葉にあふれ、読み、書き、話し、聞くことに溢れた今日の都市のなかで可能な「沈黙」の形を探る展覧会。布施琳太郎に加えて、小松千倫(Madegg)、鈴木雄大、高見澤峻介、都築拓磨、中村葵、三枝愛、宮坂直樹、山形一生の作品を展示する。
入場券として600ページにおよぶ冊子『ブループリント』を配布。作品解説やドローイングに加えて、石原吉郎『失語と沈黙のあいだ』、批評家の黒嵜想、詩人の水沢なお、バタイユ研究者の井岡詩子らによる書き下ろしのテキストが掲載される。展覧会の特設サイトは山形一生、ステートメントは美術家で文筆家の肥高茉実、音楽制作は小松千倫が手掛け、デザインを八木幣二郎、映像記録を佐藤友理、写真撮影を竹久直樹が担当。
布施琳太郎のコメント
ソーシャルメディアによって自己目的化したコミュニケーションは目的もなく人々を集め、動かし、そして言葉を奪っていく。芸術実践のすべてがプロセスのなかに拡散し、相互に補完し合うことで、作品がかき消されてしまった。
本展では、クリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)に作品が展示される。それと同時に、入場にあたって頒布される冊子「ブループリント」に掲載される論考や詩、作品解説、ドローイング、そして展覧会告知サイトやグラフィックデザイン、ステートメントに至るまで、それぞれひとつひとつも鑑賞対象とすべき作品として提示される。それらは署名され、名指され、そして完成した形だ。
展覧会に足を運ぶことだけが芸術の体験を成り立たせるのではない。いくつもの異なる時間のなかに身を置く可能性を複数の仕方で維持することこそが、都市のなかに置かれた展覧会の価値なのだと僕は考えてきた。そして本展は今日の都市で可能な沈黙のカテゴリーを、あなたのなかに構築することを意図し、企画された。