Kis-My-Ft2、全員登場の『ANNP』で伝えた愛と約束の言葉 心通わす7人のトークを聞いて
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毎週土曜19時~21時のお楽しみといえば『Kis-My-Ft2のオールナイトニッポンPremium』(ニッポン放送ほか)だ。週替わりで3人のメンバーが登場し、キスマイの魅力あふれる、わちゃわちゃとしたトークが生放送で楽しめる番組である。
2月20日は、新曲「Luv Bias」のリリースを祝した特別企画「メンバー全員集合! Luv Bias スペシャル」と題し、7人全員がラジオに登場した。同番組に7人が揃って登場するのは2020年4月以来のこと。ただでさえ待ち遠しい週末、ファンはいつも以上に首を長くして待機していたことだろう。期待どおり、いや、期待以上に笑って泣いた2時間だった(radikoにて2月28日午前5時までタイムフリーで視聴可)。
「ビシバシ仕切っていく」と気合十分の玉森裕太だが、仕切りの第一声は「最近どう?」。相変わらずのゆるさながら、さりげなくメンバーが座っている位置関係を教えてくれる気配りが嬉しい。冒頭から鍋の話でひとしきり盛り上がるという、ごく普通の世間話が不思議なほど面白いのがキスマイだ。トークは和気あいあいとしながらも渋滞せず、それでいて曲振りでは声がピタリと揃う。そんなところにも、7人の歴史を感じる。
そしてキスマイの周囲にはいつも、あたたかな愛情がある。同番組公式Twitterでは、放送前から「Luv Bias」のピアノ&ストリングスバージョンの音源とリリック映像がアップされていた。映像には、ドラマでおなじみの“あの”ベンチが描かれている。誰もいないベンチは少し寂しそうで、劇中で今まさにすれ違いそうな二人を思い、切なくなる。
心に沁みる美しい音色と、番組のはからいに感動していたのだが、これにはある仕掛けが隠されていた。番組ではこの日、シングル『Luv Bias』通常盤のカップリングとして収録される「Luv Bias -another- 」が初オンエア。表題バージョンとは歌割が異なるこのanother版、リリック映像に差し込む7色の光が、実はそれぞれの歌割を示していた。“世界のタカシ”こと二階堂高嗣から、宮田俊哉、千賀健永、横尾渉、玉森裕太、北山宏光、藤ヶ谷太輔と、7人がソロで「Luv Bias」を歌い繋いでゆく。
「新しいチャレンジしてるし、キスマイやってんじゃん」と、どこか誇らしげな玉森。二階堂はanother版が好きだといい「サビの玉(森)の〈愛してる〉いいね~」と、しみじみ。「潤ちゃん(玉森がドラマで演じる役=宝来潤之介)が見えた」と続けると、すかさず「ニカ(二階堂)の歌い出しだって最高だぜ」(宮田)、「タカちゃん見えてるよな?」(藤ヶ谷)と、キスマイらしく笑いをまじえながら、互いの歌を認め合う。番組公式Twitterの「#もう一つの想いも」の意味にも触れ、本作「Luv Bias」に込めた彼らの想い、リリースを心待ちにするファンへの愛が感じられた。
『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)の魅力を語るコーナーでは、ファンと変わらぬ熱量で次々と名シーン、名カットをあげていくメンバーたち。とくに二階堂のテンションは天井知らずで、もはや玉森が出演していないシーンにまで言及するほどハマっているようだ。小競り合いでおなじみの「TypeBコンビ」、こういうところが実に微笑ましい。
千賀の心の声が思いっきりもれてしまった場面では、全員が大笑い。楽屋での会話を盗み聞きしているような、ともすれば「おバカだなぁ」と笑ってしまうような、いつまでも男子高校生みたいな7人のトークと、変わらない仲。ファンはきっと、彼らのこういうところが、ずっとずっと好きなのだと思う。
さんざん笑ったあとの最後のコーナーは、メンバーとファンの関係を恋人のように表現し、デビューからの10年分の感謝の想いを伝えるリレー朗読「10年愛」。ピアノが奏でる「Luv Bias」が、朗読にそっと優しい色を添える。
力強い言葉で“あの日”の誓いを語る北山。優しい声で、初めてのプレゼントのことを話す千賀。懐かしい思い出と、未来の話をする宮田。「素直な君が好き」と、まっすぐな声で伝える横尾。ふたりで見た景色をいくつもあげ、「宝物」だと言う藤ヶ谷。「こんな僕と、ずっと付き合ってくれてありがとう」、いつもは言えないけど、と玉森。まだしばらくは会えないけれど、一緒に乗り越えていける、と二階堂。
そして「これからも、ずっとずっとよろしくね」。キスマイからファンへ贈る、愛と約束の言葉。そうしてあらためて聴く「Luv Bias」。歌詞のひとつひとつが胸にしみる。「愛してる」、そんな言葉だけで表せないほどの感情が、今まさにここにあることを実感する。
朗読の間、ファンのことやライブのこと、デビュー前のことを思い出したというメンバー。だが読み終わったあとには、またすぐに笑いがあふれる。どんなときも、それこそ様々なことが叶わなかった昨年であっても、彼らは少しもしんみりすることはなかった。笑顔で話している姿がいつも目に浮かぶ、やはりそれがキスマイらしい。Ki、S、M、Y、F、T、2。もう何年も名乗ってきたこの順番、この名前。この日も当たり前に、7人でよどみなくKis-My-Ft2を名乗り、スペシャルなラジオを明るく締めくくった。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter(@akino_ippo)