Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 菊地成孔率いるDC/PRGが解散「20年以上継続するかどうか。というラインは、大きなボーダーライン」

菊地成孔率いるDC/PRGが解散「20年以上継続するかどうか。というラインは、大きなボーダーライン」

音楽

ニュース

ナタリー

菊地成孔

菊地成孔が主宰するビッグバンドDC/PRGが3月26日に大阪、4月2日に東京を回るライブツアー「Hey Joe, We're dismissed now」をもって解散することを発表した。

2019年に結成20周年を迎えたDC/PRG。解散の理由について、菊地は「『20年以上継続するかどうか。というラインは、大きなボーダーラインである』という判断」と説明し、「20年間名称を変えながら、アルバムでは常に新しい音楽性にトライを続けて参りましたし、合衆国の名門ラベルでもあるインパルス!との契約も果たしましたが、ここ数年は心ならずも、ライブのセットリストも固定化し、元老院(オリジナルメンバー)である坪口、大儀見、津上、を始め、最新のメンバーである秋元修、近藤佑太までも含め、伝統芸能化してきた事は否めません。そして、主幹たる私個人の力では、この状況は打破できない、我々は解散を以ってポリシーを貫くべきだと判断に至りました」と語っている。ライブツアーの東京公演には、MELRAW(Sax)が新メンバーとして参加。チケットぴあでは2月27日11:00よりチケットの最速先行予約を受け付ける。

またDC/PRGは2019年に行われた20周年記念ツアーの内容をほぼコンプリートした7枚組のライブアルバムを制作中とのこと。菊地はボックスセットとなるライブアルバムについて「我がことながら驚愕のグッズが含まれていますのでお楽しみに」とコメントしている。

菊地成孔 コメント


菊地成孔です。我々DC/PRGは一昨年20周年を迎え、ツアーを敢行しました。コロナ禍による時間感覚の変異によって、既に今昔の感がありますが、ご来場いただいた全ての皆様に、改めての感謝と、現実社会、並びに自分自身の内なる敵、に対する解放戦線に立つ者として、共闘のエールを送らせていただきます。
また、このツアーをほぼコンプリートした、7枚組のライブアルバムは現在制作中で、ボックスセットとなりますが、せっかくのボックスセットという事で、我がことながら驚愕のグッズが含まれていますのでお楽しみに(パッケージが全て完成した段階で、プロダクツのPR動画を公開します)。
そして、実質上、このボックスセットのレコ発となる、大阪と東京の2会場で行うライブを以って、解散を決定しました。
会場と日時は以下の通りです。

DC/PRG
Hey Joe, We’re dismissed now/PARTY 1-OSAKA 3月26日(金) 大阪 バナナホール
Hey Joe, We’re dismissed now/PARTY 2-TOKYO 4月2日(金) 東京 新木場スタジオコースト

以上、来たる4月2日が正式な解散日となりますので、以下、なるべく手短にご挨拶させて頂きます。
私が解散を決意したのは一昨年の20周年ツアー中で、昨年11月にはメンバーにその旨を伝え、全員から異議の有無を問う意思確認をしました。メンバーのほとんどに異議はなく、突然のことに継続を推進する者も若干名いましたが、速やかに全員合意に達しました。
メンバーに伝達の際は「自分がリーダーとなって、この運動体の活動を継ぐ、という意思がある者には、バンド名、楽曲、運営権を全て無条件で譲渡する」としましたが、現在のところ挙手はなく、解散ライブのスケジュールも決まり、前述ボックスセットの制作もほぼほぼ終了致しましたので、このタイミングでファンの皆様に報告するに至りました。
解散の理由の第一は、我々の活動趣旨や経歴を知らない方、つまりファンでなくとも、音楽愛好家の方にならご理解頂けると思います。それは「20年以上継続するかどうか。というラインは、大きなボーダーラインである」という判断です。我々は名人芸化や自己模倣、ブランドの維持を善しとしません。

無論これは我々固有のポリシーであって、20年以上活動を継続し、メンバーを次々に変え、伝統芸能化している偉大なバンドの存在を否定しているわけではありません。キングクリムゾン、10CC、サン・ラ・アーケストラ、等々世界各国に存在する、20年越えを果たして活動を維持しているバンドの偉大さには、大編成バンドの運営者としても、いち音楽愛好家としても大いなるリスペクトを表明します。
ですが我々は、20年間名称を変えながら、アルバムでは常に新しい音楽性にトライを続けて参りましたし、合衆国の名門ラベルでもあるインパルス!との契約も果たしましたが、ここ数年は心ならずも、ライブのセットリストも固定化し、元老院(オリジナルメンバー)である坪口、大儀見、津上、を始め、最新のメンバーである秋元修、近藤佑太までも含め、伝統芸能化してきた事は否めません。そして、主幹たる私個人の力では、この状況は打破できない、我々は解散を以ってポリシーを貫くべきだと判断に至りました。
そして一方、我々の活動理念を古くからご存知の方々には「アメリカ合衆国の戦争反復が、主に国力の低下によって盤石ではなくなってきた事、あらゆる形のアルター・ウォーが21世紀、特に、20世紀のそれ(例えば南北合衆国の臍の緒であるメキシコに於いては、16、19世紀にも20年代は混乱状態にありましたが)と見紛うような、来るべき混乱の20年代に向けて、世界的にシフトチェンジを起こしている」と感じたから、と付け加えさせて頂きます。
前述の通り、決意し、メンバーに合意を取った時点では、コロナ禍は緩慢ではあるが収束に向かうと思われていましたし、スーパーチューズデー以前からの合衆国の流れは、具体的な事件を伴って、変わり行く合衆国の断末魔を鳴り響かせ続けていますが、その兆しは19年から感じ取っており、予想外のことは何一つありませんでした。
デヴュー作「アイアンマウンテン報告」発表前から最新作「フランツ・カフカのサウス・アメリカ ft W・シェイクスピア」発表後にかけてまで一貫していた、合衆国の<他国への空爆と経済の維持>という反復は今や、<南北戦争以来の内戦準備状態>にシフトチェンジしていると、私は敢えて強引に判断します。旧知のファンの皆様には言うまでもありませんが「アイアンマウンテン報告」のリリースパーティーの3日前は、2001年9月11日でした。あの事件が、我々の誕生に対する啓示であり、その号砲の余韻が、違うサウンドに変わり、音量を上げつつある、と云う事です。
それに伴い、私自身の音楽性、特にDC/PRGのシフトチェンジは不可避です。DC/PRGという運動体の解散は、コロナ禍によってもたらされた実演音楽活動の困難さや、ましてや私個人の音楽的意欲の低下、57歳以降という年齢的な体力の低下、といった敗走的なものではありません。
また、ファンの皆様には言うまでもありませんが、我々は全ての期を通し、メンバーは如何なる時もプレイに一丸となり、特定メンバー間の不和といった在り来たりなトラブルは一度もありませんでしたし、「メンバー間の音楽性の違い」といったものは、結成当初から予めエネルギーとして飲み込まれていたリージョンにあり、活動を内的に瓦解するような働きは、再び、結成当初から封殺されています。
以上が、解散に至る判断の全てです。最後に、このツアーの PARTY2即ち東京から新メンバーを加えることも併せて発表させて頂きます。20周年ライブで、ヘルパーを超えた素晴らしいプレイを披露し、ツアーに大いなる貢献を果たしてくれた MERLAW(TS / SS)を4月2日付けで新メンバーとして正式に迎えます。
我々の、20周年を生き抜いたバンドの最後のライブであり、リセットされ行くアメリカ合衆国にシンクロ / アゲインストする、活動の終焉を見届け、共にギグに御参加頂けますよう、会場でお会いできることを楽しみにしております。

DC/PRG 主幹 菊地成孔

DC/PRG「Hey Joe, We're dismissed now  PARTY 1-OSAKA/ PARTY 2-TOKYO」

2021年3月26日(金)大阪府 BananaHall
2021年4月2日(金)東京都 USEN STUDIO COAST