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松坂桃李×仲野太賀、共演するたびに受ける刺激 新鮮さと緊張感が生まれる関係性に迫る

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リアルサウンド

 “ハロー!プロジェクト”に魅せられた仲間たちの日々を描く青春映画『あの頃。』が公開中だ。

 主演の松坂桃李が「ハロー!プロジェクト」に青春を捧げるアイドルオタクを演じ、共に昼夜オタ活に勤しむ個性豊かなオタク仲間には、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ(ロッチ )が集結。『南瓜とマヨネーズ』の冨永昌敬が脚本を手がけ、『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』の今泉力哉がメガホンを取った。

 これまで、何度も共演歴がある松坂桃李と仲野太賀。写真撮影時には、松坂と仲野が向かい合い、「こんなに近くで太賀を初めてみたかも」「この距離ないですね。かわいいでしょ」「かわいいね」というやりとりも。今作を含め、共演するたびに「超新鮮」と明かすほど、いまだにお互いの新しい顔を見るという。

 今作を通して魅せられた“アイドル”という存在について、2人は同じ表に立つ側ではあるが、「僕たちとは違う」と語る。その魅力について話を聞いた。

「好きなものに没頭してる姿には“なにか”が滲み出てる」

ーー劇中でハロプロメンバーへの熱い想いを語ったり、ハロプロの楽曲をカバーして演奏したり、オタク仲間の「恋愛研究会。」メンバーたちが一緒に過ごすシーンは観ていてとても微笑ましかったです。銭湯のシーンが特に好きでした。

松坂桃李(以下、松坂):そのシーンはとにかく熱すぎました(笑)。

仲野太賀(以下、仲野):のぼせましたね。

ーー実際の銭湯の温度だったそうですね。

仲野:そうそう。大変でしたね。

松坂:現場のスタッフさんが間違えて、「そのままの温度にしちゃいました〜」って。あ、この日がクランクアップだったのかな。

仲野:そうだ! みんなのぼせながらクランクアップしました。

松坂:だから鮮明に覚えてないんだ(笑)。

仲野:やばそうでした。

松坂:やばかった。

ーー(笑)。太賀さん演じるコズミンをはじめ、メンバーのひとりひとりに癖がある、愛らしさに溢れた人たちばかりで。実際に演じてみて、アイドルオタクにどんな印象を持ちましたか?

松坂:撮影に入る前、太賀と代々木にモーニング娘。’19のライブを観に行ったんです。実際に会場にいたファンの方たちは、とても献身的だったよね。

仲野:はい。とっても。

松坂:ハロプロオタクの方たちのことを観察してみたら、年配の方も多くて、応援の仕方だけでも、長いこと愛して、応援を続けてきたんだろうなっていうのが見ていて分かるんです。ちょっと歴が浅そうな方だと「ワー!」っとわかりやすく元気に応援するけど、歴が深そうな方だと若干落ち着いていて。自分が、“ここは本当に応援したい”というタイミングがあるように思えました。

仲野:やってましたね。抜きどころを知ってるやり方でしたよね。

松坂:そう。ベテランの応援の域というか。そこにこだわりと愛情があって、本当に“好きだ”っていうのが滲み出ているんです。そういう姿を見れたとき、なんだかすごく嬉しくなったんですよね。

仲野:会場がすごく無垢な笑顔で溢れているなって感じました。普段の日常の中で、なかなか大勢の人が集まってみんなで笑ってるっていう状況はあまりないと思うから、会場の中のみんなが幸せそうで、すごく多幸感を覚えて。

松坂:あったね。自分が好きなものを同じように「好き」って言ってくれる人たちと一緒に盛り上がれることって、幸せだよね。

仲野:そうですね。自分が好きなものを、すごく肯定してもらえてる時間って幸せだろうなって。そういう空気感も映画の中に滲めばいいなと思っていました。

ーー推しのアイドルを熱弁するときの口調など、実際の“オタクっぽい”言動も印象的でした。

松坂:みんな、それぞれ変なんですよね。いわゆるテンプレじゃなくて、オタクといえばこうって決まった動きはないんですけど、好きなものに没頭してる姿って、やっぱりどういう動きであれ、他の人から見るとなにか滲み出てるんじゃないかな。

仲野:なんか熱っぽいというか。体温が高い感じですよね。

ーー握手会の待機中、ハンカチで何度も手汗を拭いてしまっていたり。

松坂:手汗、本当に拭くんですよ。僕も写真集を出させてもらったとき、握手会をやったことがあって。そのとき、すごく拭いている方もいれば、全く目を合わせてくれない方とか、いろんな方がいて。そのときを思い出しましたね。

「アイドルのデカさを感じる」

ーー劇中、そしてリアルにたくさんの人々が「アイドル」に魅了される理由はなんだと思いますか?

松坂:やっぱり純粋に元気をもらえるからじゃないですかね。アイドルに限らず、自分の好きなものやこと、好きな人って、すごく心に風を通してくれて、豊かにしてくれると思うんです。そして、それが元気につながる。そういう力を持っていると思います。

仲野:なんだろう。ちょっと変なこと言いますけど、“好きになっていいよ”っていう魅力かな。

松坂:たしかに、本人たちからしたら“好きになってください”って大前提だもんね。

仲野:“好きになっていいよ!”というスタンスって、僕らも表方だからこそ、そのニュアンスがなんとなくわかるんですけど、アイドルの方って“どうぞ!”っていうこの懐があるんですよ。

松坂:そうだね。その器の広さ。

仲野:みんなたぶん、飛び込みたいのかなって。“好きになること”のエネルギーってすごく強いし。誰かを好きになってる時間って、実はとても豊かだったり、いろんな想像を広げてくれて、活性化されてる気がします。人を好きになっていない時間より、人を好きになっている時間の方が、どこか心が満たされていて、元気が出てくるというか……。そういうアイドルのデカさを感じますね。

松坂:「好きになっていいんだ、なっちゃいます!」みたいな。

仲野:「どうぞ、どんとこい!」って。俳優にそれはないですからね。

松坂:僕らに関していうと、作品込みになりますからね。役というフィルターが挟まってるけど、やっぱりアイドルに関していうと「そのまんまの私を」というか。

仲野:そうですね。僕らの場合だと本人じゃなくて作品とか、役になってくる。アイドルはダイレクトですもんね。その魅力ってすごいなって思います。

ーー劇中には松浦亜弥さん、モーニング娘。などのアイドルソングもたくさん使用されていましたね。

仲野:やっぱり音数が多いからなのか、アップテンポ? 音楽的なことは詳しくわからないですけど、一体感が生まれるような曲が多くないですか?

松坂:そうだね。アイドルソングって気持ちが上がりやすい曲調が多いですよね。

仲野:僕たちが乗りやすくて、フロアが一体になれる手拍子をしながら「テーンテテーン、フー!」みたいなのあるじゃないですか。ファンが一体感を持てる曲というのも、アイドルソングならではなんじゃないかなと思います。

ーー実際に撮影期間中とか、その後にハマって聴いた曲はありましたか?

仲野:ハロプロの曲は聴きました。僕はあややの「LOVE 涙色」を小学生の頃にずっと聴いていたんです。それを今回10年ぶりぐらいに聴いて、なんてメロディがかっこいいんだと思って、家でギターでちょっと弾いてみたら、めちゃめちゃコードが綺麗だったんです。「え、こんなコードあったの?」って、そのカッコよさにちょっとビックリしました。

松坂:へー。それは音楽とかギターやってる人じゃないとわからないすごさだね。

仲野:やっぱりつんく♂さんの音楽的な才能だと思うんですけど、「超カッコいい、このコード進行……!」って興奮しましたね。

松坂:僕は「Yeah! めっちゃホリディ」を聞いたときに、もう純粋に「なんて歌うまいんだろう」って再確認させられました。もともとお上手なのは知ってたんですけど、改めて「やっぱり歌うまいな〜」って。

仲野:ハロプロって歌もダンスもうまいしすごいですよね。

松坂:個々の力が強いよね。この前、後藤真希さんがセンターで踊って歌っていたのを番組で観たんですけど、やっぱり圧倒的でしたね。

仲野:正直、ちょっとレベルが違った。格が違いましたね。

松坂:レベチだったね。

仲野:レベチでしたね。

松坂:ああいうのを見ると、やっぱり圧倒されます。

共演するたびに「超新鮮」「やっぱり緊張」

ーー今回の再共演で、お互い刺激を受けたと感じる出来事はありましたか?

松坂:やっぱり、太賀はちゃんと計算してますから!

仲野:なんかやらしいみたいな言い方じゃないですか?(笑)

松坂:僕もよく考えたりするんですけど、作品って順撮りじゃないときは特に、1シーン撮るごとに、逆算したり、繋げるとこうなってと頭の中で構成したり、考える作業があるんです。それって、役や作品の波の影響を受けてしまうことも多いんですが、そういう中で、自分が作品の中の一部として、どう色付けして、作品に乗せられるかが大事だと思っていて。その組み立て方が、やっぱり太賀は素敵だなと、作品が出来上がったときに毎回思うんですよ。

仲野:嬉しいし、恥ずかしい(笑)。桃李くんは、いろんな人に言われてると思いますけど、今回、劔の役をやっていても、松坂桃李的な色を一瞬で消せるんです。オンオフなのかわからないけど、色気とか空気を一撃で消して、なおかつ一発で出せて。そういう桃李くんの底知れなさを毎作品やるごとに思います。まだ引き出しあるんだ、まだ引き出しあるんだ……って。どうやって芝居してます(笑)?

松坂:いやいや(笑)、恥ずかしいね。

仲野:でも本当に思います。普段の桃李くんも知っていて、いろんな役をやりながら、本当に何度もご一緒させてもらってるんです。多いし、その毎回が濃くて。そのたびにこんなアプローチがあるんだっていう発見があるから、そういう意味で、桃李くんの実態がわからなくなるようなときがある。「あ、そこまでいけちゃうの?」って驚かされる、すごみがあります。

ーー何度共演しても、お互いにとって新鮮さを感じる関係ってすごいですね。

仲野:超新鮮ですよ、毎回。

松坂:再会ってやっぱり緊張するんですけど、刺激的ですね。時間が経てば経つほど、再会したときの鮮度もあるし、そのときに生まれる緊張感というのも、やっぱりまた新しい鮮度になっているし。より対役者として向き合っていけるっていうのが、良い緊張感を生んでくれるなと僕は思います。

 ■公開情報
『あの頃。』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
出演:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、コカドケンタロウ、大下ヒロト、木口健太、中田青渚、片山友希、山崎夢羽(BEYOOOOONDS)、西田尚美
監督:今泉力哉
脚本:冨永昌敬
音楽:長谷川白紙
原作:劔樹人『あの頃。 男子かしまし物語』(イースト・プレス刊)
製作幹事:日活、ファントム・フィルム
配給:ファントム・フィルム
2021年/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/117分
(c)2020『あの頃。』製作委員会
公式サイト:https://phantom-film.com/anokoro/
公式Twitter:@eiga_anokoro