大倉忠義「俺たちはダメだ」と手を離す 『知ってるワイフ』躊躇する元春と引き寄せる澪
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取り繕おうと努力するものの、結局、元春(大倉忠義)は沙也佳(瀧本美織)との溝を埋められずにいた。なぎさ(川栄李奈)が言うように、やはり“自分の心を隠したまま”では無理がたたるのか。『知ってるワイフ』(フジテレビ系)第8話は、剣崎夫婦の不和と、元春と澪(広瀬アリス)との関係が描かれる。
沙也佳の父の受賞パーティーを欠席した挙句、沙也佳に対しても自分は「女神さまの召使だ」と言ってしまった元春は、決定的に夫婦仲を悪化させてしまう。会社にいる元春の元には沙也佳からスーツケースが届き、元春はしばらく津山(松下洸平)の家に泊まることになった。
一方の澪は、津山との関係があおい銀行の皆にバレてしまう。それでも交際に前向きな津山だが、澪はどこか浮かない顔。ことあるごとに元春のことを気にかけていた。そしてマラソン大会の日、澪と元春の関係に変化が訪れる。
沙也佳に離婚届を渡された元春はそれにサインし一晩中、酒をあおっていたために、翌日のマラソン大会で体調を崩していた。そんな元春を心配していた澪は、後方で倒れた人が出たと聞き、慌てて駆けつける。しかし倒れたのは元春とはよく似た別人であった。このことで澪は元春に本音を打ち明けることに。「剣崎主任が好きです」と元春への気持ちを正直に明かすのであった。そして「俺たちはダメだ」と躊躇する元春の手を引き寄せると、そのまま唇にキスをする。
元春と澪は、新しい世界でも互いに気にかけていたにも関わらず、これまで気持ちを打ち明けることはなかった。それだけでなく、お互いが今いる環境を守るために自分の気持ちを必死で抑えてきたのだ。元春は沙也佳と、澪は津山との未来を考えていた。しかし澪はここで本当の自分の気持ちを抑えきれなくなる。小池(生瀬勝久)の言っていた「自分につく嘘と他人につく嘘、どっちが人生を狂わせると思う?」という言葉の答えは、澪と元春の行動で徐々に明かされていくのだろうか。
第8話では小池の言葉以外にも、「ホントは不満もあったのに全部飲み込んでたよね」(なぎさ)、「元春のしたいようにすればいい」(津山)、「嘘つけ! 沙耶香さんの中に違う自分がいるんじゃないの?」(上原/小関裕太)など、“自分の気持ちに正直に生きているか?”と問いかけるメッセージが会話の中に散りばめられていた。
だが、何とか事態を修復しようとする元春は、今まで以上に自分の気持ちを伝えられなくなっていた。これまでも消極的で判断力に欠ける部分のあった元春だが、沙也佳に責められることや澪との関係に思い悩むが故に、何ひとつ言葉にできなくなってしまったのだ。一方の沙也佳はというと、一足先に自分のことを自分で決めて前に進もうとしていた。今まで親や夫の前で沙也佳が演じてきた姿を「あいかわらずやってんだな、お嬢様キャラ」と言い当て、その心を開放することを手伝ったのは、花を届けに来た上原だったのだ。
誰とも上手く向き合えず、「私のことを全然見てなかった」と言われ続けてきた元春。
彼が、自分の気持ちと相手の立場のどちらにも正直に向き合える日は来るのだろうか。その時こそは頼もしい元春であってほしいと願う。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
木曜劇場『知ってるワイフ』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ、
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
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