韓国芸能界にも広まる“いじめ告発” 二次被害や新たな問題も
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韓国バレーボール代表選手として活躍していた李在英(イ・ジェヨン)と李多英(イ・ダヨン)が、チームメイトへの過去のいじめを告発され、所属チームから無期限出場停止、代表選手資格を無期限剥奪されたことを契機に、過去の“いじめ告発”が相次ぎ、韓国芸能界にまで飛び火している。過去の行為を認め、謝罪声明を出す芸能人もいる中、事実確認ができていない噂の段階から活動に支障が出ているアイドルグループのメンバーもおり、告発に対して法的措置をとる姿勢を示す事務所も出てきている。そこで、韓国の事情に詳しいライターのDJ泡沫氏に“いじめ告発”の現状と課題を聞いた。
「まず、韓国で起きている“いじめ告発”は個人に対してのいじめだけでなく、不良グループに所属して素行不良だったことや校内暴力も指しています。韓国芸能界でのいじめ告発は過去にも何度かありましたが、ここ1週間ほどはバレーボール界の報道を受けて、スポーツ界でのパワハラやいじめ問題から日々連鎖して告発されている状況です。しかし、練習生になる以前、10年以上前のケースもあり、出来事で証明すること自体が難しそうな場合もあるようです。カツアゲや暴行といった校内暴力をするイルジン(学校内暴力サークル)のメンバーだった、という噂は同級生や教師に聞けばおおむね真実がわかりますが、個人間のいじめの話になるとリアルタイムでないとわからないことが多い。小学校の低学年の頃まで遡って告発されているケースもあり、例えば友達同士の喧嘩で手が出たりしたことを“いじめ”として告発している場合もありますが、それを“いじめ”と解釈するかどうか、第三者には判断が難しいことも多いのでは。傷害や恐喝や窃盗など、明らかな犯罪行為は別ですが、特に友達同士の喧嘩の場合は両成敗になることも多いのではないでしょうか」
告発が始まって1週間ほどが経ち、新たな問題も出てきている。
「最初に投稿した人がデマを認めて取り下げ、火種が消えてもまた他の人が書き込み、噂が再燃することも。また、告発した人へその芸能人のファンから誹謗中傷のコメントが寄せられるといった二次被害も問題視されています。ただ、噂の段階でも芸能人にとってはイメージダウンになりかねない。Stray Kidsのヒョンジンは現在活動に不参加になっていますし、(G)I-DLEのスジンは化粧品の広告を売り場では隠されるなど、支障が出ています」
ヒョンジンは事務所が同級生や先生などに聴き取り調査を行った結果「各人の証言がそれぞれ食い違うため、事実確認することは難しいが、全ての告発内容が正しい訳ではない」としながらも、書き込みをした本人にヒョンジンが直接会ったとし、「自分の当時の未熟な言動で傷ついた方に申し訳ない」と手書きの謝罪文をあげた。スジンは同級生と電話でケンカをした事実は認めたものの、いじめに関しては否定。事務所側も「事実ではない」とコメントしている。
「アイドルや芸能人への告発の場合、個人へのいじめと並行して派手なグループにいた、不良だったという内容が多い印象です。アイドルに対しては一点の曇りもない人生が求められ、少しでも瑕疵があると責められがちですが、今回の告発を受け、一部ファンからは『犯罪行為ならともかく、練習生になる前の個人間の出来事を、なぜデビュー直後ではなく有名になってから告発するのか?』という意見も出ています。『いじめ』には時効はないと思いますが、実際はアイドル本人が、告発主と直接対面するなどして自ら何かしらの声明を出さない限り、公論化してもネット上の書き込みからだけしか知ることの出来ない第三者には判断できないことの方が多いと思います」
相次ぐ告発で混乱が生まれている韓国芸能界。噂に惑わされず、何が事実なのかを正確に判断する必要がある。今回の騒動を受け、芸能人の過去に大衆がどこまで意見する権利があるのか、という議論にも発展しそうだ。