GENERATIONS 片寄涼太、ロマンティックで甘い歌声 ラフさも見せるギャップで海外にも広がる人気
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ボーカルの片寄涼太、数原龍友、パフォーマーの白濱亜嵐、関口メンディー、小森隼、佐野玲於、中務裕太からなる7人組ダンス&ボーカルグループ、GENERATIONS from EXILE TRIBE。王道J-POPから最先端のダンスミュージックまで、幅広い音楽性で多くのファンを魅了している彼らは、俳優やバラエティタレントとしても精力的に活動しており、Jr.EXILEの中で特にお茶の間に浸透しているグループと言えるだろう。2月10日にリリースした最新シングル『雨のち晴れ』も、土曜ナイトドラマ『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)の主題歌として放送中。始動から10周年を迎える2021年も、7人のさらなる活躍が期待される。そこで本連載では、個性豊かなGENERATIONSのメンバーを1人ずつフィーチャー。第3回はボーカルの片寄涼太について紹介していく。
片寄涼太は、1994年8月29日生まれで大阪府出身。「祖父が中学校の、父が高校の音楽教師という家庭で育ち、僕自身も小さい頃からピアノを習っていました」(※1)、「母が趣味でコーラスをやっていた」(※2)という音楽一家に生まれた彼は、2008年12月、両親に連れられて足を運んだ『EXILE PERFECT LIVE 2008』の京セラドーム大阪公演で、EXILEの生のパフォーマンスと出会った。しかし、Jr.EXILEのメンバーの多くが先輩達のパフォーマンスに魅入られ、自分もこんな仕事がしたいとEXPG STUDIOに入校する一方、幼少期から大人びた性格で現実的な思考の持ち主だった片寄にとって、アーティストは遥か遠い存在。歌は好きだったが、中学時代は外交官を夢に見て、勉学に励んでいたという。そのため、2010年、高校1年生の時に『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 2 ~夢を持った若者達へ~』に挑戦した際も、背中を押してくれた両親に感謝をする反面、内心は記念受験のような感覚だった。当時を振り返るインタビューでも、同オーディションを勝ち抜き、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカルとなった今市隆二や登坂広臣とは覚悟が違ったことを自覚しており、「そこはウソをつきたくないし『俺は歌手を目指していた』とは言えないです。でも、挑戦するのはリスクを伴うし失うモノもあるという、この世界のことは学びました」(※3)と冷静に語っている。
そんな彼を大きく変えたのは、オーディション後の食事会でEXILE ATSUSHIが語った「地元の人気者で終わってもいいとは思う。でもこの世界を志すのであれば、自分もボーカリストとして磨き続けて、みなさんと同じ目線で突き離しにいきたいです」(※4)という言葉だった。トップアーティストでありながら、自分と同じ世界を夢見て集まった後輩達に覚悟を問うATSUSHIの真摯な姿勢が、どこか冷めていた片寄の心に火をつけた。その後、芸能界入りを諦めて進学するという選択肢を捨て、EXPG大阪に入校。レッスンに励む中で、2011年7月、GENERATIONSの候補メンバーに選ばれる。デビューまでは『夢者修行』と題した全国行脚やメンバーチェンジといった試練もあったが、2012年11月21日、GENERATIONSのボーカルとしてシングル『BRAVE IT OUT』でメジャーデビューを果たした。
昨年、初のソロ楽曲「Possible」を発表した片寄は、一度聴けばすぐに彼の声だとわかるほど、少年っぽさを残した甘い歌声が特徴。デビュー時はそのあどけない雰囲気がGENERATIONSのフレッシュさを表していたが、今では彼の歌声がラブソングにロマンティックな香りを振り撒いている。パフォーマンス時の表情も魅力的で、特に「You & I」や「雨のち晴れ」といった愛に溢れたメッセージソングでは、歌声だけで彼の屈託のない笑顔が浮かぶ人も多いはず。一つひとつの言葉を慈しむように歌う様子も、彼の真面目な人柄を象徴している。また、2015年にGENERATIONSとして発表した「STORY」(アルバム『GENERATION EX』収録)で初めて作詞に挑戦すると、2019年には、自ら作詞した「Pray」が自身の主演配信ドラマ『TOKYO COIN LAUNDRY』の主題歌に。それはまさに、「僕たちは7人で、GENERATIONSというでっかい看板を背負っていて、一人一人がその看板を守るために団結して、ソロの時にもチームを代表して頑張らなければならない」(※5)と語る彼が、自分がソロ活動で得たものをGENERATIONSに還元できた瞬間と言えるだろう。2018年にリリースされた「少年」のMVにも、ライブなどで披露している特技のピアノ弾き語りと、彼の演技派な一面を感じられるモノローグシーンが収められているので、こちらもぜひご覧いただきたい。
「真面目が取り柄で、真面目が欠点みたいなタイプ」「ちっちゃい頃から完璧主義者で、それで自分を苦しめてきたところもあって」(※6)と語る片寄は、徹底した役作りで俳優としても活躍中。その結果、主演作が続々と公開され、『PRINCE OF LEGEND』シリーズではセレブ王子、映画『午前0時、キスしに来てよ』ではスーパースターを演じ、お茶の間では王子様キャラが定着している。しかし、王子の実態は、メンバー曰く「上品さ×腹黒」(小森)、「スター感×おじさん」(佐野)という“ギャップの塊”。酔っぱらうとおじさんのような振る舞いをするなど、メンバーの前ではラフな姿を見せているそうで、佐野は「しっかり、“(自分は)こうやったらこう見える”みたいなのがなんとなくわかってるし、こうすべきだみたいなのとかも見せるのが上手い人だと思う」(※7)とも語っている。筆者がGENERATIONSにインタビューした際には、片寄涼太=“笑いに走りがちなメンバー達をまとめるしっかり者”という印象を受けたが、その時々で自分が求められていることを感じ取り、行動できることが、片寄が多くの人に愛される理由なのだろう。真剣な表情で歌っていたかと思いきや、キラキラとしたスマイルを振り撒いたり、ドS発言をしたり、おどけてみたり……。好きになればなるほど見えてくる彼の新たな一面に、人々は翻弄されるのだ。さらに、人気は世界へと広がり、近年では中華圏でも熱狂的な人気を誇る存在に。人生を変えたオーディションから10年以上が経った今、片寄涼太は、あの頃予想もしなかった形で世界と繋がっている。
1:https://fujinkoron.jp/articles/-/1323
2:https://withonline.jp/people/ent-encounter/7EYYd
3、4:https://hochi.news/articles/20171222-OHT1T50120.html
5:https://www.vivi.tv/post83299/
6:https://news.livedoor.com/article/detail/15387014/
7:https://times.abema.tv/news-article/8637021
■斉藤碧
エンタメ系ライター。
ダンス&ヴォーカルグループ、アイドル、ロック、ヴィジュアル系、俳優などジャンルレスで執筆中。V系雑誌「Stuppy」では編集も担当。
Twitter(@stmdr38)