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成田凌「俺と一緒になれへんか?」 『おちょやん』第13週は一平のプロポーズで幕開け

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リアルサウンド

 ヨシヲ(倉悠貴)を引き留めることができず「うち、また一人になってしもた……」と口にする千代(杉咲花)を、「一人やあれへん。俺がおる」と一平(成田凌)は優しく抱き寄せた。ひとしきり泣いた千代は「もう大丈夫や」と顔をあげるが、一平は「俺が大丈夫やあれへん」と言う。そして驚きの一言を口にした。「千代……俺と一緒になれへんか?」。

 NHKの連続テレビ小説『おちょやん』が第13週初日を迎え、お互いを意識せざる得なくなった千代と一平のもどかしい関係性と、そのもどかしさを体現する杉咲と成田の目の表情が印象的な回となった。

 千代は「一緒になるて、あんた何言うてんの」と返すが、一平は真剣な眼差しで千代を見つめたままだった。杉咲の潤んだ瞳はヨシヲとの別れの余韻を感じさせるが、一平を捉えながらもさまよう視線から、突然の出来事に動揺する千代の心が伝わってくる。しばらくしてハナ(宮田圭子)が現れると、一平は何も言わず去ってしまった。


 その後、二人は自分の部屋から同じ月を眺める。一平が何を想い、月を見たのかは明確には示されていない。だが「明日も晴れやな」と月に向かって笑顔を見せた千代の想いと異なることは明らかだ。二人の距離がもう少し縮まっていれば「想いがすれ違う」と表せるのだろうが、すれ違うほどにまだ近づいていない象徴のようにも見えてなんとも切なかった。

 それから一平が千代にプロポーズする前、「お前は俺と一緒や」と口にしたことが気になる。「俺と一緒になれへんか」と言ったのは、千代を愛しく思う気持ちからなのだろうか。それとも自分と同じような境遇の千代とお互いを慰めるためにでた言葉だろうか。その真意はまだわからない。

 とはいえ、一平が千代を意識しているのは確かだ。「鶴亀家庭劇」の座員の前で千代が笑った時、一平はその笑顔を見て安心しているように見えた。一平の表情が映し出されたのはほんの数秒だが、その目は千代を慈しむものだった。一人暮らしを始めた一平のもとに香里(松本妃代)や芸妓、座組の面々が押しかけてきた時も、取り繕ったり慌てたり、千代が帰ってしまわないようどさくさに紛れて引き留めたりと、千代を気にかけていた。

 第13週のタイトルは「一人やあれへん」。一平が千代に伝えたのと同じように、千代もまた一平に「一人やあれへん」と言葉をかけるのかもしれない。千代が一平の告白にどのような答えを返すのか、気になるところだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/