秋田児童連続殺害事件をモチーフにした椿組の春公演「シャケと軍手」
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椿組2021年春公演「『シャケと軍手』〜秋田児童連続殺害事件〜」チラシ表
椿組の2021年春公演「『シャケと軍手』~秋田児童連続殺害事件~」が3月17日から28日まで、東京のザ・スズナリで上演される。
山崎哲が脚本、西沢栄治が構成・演出を手がける「シャケと軍手」は、2006年に秋田県で起きた児童連続殺害事件をモチーフにした作品。粉雪が舞う中、女の子・アヤカはカップラーメンを手に、「おばちゃん、お湯をください。おうち、ガスが止められてるの」と懇願し……。
出演者には井上カオリ、田渕正博、木下藤次郎、趙徳安、斉藤健、長嶺安奈、岡村多加江、今井夢子、山中淳恵、望月麻里、水野あや、外波山文明らが名を連ねた。なお本作は3月末まで都内各所で開催される「2021都民芸術フェスティバル」の参加作品となる。
山崎哲コメント
ワイドショーなどで畠山鈴香の表情が流され始めたとき、私は一目で彼女が境界例にあることがわかった。実際のちに父親や学校などで凄まじい暴力を受けてきた事がわかった訳だが、その表情に境界例の表情が露出したのは、まだ容疑者として特定された訳でもないのに、レポーターらが押し寄せ彼女を崖っぷちに追い詰めようとしたからに違いなかった。その意味では彼らはまさに、鈴香にDVを振るい続けた父親や子供らと同じで、私の目から見れば彼らも鈴香同様、ボーダレス化している人間たちだった。
二年後、この事件を舞台化しておきたいと私は秋田県藤里町を訪れた。美しい自然を残した町だったが、工場はむろん田畑も思ったより少なかった。白神山地への登山口ではあるが、観光地としてやっていけるほどのものもなく、町の人たちはどうやって暮らしているのだろう、能代へ通うには遠すぎるし、という思いが過ぎった。町もまた消費社会と高齢化社会の到来によってすっかりボーダレス化しているように思えたのだ。
帰郷したあと秋田出身の教え子に藤里で感じたことを話すと、学生の彼は言った。「あれが秋田です。僕も帰りたくても帰れません」と。
椿組2021年春公演「『シャケと軍手』~秋田児童連続殺害事件~」
2021年3月17日(水)~28日(日)
東京都 ザ・スズナリ
脚本:山崎哲
構成・演出:西沢栄治
出演:井上カオリ、田渕正博、木下藤次郎、趙徳安、斉藤健、長嶺安奈、岡村多加江、今井夢子、山中淳恵、望月麻里 / 久間淳也、鈴木幸二、高橋玄太、影山翔一、十河尭史、中島愛子、ジョニー、鈴木彩乃、土屋あかり / 水野あや、外波山文明