宮本亞門の「画狂人 北斎」再演版が開幕、主演の升毅「今回も北斎でありたい」
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「『画狂人 北斎』令和三年版」より。
「『画狂人 北斎』令和三年版」が、昨日3月4日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕した。
本作は、かねてより葛飾北斎の大ファンという宮本亞門が、2017年に発表した朗読劇「画狂人 北斎」を、ストレートプレイとして立ち上げるもの。ストレートプレイ版は2019年にも上演されており、今回は“令和三年版”となる。脚本を池谷雅夫、演出を宮本が手がけ、出演者には前回から続投となる升毅、黒谷友香、モダンスイマーズの津村知与支、水谷あつしに加え、初参加の陳内将と平野良が名を連ねた。
初日に先駆け、昨日行われた記者会見には宮本と出演者が出席。主演の升は、白髪の長髪とひげという自身のいでたちを示して「仙人ではありません」と笑いを誘い、「初演のときは稽古開始前日に(北斎が最晩年を過ごした地である)小布施に行き、『北斎が自分に降りてきた』と感じた。前回は公演を終えるまでずっと『自分が北斎だった』という感覚があり、今回ももちろん北斎として(舞台に)いられたらと思います」と意気込んだ。
初演に続いて宮本から厳しい指導を受けたという黒谷は、記憶に残る指導を尋ねられると「いろいろ言われすぎてわからない(笑)」と回答。宮本はそんな黒谷を「この人は絶対にへこたれない。芯が強い方です」と称賛した。約400日ぶりに舞台に立つと言う水谷は「初演では亞門さんからいろいろご指導いただき、悩みながら演じましたが、今回はスパーンとできるようになりました」と手応えを語る。また津村は「キャストが変わって新しいドラマが生まれた。この2年でいろいろなことが起きたこともあり、今回はセリフに横文字がたくさん並んでいて。『やっぱり亞門さんの演出は苦労するな』と思いました」と笑い交じりに話した。
新キャストの平野は「初演の先輩方の中に飛び込むので、稽古ではぶつかっていくだけだと思っていました。升さんとは久しぶりの共演。全部包み込んでくれるので本当に好きに稽古させていただきました」と振り返り、同じく新キャストの陳内も「稽古では亞門さんに抱きかかえられているようだった。本番も楽しみながら最後までまっとうしたいです」と抱負を述べた。
宮本は再演にあたり内容に変更を加えたといい、「この2年で世界中が変わったので、同じ“現代”は描けません。今考えたいテーマをガンガン盛り込みました」とコメント。続けて「北斎の生きた時代も混沌としていましたが、約90歳になるまであのような絵を描いていた北斎の姿を通して、お客様にも元気になって帰ってほしい」とアピールした。
東京公演は3月14日まで行われ、その後20・21日に長野・小布施町北斎ホール、24・25日に大阪・サンケイホールブリーゼ、28日に岡山・備前市市民センター、31日に香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール、4月3・4日に石川・北國新聞赤羽ホールでも上演される。
「『画狂人 北斎』令和三年版」
2021年3月4日(木)~14日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場
2021年3月20日(土・祝)・21日(日)
長野県 小布施町北斎ホール
2021年3月24日(水)・25日(木)
大阪府 サンケイホールブリーゼ
2021年3月28日(日)
岡山県 備前市市民センター
2021年3月31日(水)
香川県 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
2021年4月3日(土)・4日(日)
石川県 北國新聞赤羽ホール
※ほか地方公演あり。
脚本:池谷雅夫
演出:宮本亞門
出演:升毅 / 黒谷友香 / 陳内将、津村知与支、水谷あつし、平野良