亀梨和也の迫真の演技に引き込まれる 『レッドアイズ』第7話は緊張感マックス
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いつにも増して、あっという間の1時間だった。亀梨和也の演技には、視聴者をともに緊迫状態へと巻き込む力がある。伏見(亀梨和也)の命のタイムリミットが刻一刻と迫るなか、映像の隅々、言葉の端々までヒントを探し、気付けば祈るように画面を見つめていた。
亡き婚約者・美保(小野ゆり子)の誕生日。墓石に花を手向ける伏見のもとに、不審なメールが届く。内容は、生前の美保の姿を隠し撮りした動画と、美保の死の真相を知りたければ「一人で」来いという指令だった。
単独行動はあまりにも危険だ。伏見は、現場での相棒・湊川(シシド・カフカ)の携帯電話を鳴らすが、彼女がまだ幼い息子を持つ母であることが脳裏をよぎる。そうして伏見は、一人でビルへと向かった。
待ち受けていたのは、やはり罠。正体不明の男に麻酔銃を打ち込まれ、眠り込んだ伏見は、冷凍庫に監禁されてしまう。目が醒めるとそこには、かつて刑事時代に逮捕した鴫野夫妻(正名僕蔵、大高洋子)が立っていた。
彼らは、大病を患う娘の治療費を賄うべく強盗に入った末、殺人を犯した。逮捕状を提示する伏見に「娘の治療のために、あと3日だけ逮捕を待ってほしい」と懇願する。伏見も複雑な表情を浮かべるが、法のもとに彼らの訴えは通用しない。その場で逮捕された鴫野夫妻は、娘の死に目に会うことも叶わなかったという。この過去を、鴫野夫妻は「伏見が犯した罪」だと主張する。娘を亡くしては、もう生きている意味がない。だから、伏見に「罪」を認めさせた上で殺害し、自分たちも死ぬという。
逆恨みによる犯行、と言ってしまえば簡単だ。けれど『レッドアイズ』に登場する犯罪者たちには、いつも悲しい動機がある。だからこそ胸が痛むし、「正義」とは何かが、分からなくなる。大切な人を失った痛みは、誰かを恨むことでしか、復讐を果たすことでしか、消えることはないのだろうか。そうした人の痛みにつけ込み、犯罪を正義として導くのが“先生”なのだろう。鴫野夫妻もまた、先生に洗脳されていた。その狂いきった演技は流石のものだ。
今回、湊川のアクションシーンにおけるカメラワークが印象的だった。湊川の怒りが、彼女の視界を通してありありと伝わる。伏見が監禁されている間、冒頭で描かれた元伏見探偵所メンバー4人きりの時間を何度も思い出した。湊川をここまでにさせ、山崎(木村祐一)を冷静ではいられなくさせるほど、彼らにとって伏見響介の存在は大きいのだ。
-25℃の冷凍庫のなか、牛追い棒による攻撃を受けてもなお鴫野夫妻を説得し、KSBCへとヒントを送り続けた伏見だが、水をかけられたことにより、いよいよ絶体絶命のピンチに。しかし、あえてガス爆発を起こすことでKSBCに情報を送るという伏見の命がけの作戦が成功し、ようやく監禁場所が判明する。長篠(趣里)&小牧(松村北斗)も、すっかり息ぴったりだ。「遅くなりました」。駆け付けた湊川の、いつもの言葉にグッとくる。
鴫野夫妻と向き合い、心身ともに弱った伏見は、自分と“彼ら”との境界線を見失いかけていた。そこへ、山崎と小牧が駆け付ける。山崎は瞳いっぱいに涙をためながら、ひとりで行動した伏見へと怒りをぶつける。大切だからこそ巻き込みたくなかった伏見と、大切だからこそ巻き込まれたかった仲間たち。「俺らはお前を家族やと思ってる」。山崎の言葉に、小牧と湊川もまた、ほんの少し微笑む。
KSBCでの最初の事件ーーテッド・バンディ模倣事件の際には、“青いコートの男”に迷わずナイフを向けた伏見。ヒリヒリとした危うさを纏い、その瞳には復讐の炎が燃え滾っていた。けれど伏見が“向こう側”へと堕ちてしまうことはないと、今ならば思える。「孤独はすばらしい」と言ってくれる人が、こうして伏見のそばにいるかぎり。
ラストでは、一連の事件と“あの”マークの繋がりが明白になった。島原(松下奈緒)もまた、どこかで目にした記憶があるようだ。時同じくして、蠣崎(忍成修吾)が動き始める。仲間たちの協力により、警察病院からの脱走を図ったのだ。「自分の感情に正直に」ーーこれまでKSBCが関わった事件において、蠣崎をはじめとした犯人らがみな、口にしていた言葉。初めてカウンセリングを受けた際、島原もまた鳥羽(高嶋政伸)から、そう助言を受けていた。夫・信嗣(笠原秀幸)を永遠に奪った蠣崎の姿を再びその目に映した島原が、その手に強く握りしめるのは怒りか動揺か、それとも。
次週は蠣崎らがKSBCをジャック。果たして彼らの目的とは? いよいよ物語はクライマックスへと突入する。
※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter
■放送情報
『レッドアイズ 監視捜査班』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:⻲梨和也、松下奈緒、趣里、シシド・カフカ、松村北斗(SixTONES)、高橋ひかる、木村祐一
脚本:酒井雅秋、福田哲平、まなべゆきこ
音楽:カワイヒデヒロ
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、茂山佳則(AX-ON)
演出:水野格、長沼誠ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
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